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ドラゴン、復讐物語  作者: ロキ
3/5

3 ドラゴン

なんだ、ここは


ん?く、苦しい、なんだここ

ゴホッ、ゲホゲホ


水?

そうだ、水だ。閉じ込められてる


ガン、ガン、バキバキ

以外にもろいな



ガンガン、バキバキ、ガンガン、バキバキ

光だ、光が見える


もう一息だ

ガンガン、バキバキ、ガンガン、バキバキ




おお、出れた。なんだったんだ。転生場所、指定できるなら指定しておくべきだったな



「あらら、生まれたんでちゅねー。私の赤ちゃん」

赤ちゃんとはもしかして俺のことだろうか、赤ん坊を水に閉じ込めておくってどんな親だ説教してやる。俺はもう誰にもいい顔をしないし、遠慮もしない。


「おギャー、おギャー」

声が出ないか、赤ん坊だもんな




「元気な声で鳴いてますねー。ママにも顔を見せてください」



「・・・・・・・・ぎゃーーーーーー」

んなバカな。そんなことがあっていいのか・・・・・目の前には、伝説クラスの生き物『ドラゴン』がいた。そしてゆっくり、周りに目を向ける。先ほど閉じ込められていたのは卵の中だったようだ。俺は、ドラゴンに転生したらしい




「どれどれ、ママがきれいにしてあげますね」

ペロペロと俺の身体についた殻や粘液をとってくれるドラゴン。生暖かいし、なんか臭い。体をくねらせて舌から逃れようとするが全く逃げれる気がしない。うわ、ちょっと、顔まで。




10分後

そこには、世界最大級の畏怖されし存在に凶悪な行為をされながら耐えきった者がいた。前世の記憶がさえなければ、そう単なるドラゴンの赤ちゃんならば平然としていただろう。されど、勇者とはいえ元は人間の俺はドラゴンになめられる行為に捕食される並みの恐怖を抱いた。普通の人間ならば当然のように失神していただろう、だがそこは今まで培った勇気で耐えきった。



あいつらに復讐するんだこんなところで立ち止まってはいられない。強くなるんだ、こいつらを利用して強くなるんだ。俺は、凶悪な見た目のドラゴンに近づき頬スリを行い求愛行動を示した。




「あらあら、なんてかわいい子なんですかー。やっぱりママがわかるんですねー。なんておりこうさんなんでしょうか、きっと立派なドラゴンになるわね」チュッ、チュ




それからしばらく、俺はドラゴンになめられたり、オデコや頬にキスされたりそれはもう精神が崩壊してもおかしくないような行為を永遠とされた。そんな時だ、後方から音がするなと思って振り返ってみるとそこに一人の青年がいた。



なんて馬鹿なやつなんだ。こんな、ドラゴンの巣によって来るなんて。無茶な冒険家か、薬草取り

にでもきて道に迷ったか。こんなところに人間が迷い込んだらどうなるか考えるまでもない。



「ギャーオ、ギャギャーギャギャ―」

俺は、近寄るなと一生懸命声を出して離れられるように呼び掛けた。それが、この馬鹿は首をかしげながらニコニコとこっちに近づいてくる。すると、ドラゴンも気づいたのだろうまっすぐに青年を見つめる。



・・・・・・本当に俺はお人よしだ。人に利用され裏切られたというのに身体が勝手に動いてしまう。俺は、ドラゴンから守るように、青年の前に立ちはだかる。クソ、自分がどうやって死んだか忘れたのか。だが、身体は動かない。ドラゴンは動かずじっとこちらを見る。



ギュッ

ん、ギュッ?よく見ると青年が背中から手を回していた。

こいつは、本当にバカなのだろう。赤ちゃんである俺の陰に隠れてやり過ごす気なのか?



「おお、僕の赤ちゃん、パパがわかるんでちゅね。かわいい、やっぱり『テレサ』と僕の子供だ。なんて愛くるしいんだ。この青い瞳なんてテレサそっくりだよ」チュッ

自称パパという、青年はそう言って、前世も含めたファーストキスを奪っていった。


糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞、糞




なんで、俺はこんなにもついてないんだ。裏切られ、殺され、転生してまでこんな思いをする。呪われているのかもしれない。いや、これはノーカンだ。さすがに赤ん坊だったころのキスだ。これはノーカンだろう。





そうか、ドラゴンは通常人間のような姿で生活しているって文献か何かに載ってたな。あんな堂々とドラゴンの前に出てくるはずないもんな。なんか損をした気分だ。そんなことを思いながらも転生で疲れていたこともあってか、それとも生まれてからのショックが大きかったのかわからないが俺は眠りについた。



「テレサ、どうやら、息子は眠りについてしまったようだよ。元気な赤ちゃんをありがとう。この子はきっと僕の後を継げる立派なドラゴンに育つと思う」


「レウスと私の子供ですもの。見て、この鼻、貴方そっくり」ふふふ


「目は君そっくりだよ。息子が動けるようになったら、巣から出て家に帰っておいでよ。しばらくは僕が通うようにするけど君がいないうちに帰るのもつらいからね」


「はいはい、食器とか洗濯ものとか溜め込んでないでしょうね?」

スッと目をそらすレウスにため息を吐きつつも最後には笑うテレサ。それにつられて、レウスも笑いゆっくりとソーマを見て微笑みあう二匹。







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