今度は気づけば気絶をしていて、そして、気づけば俺に妹(?)がいた件について
とりあえず、日は空いてしまいましたが、第三話書けました。面白く書けたと思います。
日夜は目を覚ますと、
頬に何か柔らかいものを感じた……
草むらとは違い……冷たくなく、温かい……
(確か俺って異世界に来て、あれっ?そこからは思い出せない、なんだっけ?あっもういいや、俺もしかして異世界で早速死んだのかなぁ、うん、だって草むらだったらこんなに温かくないしなぁ今度こそ、これは死んだんだなぁ、よし!そうと決まれば眠るが勝ちだ!)
そして、日夜はそう思うと、またもう今度は目覚めることがないだろう、睡眠を実行させる……
が、しかし、日夜の耳に声が聞こえてくるのだった。
「お兄ちゃん!目ぇ覚ましてよぉ!!ねぇお願いだから、死なないでよ!!」
これは天使の声なのかと、日夜は思う。
が、しかし、天使はお兄ちゃんと呼ぶのだろうか。
(これは俺の気持ちを汲み取った、サービスプレイだろう、普通に寝かせてくれるのもいいが、これはこれでいいですなぁぁ!!)
そして、日夜はもう心は決めたといわんばかりに目を今度は固く閉じる。
「もう、お兄ちゃんったら〰全く起きてくれない!こんなお兄ちゃんにはお仕置きが必要だね!!」
天使とは、こんなにも乙女ゲーの要素を取り入れてくれているのだろうかと日夜はそれまでの天使のイメージが崩壊しつつあった。
(やっぱ、天使もそれぐらいしないとダメな時代になったのかなぁ、なんか天使さん、マジリスペクトっす、ありがとう!もう、心残りないでござる)
日夜のさっきまでの願望はどこにいったのやら、今度の日夜の願望は天国に行くことというのに変わってしまったようだ。
そして、天使の声はまだ聞こえてくる……
「もう一度忠告するよ、私が5秒唱える間に起きなければ、爆裂魔法を唱えて昇天させるからね!いくよ!いーち、にー……」
(あれっなんか、さっき昇天させるっていってなかったっけ、つまり、ここってまだ異世界なの!!いやだ!!まだ死にたくない死にたくないうわぁぁ)
だが、なかなか、意識に反して体は起きることができない。せめて、口だけでもと日夜はどうにかして、開こうとする、だが、動かない。
(動いてくれよ!!俺の口、俺の体ぁー!!)
日夜は生きようと必死にもがく、だが、抵抗むなしく体が全くいうことを聞かない、そして、焦る日夜……タイムリミットが刻々と迫ってきているのであった。
「さーん……しー……っとここでもうすぐ死ぬお兄ちゃんに伝えたいことがありまーす!!」
と可愛い声とは場違いに残酷であり、それでいて、狂気さえ感じるほどのことを言っている。
(可愛い声してヤンデレだなぁ!でも、まぁそれも悪くないですね……うん、はい……むしろ、流れ持ってこい!!)
と日夜自身も場違いなことを思っているのである。正直助かる見込みはゼロであるからだ。そして、天使(?)は言う
「伝えたいこと……それは……」
ごくり……日夜は喉を鳴らす
(俺が想定するに、これはヤンデレ系の乙女ゲーであった……お兄ちゃん大好きだよって言って、そして、ナイフでメッタ刺しにする展開になる説が高いよなこれは……いや、むしろキスして、そのあとに○○とか(以下略))
日夜は今までやって来た恋愛ゲームの展開と今、起きているこれからの展開を照らし合わせていた。
そして、天使(?)の口が開く……
「君があまりにボッチで!!あまりにコミュ障で!!あまりにオタクでいて何一つ良いところがないんだよ!!」
(あれ……お兄ちゃん大好きは……俺の他のパターン的展開は……)
日夜は唖然とした……
(てかっこれって俺のすべてを非難してない?なんか爆裂魔法よりひどいブローを浴びせられたんですけど!?てかっオタクは悪くないのにぃぃ!!)
