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ポカポカと何だかとてもあたたかい…このまま微睡んでいたいのに誰かが自分を揺さぶっている。まだこのままでと、その手を払った。すると直に体を揺さぶられ渋々眠たい目を開けると、目の前にセレスが居た…ガバッと勢いよく起き上がり反動でベットから転げ落ちそうになったがセレスが腕を掴みどうにか留まった。朝からビックリし過ぎて何が何だか分からない…


「危なかった…ようやく起きたか?おはようロッカ」


聞かれたが、寝起きで分からず取り合えず


「お早うございます…」


と挨拶をすると、セレスは「そうか」と頷き戻って行った。取り合えず起きて、ようやく自分がベットに眠っているのに気付いた。一体どうして…昨日もベットの下で眠ったはずなのに…いつの間にか自分でベットに入ったんだろうか?首をかしげベットを見詰めていると、初日部屋のベット見た時から思っていたが…凄い豪華なベットだ何故か天蓋までついてるし、ジジの所でも立派なベットだったけど、その比では無かった、フワフワで柔らかく今までに無い寝心地だ。いつまでもベットに寝ている訳にもいかないし、取り合えずベットから名残惜しいが降りてセレスに声を


「あの、ヴェローナ様?」


セレスは不機嫌そうな顔で振り返り


「セレスだ。何だ?」


「…いや、セレス昨日私の事…」


「ああ、分かった。そうだ私が君をベットに移したが、それが何かあるか?そもそも何故ちゃんとベットで寝ない?風邪を引くから今度からはベットで寝た方がいい」


セレスに普通に説教されてしまった…不満げだったのがバレたのか、


「寝ていた君に何もしてはいないから安心して欲しい。女神に誓って。だが今度また、あんな所で眠るような事があれば…今度は私のベットに寝かすが?」


でもまたベットの下で寝るようであればセレスが何をするか分からないと脅され、


「大丈夫です!今日からはベットできちんと寝ます。」


セレスは少し残念そうに頷きこっちを見ていた。それにしても気配には敏い方だと思っていたが、昨日セレスにベットに移された事に全然気が付かなかった…疲れていたせいだろうか?そんな事今まで無かったのに…少し気が緩んでいたかもしれない、気を付けないとなと考えていると、いつの間にかセレスが自分を見ていた、セレスはすでに制服に着替えており身支度が出来いて、自分を待っていてくれているに気付き慌ててブースのカーテンを引き着替えた。制服に着替え終わり出ると、セレスは先に出て行った。自分もセレスの後ろを歩き付いていく、学校へ行くと思っていたがどうやら違ったようで、玄関の逆の方に行き勝手にドアを開けて部屋に入って行ってしまった。ドアの前で自分も入って良いのだろうかと悩んでいると、ドアが開き中から女性が顔を出して


「何をしているのですか?早くお入り下さいな、朝食の用意は出来ていますから、さあどうぞ?」


あれ?昨日会った寮の嫌味の女性じゃ無い?言われて中に入ると、テーブルには二人分の朝食が用意されていて、セレスはもう席に座り自分を待っていた。恐る恐るセレスの横に座り、女性を見ると自分の視線にニッコリと笑い、


「ほら!学校に遅れますよ?」


と諭され、一口食べて見ると


「美味しい!あのとても美味しいです…」


そう言うと、女性は腰に手を当てて


「それは、良かった!口に合ったようで、今後はあたしがこの寮の食事を作りますんで!ファナと言う者です、よろしく」


ファナは挨拶をした、この寮にそうゆう人が居たのかと、てっきり食事とかは自分で用意するものかと思ってたからビックリだ…昨日の女性はそうゆう事一切言わなかったから…するとドアが物凄い音をたて開き、入って来たのは昨日の女性だった、女性はイライラと自分達を見て


「何してんだよ!」


怒鳴り、文句を言っている。やっぱりかと手に持っていたスプーンを置き食べるのを止めると、セレスが置いたスプーンを持たせ


「ちゃんと食べるんだ朝食は大事だ」


でもと女性を見ると、ファナはヤレヤレと女性に向かって腕組をしたまま


「何って、朝食だけど?それが何か?」


女性はイライラとテーブルにバンと手を置き


「何勝手にしてるんだって聞いてるんだよ!」


「あーうるさいね、全く。あたしはここを任された者だが?それが?」


「はぁ?そんな事があるわけ無いじゃない!この寮は!この私が管轄してんのよ!勝手にして貰っちゃ困ります!おばさん」


女性の挑発に、ファナは笑いながらセレスを見て


「だそうですよ?セレス坊っちゃん?」


セレス坊っちゃん?思わずセレスを見ると、セレス一瞬嫌な顔をしたが直ぐに顔を戻して、女性に向かって冷たく一言


「出ていけ」


一瞬女性はポカンとした顔をした、次の瞬間顔を真っ赤にし何も言えずにいる。あれは…セレスのあの声で言われると、どんな命令だろうが聞いてしまいそうになってしまう…それぐらいの力がある、黙ったまま動けなくなってしまった女性を見て、セレスが手を二度叩くと、ドアの外で待機していた人達が入ってきて女性を連れて行ってしまった、一体何が起こったのか分からずにセレスを見てもセレスは朝食を食べていて何も言ってくれない、ファナは自分の後ろに回り寝起きでボサボサの髪の毛で髪をとかしてくれている、


「…あの…何して…」


とっさに振り返ろうとすると


「動かないで!」


たしなめられて、動けずにジッとしていると、後ろから


「何って、貴方女の子なのに、こんな髪じゃダメでしょ?食べてていいから、ジッとしていて頂戴?」


取り合って貰えず仕方無くセレスに


「ヴェローナ様…あの」


間髪入れず


「セレス!」


言い直されてしまった、困りながら


「でも…皆、クラスの人達はそう呼んでいますよね?」


セレスは頑として首を横に振り


「ダメだ!セレスと呼べ!」


後ろのファナが笑いながら


「いいじゃないですか?本人がそう呼んで欲しいと言ってるんですから?そう呼んでみては?」


そこまで言われてしまっては、それ以上の事は言い返す事も出来ず仕方無く


「………セレス?」


とたんセレスの顔が破顔した、一人満足そうにウンウンと喜んでいた、それを横目で見て思わずため息が出た。何だかんだで朝食も食べ終わりファナに見送られ二人で学校へ、この先平穏無事でありますようにと心から願った。叶わないと知りつつ。

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