空前絶後の大団円
「マジで勝っちまうなんて・・・信じられねえ」
ダークウルフは勝利を実感できない様子である
無理もない、クリスの力─チカラ─は圧倒的だった。その数値はインフェルノカイザーの倍であったはずだ
「諦めなければ勝利の悪魔は必ず俺たちに微笑む、そうだろう(ニコッ)」
インフェルノカイザーは微笑む、正に暗黒微笑である
─しかし─
エルリークは驚愕した様子で言い放った
「アイツの死体が、無ェ・・・!」
その場に居た全員がクリスの死体が"あった"場所を見る
しかし、そこには無い
槍どころか、血すら一滴も落ちていなかった
「お前ら!」
エルリークが怒号を飛ばす、三人はその怒号に合わせ背中を向け合う
戦慄、緊張。
三人は武器を構え注意深く、部屋の隅々を凝視する
─その刹那─
ガンッと鈍い音が部屋中に響き渡る
その音の正体は無数の槍であった
インフェルノカイザー達を囲むように無数の槍が地面に突き刺さっている
そしてこの槍は、クリス・ディオールが持っていたものと同じ形をしていた
インフェルノカイザー達は息を呑む
「下衆の割りにはよくやった方だろう」
槍の向こう、インフェルノカイザーの真正面に"ソイツ"は居た
「なんでテメェが生きてやがる!」
ダークウルフは叫んだ
クリスは微笑を浮かべ、こう言い放った
「残像だ」
「なん・・・だと・・・?」
インフェルノカイザー達は驚愕の表情を浮かべた
「そろそろ姿を見せろ、そこに居るんだろう?」
クリス・ディオールは言った
インフェルノカイザー達は理解できていない
それは当然である、なぜならその言葉は"その場にいるがその場にいなかった者"に向けられていたのだから
「ちぇっ、バレてたか、流石は兄さんだね」
クリス・ディオールの位置の反対、インフェルノカイザーの背後から声が聞こえた
そこにはクリス・ディオールと全く同じ姿をした人物が立っていた
「ああ、ごめんね。急に出てきちゃって」
「僕の名前はチャン・ディオール。そこにいるクリス・ディオールとは兄弟なんだ、僕は弟、そちらは兄。以後お見を知りおきを」
男は笑顔で言う、しかし、インフェルノカイザー達にとっては笑い事ではない
彼らにとって彼は新敵であり、恐るべき相手である
彼らは焦っていた、一言も発することができない
状況は最悪のなかの最悪、絶望であった