日夜はそう思うと、漆黒の渦に巻き込まれてしまったのであった……
「うわっ!!」
日夜はガバッと体を起こした。目の前は、気絶する前に見回していた光景となんら変わらない異世界が広がっていたのだった。
「わぁ、やっと起きたね日夜お兄ちゃん!!」
と、そこには夢で聞いた声とさして変わらない声の主が日夜の目の前にいたのだった。
「君は……」
その姿は小さく儚げな少女だった、年は10才から12才くらいだろうだろうか。ピンクの可愛いウサギのようなもので止めて雪のように真っ白な髪のツインテールにしてあるから、余計に日夜の心をくすぐる。少女は答える……
「お兄ちゃん、私のこと覚えてないの……」
「覚えてないよ、てかっどちら様ですか?」
「ひどいなぁー、もう、この命の恩人に向かってありがとうの一言もないの?」
ぷいっと頬を膨らます謎の少女。だが、日夜には周りの光景を見ていた以来それ以降は覚えていないため、それからのことは知らないのだから当然である。
日夜は謎の少女に向かって質問する。
「俺に何かあったのかい?それを教えてくれなきゃ、なぜ、君が怒ってるのかわからんのだが、その辺のとこよろしく」
つい、無意識にネットで使っていた感じで質問する日夜。一見、平静を装っている風に見えるが日夜の胸は、心ピョンピョンしっぱなしだ。
「うーん、人に教えるのは難しいけど、とりあえず頑張ってみる!!」
「うん、頑張ってくれ!!」
「お兄ちゃんは確か……この世界の周りの光景を見ていたよね?」
「うん、そうだよー、あまりにも俺の元いたところと違って感動したわー」
「そして……いつのまにか寝てしまった!!だよね?」
「うん、そうそう!多分、あれは俺が元いた世界で夜遅くまで儀式やってたからな、あっでも儀式って言っても黒魔術とかそんなんじゃないからな!いたって安心安全の白魔術以上のものだからな!」
「そして、そのあと、寝ていたのを私が起こそうとしたけど、起きたかと思えばお兄ちゃん……」
謎の少女は突然しゃべるのを辞めた。まさか悪夢から目が覚めたと思い、安心したと思ったら、死ぬフラグが起きるのかと日夜はいつか見たトラウマアニメのシーンを思い出す。それだけは嫌だと日夜は体を身構える。
(何が起きるんだ……もうあんな夢で見たあんな展開はもう体験したくない、できれば俺に死んでも戻れる力がありさえすれば、話は別なんだが)
少女の口が開く……日夜の体はぷるぷる震えている。結果は
「萌っ萌えー、ぶしゅぅぅぅってお兄ちゃんは鼻血だしながら飛んでいったんだよね?」
「えっそうなの?」
と、思ってたことと違うことに目を丸くする日夜。
「うん、そうだよ!だってそのあと、日夜お兄ちゃんどこかなぁって探してたら、スライムの群れに襲われそうだったから、私が白魔法を使って掃除してあげたんだから感謝してよね!!」
「ありがとうございます。幼き女神様ぁぁぁ」
えっへんっと謎の少女は日夜の前で偉い人がとるようなポーズをする。日夜は、その少女にたいして騎士がよくとるようなポーズをした。
「僕、今度こそ真面目に生きて、この命、あなたのために使います」
命の恩人であるから当然のことである。もし、このまま日夜が謎の少女に助けてもらわなければ、日夜の能力が○ゼロのようなものであるとか日夜自身のチート能力がない限り、日夜の話はここで終わっていたのだろうと思うと、日夜自身、ありがとうだけでは済まないような気がするのであったからだ。
「とりあえず、その後は安全な場所まで運んできて、現在に至るということですね?」
「そうだよぉお兄ちゃん、おかげでここまで運んでくるのに、お兄ちゃん重くて大変だったんだからね。あと、正確にいうと、ここって安全じゃなくて、ホワイトゾーンって言う白魔法系の守護結界を張ってるんだから、そこんとこ感謝しなさいよねー」
「はい、本当にありがとうございます。あのぉ、何かしてあげたいんですが。何をしてあげればよろしいでしょうか?」
