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秘密?

今日の授業が終わっているのに、生徒達の半数はまだまばらに残っていた。仲良くなったもの同士で喋っている、現に自分達もさっきの話で盛り上がっていると、ラゴ達がピタリと黙ってしまった。首をかしげ


「どうした?」


聞いても、3人は緊張した面持ちで何も喋らず自分の後ろを見ろとゼスチャーをしている、一体何と振り返るとセレスがいた…もしかしてとは思ったが


「えっと…何ですか?」


何となく判ってはいたが聞かないと終わらない様な気がし聞くと案の定


「帰る」


セレスが言うと、残っていた生徒達が一斉にこっちを見ながら、ひそひそと聞こえるような声で


「今の聞いたか?もしかして…あの田舎者と帰るって言ったか?」


「えー嘘だろ!それにヴェローナ様!喋ってるよな!」


「嘘でしょ!もっと話さないかな?」


教室に残っていた生徒達はが神妙な面持ちでセレスをみている。物凄い緊張が教室から漂っていたが、そんなのはどうでも良かった…ああ、やっぱりか…朝一緒だったから…もしかして帰りもかなって…何となくそんな気がしてたんだ、だけどラゴ達と一緒に居るから、もしかして一人で勝手に帰ってくれるかもと淡い考えを持った自分が甘かった…仕方無くラゴ達に


「あの…ゴメン、今日はもう帰るわ」


言うと、3人は焦りながら自分では無く明らかに後ろに向かって


「そうだよな!もう帰った方がいいかも、別に私達の事はいいから…うん!」


「うんうん!大丈夫だよ!また明日ねロッカ?」


「待たせちゃ不味いから、早く帰れ?オレ達の事はいいから、オレ達もそろそろ帰ろうと思ってたしな?」


クラス中の視線を集めながら一刻も早くと自分の席からカバンを持ちセレスの所に行き一緒に教室から出ようとすると、


「セレスさん!ちょっと話があるんで少し良いですか?」


シンクだった。自分達の前に立ち言うと、セレスはこっちをチラっと見て、シンクに頷き出て行ってしまった。どうしょうか?帰ってもいいかな?とも思ったが何となく勝手にかえると後々面倒な事になるよな気がするしと2人の話が終わるのを待つことにした。すると後ろから


「あれ…ロッカ帰って無かったのか?あの人は?」


ラゴだった、セレスを探す様に辺りを見て聞いて来た簡単に説明すると、そうかと返したきりじっと見詰められた、てっきりもう帰ってしまったのかと思っていたのに、


「何?ラゴまだ居たんだ?帰ったのかと思ってた」


「え…ああ、忘れ物したから取りに来たんだ。2人は…帰ったけどね、それより今いいか?」


「うん?別に良いよ、まだ少し掛かりそうだし、何?」


ラゴと2人教室の角に移動して、ラゴを見るとしばらく考えるようにしている、そして意を決した顔で


「なぁ…ヴェローナと一緒の寮って本当なのか?」


「うん、そうだけど、それがどうかした?」


「いや、どうしたって…」


ラゴにしては、なんとも歯切れが悪い、何が言いたいのだろう?あ!もしかしてと。


「ああ!そう言う事か!別に苛められてるとかは無いよ?セレスそんなに悪い人じゃないから安心して大丈夫!」


言うと何故かラゴはガクリと肩を落とし、呆れた顔で


「そう言う事じゃ無い…遠回しだとダメか…、あのなロッカ…お前実は女だろ?」


ビックリしてラゴを見ると、気まずそうにしているラゴがいた、


「知ってたのか?」


「最初は男だと思ってたけど…ほら腕を掴んだ時に気が付いたんだ…ゴメン」


「そう言えばあったな…別にラゴが謝る様な事は」


「いやでも、隠してたんだろ?女って事?」


申し訳なさそうにしているラゴに首を振り


「別に隠してる訳じゃ無いけど?」


「そうなのか?てっきり隠してるから、そんな格好してるのかと…あれもしかして私の勘違いだったのか…うわ!ロッカ本当にゴメン!」


顔を真っ赤にして焦っているラゴに


「ラゴの勘違いは自分のせいだから、謝らなくていい。自分が女の格好をしないのは…まぁ似合わないとかあるけど、この格好の方が色々な意味で楽なんだよ」


それに産まれてこのかたずっと男として育てられたせいでもあるけどなと、まぁ…そこまで言う必要もないだろうし、無用な心配はかけたくは無いから黙っている事にした、ラゴは自分の理由を信じたようで


「別に似合うと思うけど?ロッカがどうしても着たくないなら、それでいいと思うけど、これから先ずっと隠すのか?」


この先どうするのかと、バレてしまう事を問われ


「率先して自分の口から性別をの事を言いたくない…」


「そっか…判ったよ、私の口からは何も言わないが、もしヤバくなったら言うからな?男と女じゃ扱いが代わる。判るよな?さっき授業で習った様に女は大分優遇される、だけど男は力でしか優位に建てないこの違いは判ったはずだ…それでも知られたく無いと言うのであれば、私達にちゃんと頼れよ?何か力になれる事があれば手を惜しまないから…判ったか?」


ラゴが本当に心配してくれているのが判り頷くと、そうかと笑い


「だったら大丈夫だな!約束したからな?」


自分も頷くと、ラゴは外を見て


「おっと、もう遅い時間だな私も帰るかな。じゃ、また明日な?」


と手を振り帰って行った。すると帰ったはずのエンデとモモがラゴを待って居たのか外で待っていた、自分の視線に気付くと笑いながら手を振って帰って行った。3人のその後ろ姿を見ていると、いつの間にか話が終わったのかセレスが居た。


「話はもういいんですか?」


聞くとセレスは頷いて教室から出て行ってしまった、慌てて後ろに付いて行くと、シンクが前からやって来て、すれ違い様に睨みながら


「オイ、いい気になるなよ」


シンクに振り向こうとすると、セレスが


「どうした?」


聞かれ、何でも無いと首を振りシンクに振り返ったが、そこにはもう居なかった。今のは明らかに挑発だろうか…でもさっきの言葉は、一体なんの事だろうかと考えながら歩いていると、いきなりセレスに手を掴まれ


「そっちじゃ無い…」


どうやらセレスを追い越して道を間違えてしまっていたようだ…セレスを見ると心なしか楽しそうだ、何がそんなに楽しいのかじっと見ると


「変わってないんだな?方向音痴は」


まるで昔から知っているかのように言われ


「え?」


聞くと少し寂しそうな顔をした、それには答えてはくれなかったが、そのままセレスに手を掴まれたまま寮に付くまで離して貰え無かった。

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