絶望と希望
「・・・てめぇら・・・何者だ・・・?」
エルリークが意を決して問う。
「フフ。兄さんは天上天下唯我独尊戦国無双連邦の幹部の一人、そして僕も幹部の一人さ^^」
チャン・ディオールが爽やかな笑顔で答える。
だがその笑顔はインフェルノカイザー達には煽りにしか見えていなかった。
「お喋りがすぎるぞチャン。何故貴様がここにいる。」
クリス・ディオールは目つきを鋭くさせ問う。
「フフフ^^エクストリーム砲の第一段階の試し打ちをするって聞いたんでね、連邦にはナイショで見に来たんだ^^」
「でも、やっぱり兄さんにはかなわないや^^闇の住人を相手に圧倒した上に僕を見つけるんだからね^^」
チャンは喋りながらクリスの方へ瞬間移動する。
「まずい・・・」
インフェルノカイザーはどうすればこの状況を切り抜けられるかを考えていた。
しかし絶体絶命。切り抜ける策など皆無である。
「愉しませてくれた例だ。一発で終わらせよう・・・。」
そう言うとクリスは膨大な光のオーラを放つ。
隣でニコニコしながらチャンは見物していた。
「終わった」
三人は同時にそう思った。
そのとき
「クリス様!市民の制圧完了いたしました!!」
威勢のいい声で部隊長が部屋に駆け込んできた。
外で気を引いていたアージョ(気絶中)のオマケ付である。
「・・・・・・・ご苦労だった。」
クリスは光のオーラを収め、隊長の対応をする。部下を褒める上司の鑑である。
一方の隊長は部屋の様子を悟り、気まずい表情をする。
「今だ!!」
インフェルノカイザーはクリスの一瞬の気の緩みを見逃さなかった。
脚に渾身の力を込め、クリス・ディオールへ向け飛び出す。
その速さはまさにハヤブサである。
「っ!カイザー!!」
遅れて気づいたダークウルフが叫ぶ。
「終わりだぁぁぁあああ!!!!!!」
破壊剣グルングニルンを振りかざし、闇のオーラを撒き散らしながらインフェルノカイザーはクリス・ディオールへ突っ込んだ。
「うおおおおおおお!!!!!!」
インフェルノカイザーの斬撃が唸る。
ズバシュェア!!!
インフェルノカイザーは確かな手ごたえを感じ仕留めたと確信していた。
しかし・・・
「最近の子供はあぶないなぁ~^^^^」
チャン・ディオールがクリスの前に立ちふさがっていた。
右手には部隊長が吊り下げられている。
「なっ・・・!?」
インフェルノカイザーは目の前の惨劇に戸惑っていた。
「あいつ・・・見方を盾にしやがったのか・・・!」
エルリークが落ち着いた口調で呟く。
部隊長はすでに絶命していた。
傷口はグルングニルンにより朽ち、とても無残な姿の部隊長がそこにいた。
「チャン、余計な真似を・・・。」
「へへ^^つい手がでちゃった^^^」
チャンは部隊長の死体を壁に放り投げ、
何も無かったのかのように微笑む。まさに暗黒微笑。
「だが・・・この距離なら・・・!」
インフェルノカイザーは気転を利かせ、クリスに斬撃を放つ。
「稚拙な・・・」
クリスは斬撃をいとも容易くいなす。
負けじとインフェルノカイザーも追撃する。
「どうした?太刀筋が乱れているぞ?」
「おおおおおお!!!!!!!1」
インフェルノカイザーはただ我武者羅に剣を振るい続けた。
しかしクリスは完全に見切った上で余裕の表情でいなす。
「落ち着け!カイザー!」
ダークウルフの叫びが轟く。
しかし今のインフェルノカイザーにその叫びは届いていなかった。
グワッシ!
「っ!?」
クリスは光のオーラを纏った右手でグルングニルンの斬激を受け止めた。
「いい加減にしておけ。今の貴様に私は倒せん。ましてや・・・このヒビの入った凡剣ではな・・・!」
クリスは右手に力を込める。
パキィン
「・・・え・・・?」
インフェルノカイザーは何が起こったのか理解できなかった。
「マジかよ・・・」
ダークウルフが力無しに呟く。
「あのグルングニルンが・・・」
エルリークも驚きを隠せない。
それもそのはずである。
「折れた・・・?」
インフェルノカイザーの身に想像を絶するほどの絶望と悲しみが襲った。