もういっそのこと、その少女の召し使いか奴隷になってもいいくらいの日夜であった。だから、敬語になっている。そして、謎の少女は答える……
「そうねぇお兄ちゃんにはぁぁ……」
ごくり……
また再びの緊張が日夜を取り込む。だが、もうこの際日夜は怖くなんてなかった。例え、死ねというなどの残酷な答えがこようとも……
「お兄ちゃんは私の体をマッサージしてほしいーの!!」
「えっ!そんなんでいいの!!」
「うん!!いいよ!」
「今の俺、どんなこと言われても実行するよ……だったらさぁSMプレイとかさぁ、放置プレイとか……もっと理不尽なこと言わないの?」
「えっ!?もしかして、お兄ちゃんってそれ系の人間なの……
キモーイ、それじゃ普通のお兄ちゃんじゃなくてクズ兄だねぇ」
「いや、俺はもっとそんなこと予想してたから……てかっ、クズ兄はやめてー!!」
謎の少女のごもっともな言葉に、日夜はこんなことを予想していた自分に反省していた。
「あの確認だけど、それでいいんだね?」
「うん、それでいい、疲れてるからね……」
「でっ、肩たたきとかでいいんだよな?」
「うん、それでもいいけど……」
「それでもいいけどって……あなたはどうなんですかねえ?」
気づけば、文法がめちゃくちゃだ。正しく使いたいのだが、日夜はその何かを恥ずかしがってるのを見るとピョンピョンしてしまって、まともに使えそうもなかった。
少女はモジモジしながらも答える。
「クズ兄は全身マッサージって嫌じゃない?」
「べっ別に嫌じゃないよ……あなたはどうなんですか、それを……希望するんですかねぇ?」
「うっ、うん、そうだよ、だからお願いします……クズ兄……」
「おっおう!それでいいんだなぁ……じゃあどこからマッサージすればいいんだ?」
気づけば、日夜はクズ兄と呼ばれていたが、もうそれでいいと日夜は思う。なぜ、日夜はこんなにも緊張しているのか?現実の女の子と触れあったことがないのも確かだが、何よりもこの状況が自分の愛用していた妹系のエロゲーに酷似していたからだ。
(こんな可愛い子を触れるなんて、神はなんて素晴らしいだ!
よし!マッサージと称して、この子を攻略してやろうじゃないか!フハハハハ)
先程までの謎の少女に対する忠誠はどこへいったことやら、やはりクズ兄と呼ばれるにふさわしい日夜。まずはどこを触ればよいか返答を待っている日夜に謎の少女はいぶかしげそうに見つめ……
「なんか、クズ兄……変なこと考えてるでしょう!!」
「考えてないよ!俺はあなたの騎士だからそんなこと考えてません!!姫、何なりとご命令を!」
「いや、絶対に考えてるよ!だって、クズ兄……顔にでてるもん」
「えっ俺の思ってたことバレてた?」
「うん、しかも思ってたこと、言葉にもでてた……」
「ジーザス!!あぁ神よ!なんということだせっかくのチャンスが無駄になってしまったぁぁ」
と日夜は頭を抱えて悶える。そして、しばらくして日夜は無言で立ち上がる。
(よし、こうなったら実力公使で君のハジメテを奪って見せようじゃないか!!)
と、日夜はそう心の中で決め、この異世界で初となるであろう、墜天した中二病のごときポーズをとる。そして、初となる現実でいつも何かをなすときにしたことを言う。
「異世界の神を聞け、そして、開け異世界の扉よ、この俺に奇跡の力を与えたまえー!!」
続けて、日夜は言う。
「そして、俺はお前のハジメテを奪い、生涯俺とイチャイチャラブラブな幸せライフを暮らそーじゃないかぁ!!」
よし準備は完了した、例え白魔法が来たとしても日夜はこの中二病&可愛いは正義パワーで乗り越えていける気が日夜にはあったのだ。
パワー充填率99%を差しかかったとき、その謎の少女は言った。
「あのぉクズ兄……」
「どうしたぁ、このオーラに負けて潔くお兄ちゃんの言うことを聞く気になったのかぁ?あと、クズ兄は辞めて!!兄様と呼びなさい、そして、兄様の言うことを聞きなさい!!」
(悪いなぁ、もうお前のことを聞く余裕はないようだ!あばよ、命の恩人さん、せめて、ハジメテの光となれぇ!)
