シャドウ・レイク
アージョはインフェルノカイザー一行が前に歩を進めていた場所に来ていた。
その場所は、深い霧が立ち込める、湖の畔―そう、シャドウレイクである。
死の霧―デス・ミストと言われるその霧はアージョを包み込む。360度、霧。霧。霧。何も見えない。
しかし、アージョは己の心身を鍛え上げる為、この程度の霧など何ということもない、と思っていた。
自身は光の軍の一人に、敗北した。それも、自分の油断と、判断力の無さが生み出した結果であった。アージョはそれもまた、自分の実力の無さであると自覚していた。
強くなる為には、そういった事をきちんと処理できなければならない。アージョはそう思いながら、霧の立ち込めた湖をただひたすら、南へと下って行った。
2、3時間ほど歩いただろうか―アージョは一度も方向を変えず、ひたすら南下していった所、霧が晴れてきた。
シャドウ・レイクを抜けたのであろうか?
それにしては少し早過ぎる。何故ならシャドウレイクを突っ切るには最低でも5時間ほどはかかる。それにしては早過ぎるのだ。
そして、アージョはその理由に気がついた。町―町だ。霧の中に―いや、霧は晴れている。
そう。
そこはブルジョワシティだった。
「こんな所に、町なんてもんがあったのか…。こいつは驚いた」
アージョが町の入口へと入ろうとしたその時
「まて!」
横から呼び止められる声がした。
アージョが振り向くと、そこには一人の幼い少女―
「あぁ…?」
アージョは目を細める。エメラルドのぱっちりと開いた瞳、そしてピョン、と跳ねた青の髪の毛。
首にはマフラーを巻き、そしてなんといっても一番目につくのは彼女の抱いている鮫の人形。そして服には鮫のマーク。
「おぬし…この町の者か!?」
「あ…?俺はこの町のもんじゃないが…お譲ちゃん、何か用か」
「うむ!実はしゃるも此処に来るのは、はじめてだ!よってな、此処はどこなのか、教えてほしいのだ!」
少女は目をらんらんとさせ、アージョに聞く。
アージョは確信した。この子は迷子か―
「そうかそうか。じゃあお譲ちゃんは迷子になっちゃった訳だな。此処は町の入口だと思うぞ。此処から出たら家に帰れなくなるから、引き返してみなさい」
「なにを言っているんだ?しゃるはこの町にきたのは初めてだ!あとしゃるの家はここじゃない、深海都市だ!」
「えーっと…(めんどくせ…)じゃあな」




