ブレイク
「取れない…」
石の指輪を指で引っ張り、取ろうとするも指輪は完全にガッチリと嵌り、取る事は不可能となっていた。
「お湯につけたりしてはいかがか?」
「何処にお湯があるんだよ」
アージョの提案は却下されてしまう。
「…何でだろうか。はめた時はなんてことなかったのに」
ザラザラとそこらに転がっているような石ではない、触りの良い石。そのような感触の石の指輪を、指で撫でながら、インフェルノカイザーは不思議な気分に陥っていた。
勿論、それは指輪が取れないという理由だけではない。
「気にすることは無いだァ。指輪なんていつかとれるさーね。それよりも…」
タケシは振り返る。
そこには無の世界―Nothing world―そう、何も無い。
エクストリーム砲の一撃により、先程まであった市民の叫び声も、非難も、そして光も闇も全て無へと返してしまった。
「こいつは、とんでもない事になってしまった…」
いつもふざけた口調のタケシも、こればかりには、いつも通りではいられなかった。
光軍は、自身の力を倍増する装置を創ったことにより、勢力を一層と上げた。
異世界側のタケシも、世界が違うからといって他人事はしていられなかった。
(奴等をそろそろ此処で止めなきゃいかんとねぇ…)
「クッ…。我が街も、長老も、そして皆も…皆、奪われてしまった…」
アージョの顔には悔しさと悲しさが刻みつけられていた。エルリークはそれを見、過去の自分を見ているような気がした。
(また、光の奴らが…)
エルリークは空を仰ぐ。空だけは無に帰されてはいない。何故なら空は常に無であるからだ。
光の街があった頃、そして今―真っ平になった地上は変わり果てていても、空はその姿を一切変えていないのだ。
「これ以上、奴等の思い通りにはさせない」
そう、誓った。
「…お前達、これからどうするんでィ」
タケシはまた、インフェルノカイザー達の方を見て、行く先を聞く。
「俺等は天上天下唯我独尊戦国無双連邦を目指すよ。まだ、課題はたくさんあるけどな」
ダークウルフは暗黒微笑する。
「俺も、この世で最強の剣士になる為にまだまだ精進が必要らしい。俺は一人で剣の腕を磨くことにするよ」
アージョは3つの刀をまた腰に携え、立ちあがった。
「そうか…。頑張れよ、自称剣の達人」
「自称じゃない!マジモンだ」
また、旅は始まる―