そして、背中からは墜天した翼が生えたかのような感じが日夜にはあった。それを利用し、謎の少女に近付くが……
「いくぜー!……ってあべし!!」
実際は羽も生えておらず、飛んだように見えたが、その飛距離1メートル未満、つまり、さっきの主人公が強く見えたのは妄想パワーだったのだ。そして、日夜はこれからのことを予想する……
(まぁこんな、クズ人間生きてて意味ないもんな……まぁあんだけひどいこといってしまったし……多分、白魔法で殺されて、地獄に落ちて閻魔様の正当な裁きにあって、俺の物語はそこで終わるのだろう)
「さぁこんなクズ兄でごめんなさい!もう生きてる価値有りませんもんね!!さぁもう僕を地獄のそこに落としてください!!女神様ぁー!!」
もう、今度こそ終わったと日夜は思った。当然そうである、こんなクズ人間はいなくなってもいいと大半は思うであろう。
そして、少女は言う……
「クズ兄……実は言い忘れてたことがあって……」
「えっ?」
「本当は滅ぼしたい気持ちでムカムカするんだよ……」
「うん、そうか早く滅ぼしてくれよ、今の俺、けがしてて痛いか らなぁ」
「でも、クズ兄は現実が嫌になって異世界で生きたいと言った」
「うん、そうだけど……」
「でも、相変わらずのクズさで今度もすぐ死のうとする」
「うん、でもなんでそこまでしってんの?」
「まだ、異世界で生きたいと思ってる?……クズ兄」
謎の少女は日夜の問いに答えない、日夜はいきなりなんでそんなことを言っているのかわからなかった。日夜は今ある疑問は後にして謎の少女の問いに答える。
「まぁ、俺みたいなクズ人間でも……生きるチャンスがあったら、生きたいしなぁ、てかっ地獄で苦しむっていうのは、絶対嫌だしな!!やっぱり、前言撤回!!俺、この世界で生きたい!!」
……しばしの沈黙
謎の少女はしばらく黙り、そして、口を開く
「じゃあ、今回は生きるを選んだねクズ兄……さぁーて!反省しているようだし、許すとしよう!」
「ありがとうございます。女神様ぁぁー!!なんと慈悲深き方ぁー」
日夜は再びの土下座をする。同時に日夜は思った。
(まだ、あきらめた。訳じゃねえーからなぁ!!待ってろ俺のハジメテは君に決めた‼)
まだ、日夜は諦めてはいなかった。なんと言う執念深さ、日夜はまさにペ○ルギウス並である。
「クズ兄……まだ、諦めてないんでしょう?」
「いや、もう諦めましたけど!正真正銘のあなたの騎士じゃなくてあなたのクズ兄になりました!」
にやっと謎の少女を見る日夜。
「もし、こんなことをまたしでかしたら……その時はクズ兄……」
「その時は?」
「本当のクズにするからねぇー!わかった?クズお兄ちゃん!!」
「おっおう!わかった、わかったアハハハ……」
にっこりと満面の笑みで日夜に向けてくる謎の少女、しかし、目は笑ってなかったからとてつもなく日夜には背中に阿寒が走った。
(こっこいつ!!心まで読めるのか!これじゃ下手なことは考えられないな、仕方ないなぁ反省反省……)
今度こそ、日夜は反省した。同時にペ○ルギウス並の執念深さは消えたような(?)がする。そして、謎の少女は何かを思い出したように日夜に言う
「あっそうそう忘れてた。実は私、謎氏なんだ」
「ふぇ?」
日夜は今度は体が石ならぬ真っ白になってしまった。
第3話いかがでしたでしょうか。さらに日夜のキモオタっぷりとクズッぷりが出ていたと思います。次回の第4話も楽しみにしていただけると嬉しいです。