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笹かまゆうしゃ   作者: 下痢太郎
2/3

勇者誕生 中編


リクナヴィ職員「アホンダラではありません。アタシの名前はサランです!」


「知らんわ!そしていちいち勇者にさせちゃおうっみたいの辞めなさい!」


マサカズはいい歳こいてちょっとムキになって話した。

ちなみにリクナヴィ職員のサランは見た感じ20歳くらいで歳下に見えた。

…大人気ないぞ、俺よ。。



サラン「今の暴言、アタシは忘れません。割と根に持つタイプですからねー。」


(わー、ダメだこいつ。さっさと転職して帰ろー)


「私はスーパー農民への転職を希望します。」


サラン「…ぐぬぬ、ノーコメントですか。まぁいいでしょう。」


ぐぬぬ…じゃねぇよ!とマサカズは思ったがさっさと帰りたいのでこれもスルー。


サランは机の上の申請書を、予め用意された羽ペンをと一緒にマサカズに差し出した。


サラン「ではここの申請書に、希望する職業と、フルネームでサインを書いたら終わりですよー(鼻ホジ)」


お、やっと終わると安堵したマサカズ。

もはや清楚のカケラも無くなったシスターを横目に

羽ペンを手に取り申請書に書き始めた、その時だった。


村人B「笹かまドロボーだ!笹かまドロボーがいるぞー!!」


マサカズの目の色が変わる。


マサカズ「な、なんやてーー!?ぶっ殺したるわーーー!!」

条件反射でマサカズは、羽ペンを投げ捨て一目散に公民館の外へ飛び出した。


笹かま農家の次男坊:マサカズの最大の敵、それはモンスターでも無く、魔王でもなく

笹かまドロボーだった。マサカズはいかにそいつを捕まえてシバくかを1日の大半考えている。


マサカズは声のする方へ走りながらふと思った。

(あれ?ちゃんと転職出来たかな?)


(…まぁサランにはスーパー農民になりたいって伝えたし大丈夫やろ)

とすぐさま思考を切り替え

ドロボー追跡に全神経を集中させた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


捜索開始してから1時間


マサカズは笹かまドロボーを追い詰めた。

…いや、実際には逆に追い詰められてると言ってもいい。


コソ泥A「いやー、だいぶしぶとい野郎で逃げれませんでした…

ですがここは俺たちのアジト、兄貴達がいれば負けませんね!!」


コソ泥B「まぁアジトがバレちまったら殺すしかねぇか…

11人対1人ってのも可哀想だが、仕方あるまぇ」


コソ泥C「ヒヒヒ」



(あ、これヤベーやつだ。)


一心不乱にコソ泥を追った結果、アジトまで単身突撃。

そこは村からだいぶ離れた山の中、奥まった崖に隣接する洞窟。

26年間済んだこの俺でも、全く来たことのない場所だった。


(完全にやらかしたー)

何も考えずに笹かま泥棒を追い回した結果、武器も持たず、体力はゼロ、村人が近寄らないような場所の敵のアジトで11人に囲まれる始末である。



マサカズ「俺の笹かまを盗んだお前らを断じて許さない!!今、村の仲間がコッチに向かって来ている!皆んなでボコボコにしてやるからな!」


マサカズは咄嗟にウソをついた。

逃げ切る体力が残っていないので、相手がビビって逃げてくれる以外に生き残る方法はない。

頼むからウソを信じてくれっとマサカズは心で叫んだ。


しばしの沈黙。

額から汗がたらりと落ちる。


コソ泥A「…あ、いやそれウソでしょ。お前馬鹿みたいにずっと追いかけ回しただけだったじゃんw」



(普通にバレたー)


嘘じゃねーよバーカっと小学生のように吐き捨て、

泣きながら逃げた。



その3分後に捕まったのは言うまでもない。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1時間後 〜アジト内部〜


