7. ある秋の休日
今日、彼方と私はバスで十数分移動した所にある大きなショッピングモールを訪れていた。
今日は月に一度のお出かけデートの日。
毎日家でデートをしている私達だけれど、さすがに外出デートも必要だと昔から月に一度、どこかしら二人で出かけるようにした。
今日はたまたま私の好きなブランドの服の発売日であったため、一番近い店舗があるここのショッピングモールへ来たという訳だ。
「あっちだよ! 彼方はやく!!」
「走ると転ぶよ? ……おっと。ほら、気をつけて」
「あ、ありがとう」
後ろを付いてくる彼方の方をみていたら、段差に躓いて危うく転びかけたけれど、咄嗟のところで彼方が抱きとめてくれた。助かった……。
じいぃ〜っ。
「……わたしにくっついて見つめてても服は買えないよ?」
「はっ! う、うん。……そうだね! いこう」
「ふふ、かわいいんだから」
「…………」
「ほら、行くんでしょ?」
いつの間にか主導権を握られていた私は、顔が真っ赤に火照っているのを自覚しながら彼方の後をついていった。
そしてお店について、真っ先に目当ての服を確保。
買いたい服を無事に買えて満足した私は、彼方と一緒に可愛い冬物を探しに手を繋いでショッピングを楽しむ。
試着をしあって感想を言い合ったり、お互いに似合いそうな服を選んでみたり。
やっぱり私たちはお互いの事がよく分かっているんだなぁ、ってしみじみ思う。彼方が選んできてくれるものは絶対私が好きなタイプのものだし、きっと私の選んだものは彼方の好きな部類に入っているだろう。
「ありがとう真帆。これ、すっごく可愛い!」
「私こそ彼方の選んだ服、すごい気に入ったわ……♪」
いつも一緒にいるからこそ分かる、お互いの好み。
大切な大好きな人の事は何でも知っておきたい。その気持ちは、とても大切で大事な想い。
にっこり微笑み合いながら、私たちはそれぞれの会計を済ませ、ひっそりとしたシックで落ち着いたカフェに入っていった。