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1. わたしの女王様

彼方視点です。

 中学三年生のわたし、初世彼方(はつせかなた)には好きな人がいる。

 同い年で同じクラスメートの如月(きさらぎ)真帆まほだ。


 学校ではすごい真面目で、成績優秀。さらに学校でも群を抜いた美少女である。これだけ聞くと完璧超人だけれども、実際のところは……。


「……何? さっきからジロジロとうざったいんだけど」


 ……というように、人当たりの悪いキツい性格の持ち主で、普段から人を寄せ付けないオーラを放っているせいか、周りのクラスメートなども普段から怖がって事務連絡など以外は話し掛けたりしない。

 まるで孤高の女王様のよう。


 真帆の人当たりの悪さは深刻で、一言でも話し掛けたりすればキツい眼差しで睨んでくるわ、一度口を開くとその凜とした容姿からは想像も出来ないような精神的にキツイ毒を吐いたり、他人を見下すような言動をとったりするわですっかりクラスの中からは孤立していた。


 さらに悪いことにふとした瞬間に思い出したくないある(・・)噂が学校中に広まって孤立をさらに深めた。

 しかし本人は特に気にしていない様子。むしろ一人で居ることが当たり前、自分以外は眼中にない、という空気を創り出して気丈に振る舞っていた。


 でも、わたしは知っている。真帆はとっても素敵で、可愛らしい女の子だってことを。


「ふーん? そんなこと言っていいんだ」

「うっ……。これは、その。言葉のあやというか……」


 軽い口調で責めるとすぐにしおらしくなった真帆。

 わたしと一緒にいる時にだけ見せてくれる、わたししか知らない真帆の一面。

 今この瞬間を写真に収めて、何度でも見返したいくらい可愛かった。

 ……ということを普段から平然と思っているあたり、わたしの真帆への愛は相当なモノなのだと思う。でも、人によって愛の重さや想いは様々だし、わたしにとっての愛はわたしが今この瞬間に感じているこの気持ちだと思っているから何処も可笑しく思わない。


「冗談だよ。……真帆もクラスでこれくらい素直でいてくれたらいいのに」

「む、無理よ。……無理だもの」


 一転、暗く沈んだ声で繰り返す真帆。

 わたしだってクラスメートにわたしだけの真帆の素直な姿は見せたくない。でも、お互いに社交辞令みたいなものだと分かってる。

 分かってるからこそ、また辛い。


「……。まあ、まだまだ先は長いから頑張りましょう!」

「ええ……。そうね」


 少しずつ色付きはじめた木々の葉を眺めながら、今日もわたしたちはキュッと手を繋いで歩みを進めた。


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