「離せこのヤロー!!チクショー!!」


洞窟の奥で、ロープでぐるぐる巻きにされて寝転びながら叫んだ。


コソ泥D「ウルセーゾコノヤロー!コロスゾ!」


マサカズはぶん殴られた。

だいぶ痛い。


コソ泥A「兄貴、コイツどうします?とりあえず捕まえてみましたけど」


コソ泥B「そうだなー、めんどくせーし近くの川に投げ入れるか。」


コソ泥A「それいいですねー!さすが兄貴っす!」


マサカズ「いや、全然良くねーから!!人殺しとか辞めなさいよ!!(ゴフッ)」


反射的にツッコミを入れるが、殴られたのでもう辞めようと思った。



コソ泥B「それにしてもコイツ馬鹿だよなー。勝てる見込みも無しにずっとを追いかけてきたんでしょ?ウケるw」


コソ泥A「そうですね!こいつの脳みそは半分ウンコで出来てますねウヘヘw」


クソーっと怒りを噛みこらえるマサカズは、気を紛らわそうとコソ泥から目を逸らした。


すると、洞窟の入り口に人影を見つける。

気のせいかなと思いつつ、一度目を閉じてもう一度目を凝らすと

そこには見覚えのある人物がいた。



(サラン…!?)


そこにはリクナヴィ職員のサランが、物陰に隠れながこちらの様子を伺っていた。


マサカズはサランが女神に見えた。

サランが村に戻り、この事を村人に伝えてくれれば助けが来る。

そうすれば助かると確信した。


マサカズはサランに向かって、口パクで合図を出す。


(村・に・も・ど・れ)


何回か繰り返すと、サランは指でオッケーマークを作り

姿が見えなくなった。


そしてその10秒後に、サランはやはりアホンダラな事を、改めて確信する事態が起きる。


サラン「はい、そこの諸君。聞こえますかー。」


コソ泥たちは一斉にサランの方へ注目した。

そこには小柄なメガネっ娘が1人で、岩に乗って演説をしている。


サラン「えー、アタシはリクナヴィ職員のサランです。そして先程、魔法戦士に転職しました!!

その人を解放しないと、皆んなを魔法で焼き尽くしちゃいますよー!」


コソ泥A「…あ、コイツもウソついてますねw

転職小屋で、なんか愚痴ってたんで」

コソ泥B「なんて愚痴ってたの?」

コソ泥A「戦闘職になるくらいなら、ケツに割り箸入れて踊った方がマシだわよー!って」


サラン「…あっ」


(え?何やってんだあのアホンダラー…)


マサカズは絶望するしかなかった。

希望が一瞬にして消えた、ナッテコッタ。


その後、サランも一瞬にして捕まり

マサカズ同様、サランもロープでグルグル巻きになった。



マサカズ「お前バカかよー、トップ オブ バカかよー」

サラン「いやいや、マサカズさんが口パクで (すぐに・た・す・け・ろ)って言ったからじゃないですかー!」


マサカズ「言ってねーわ!村に帰れって言ったんだよ!

ってか仕事中に愚痴を言うな!」


サラン「だってまさかこんなんになるとは、思わなかったんですもんー…」


コソ泥A「テメーらうるせぇぞ!!

準備できるまでもう少しだから待っとけ!」


(いや、準備出来たら我々は殺されるんですがそれは…)


マサカズはこのツッコミを心に押し込めた。どうせ殴られるだけだから。


サラン「いや、準備出来たらアタシ達殺されちゃうじゃないですか!騒ぐぐらいいいでしょー!!」


サランは殴られた。

馬鹿だから仕方ないと思った。


マサカズはコソ泥に注意しながら、サランに耳元で「ある言葉」を伝える。

サランは驚いた表情をした後、決意した顔で頷いた。




そんなこんなで、コソ泥達は崖の上にマサカズ達を運んだ。

崖下は川、激流。怖い。

コソ泥達の(マサカズ達を殺す準備)は整ったようだ。



サランは遠い目をして呟く。

サラン「あー、アタシの人生はこんな所で終わってしむうんですねー。

どっかのアホな農民の為に死ぬとか嫌ですー。」


コソ泥B「いや、お前正直過ぎるだろ。シスターならもっとマシな事言えや」


ごもっともである。コソ泥が正しい。


うるせー!っと叫んだサランはまた殴られていた。

学習能力が欠如している。


コソ泥A「んじゃさっさと始めましょうか兄貴!どっちから投げ入れますか?」


コソ泥B「んー、そうだなー。やっぱこのうるさいシスターからじゃねぇか?」


「ちょっと待て……!」

コソ泥達の後ろの方から、大柄な男が声をかけた。


コソ泥C「そうだな。シスターの方は、タ・ノ・シ・イ・コ・ト をしてから捨てても遅くないだろグヘヘ」

その瞬間、俺たちの顔から血の気が引いていくのが分かった。


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