インパクト
「さぁ…死んでもらおうか」
シャキン、と光槍をダークウルフ達に向ける。
ダークウルフにかつてない恐怖感が漂い始めた。勝てない…。
一瞬にして背後に回り込むスピード、そして急所を的確に突く正確性…。エルリークの反射神経があったからこそ急所は避けられたものの、通常では即死は真逃れない。
(真闇を使うという手もあるが…使っている間にやられてしまうだろう…)
ダークウルフはどうしようもなかった。絶対的強者を目前にすると動揺も重なり、勝機は皆無に等しい。
ダークウルフはただ、クリスに向けて身体を構える事しか出来なかった。
「そんな構えでは私は倒せない…一発で仕留めてやろう」
シャ
クリスの体が一瞬にして消え、ダークウルフの背後をとる。
ダークウルフが気付いた時にはもう遅かった。0.07秒の反応速度でさえ、クリスの速度には敵わない。
「天突」
ドバアアアッ!!
クリスが勝利を確認したかのように呟き、槍をダークウルフに突きとおそうとしたその刹那、強大な闇の波動がクリスを覆った。
その闇の波動は出入り口から放たれていた…。そう、インフェルノカイザーである。
「真闇」
インフェルノカイザーの髪の毛が逆立ち(元々逆立っている)、全身から真の闇の波動がこんこんと沸き立っている。そう、マントルのように。
「…まだ生きてるか。下衆の割にはやるな」
クリスは身体に纏わりついた闇のオーラを光のオーラで吹き飛ばす。
真闇を以ってしてもやはりヤミノマは出来なかった。何故ならクリスのオーラ量がインフェルノカイザーのオーラ量と同程度だったからだ。
「貴様程の実力者、久しぶりだ…。私も楽しめそうだ。本気で挑もう」
クリスはそう言うと、シュン、と瞬間移動し、壁にかけてあった二つ目の槍を左手に持った。
「二槍流」
もう片方の槍にも、同程度の光オーラが漂う。つまり火力が二倍になったということだ。
しかし、インフェルノカイザーは動じなかった。
「ダークウルフ、奴は強い。此処は協力して倒すぞ!」
「え、お、おう!」
ダークウルフは驚いた。インフェルノカイザーはこの男を倒すつもりなのだと。
恐らくインフェルノカイザーの実力からしてもクリスには勝てないだろう。しかし、彼の闇の目の奥には光が見えた。
そして、彼の目を見るとダークウルフもそれまで見えなかったそれが見えてきた。
勝つ気である。
「お二人さん、悪いが俺を忘れないでほしいなァ」
その直後、後ろで声が聞こえた。そう、茶色の禿―エルリークである。
彼は肩を負傷していた…はずだったが、彼の肩は黒く焦げていた。
「エルリーク?!確か怪我していた筈じゃ…」
「焼いて塞いだ」
「ええええええ!?」
ドラゴン拳から放たれる竜の炎でエルリークは傷を塞ぎ、止血していたのだ。
しかし、身を炎に委ねるという行為は常人では考え付かない―やはり只者ではなかった、この斧使いは。
「さっきはヘマしちまったが…本気を出すぜ。真の黒卯兎、見せてやるわ」
「ほう…二人とも復帰するとは、大した気力よ。しかしこの二槍を止められる事ができるかな。そして私もな」
そういうとやはり素早い速さでインフェルノカイザーに向けてクリスは突進してきた!
それも、二つの槍をまるで牛角の様に突きだしながらである。
「【暴走する光の暴れ牛】ライトニングブル!!!!」
シャアアアアアオン!!
インフェルノカイザーは手を翳す。
「闇飲―」
「無駄だ!例え貴様の闇オーラで吸引したとて、この二つの槍、止められん!」
が…インフェルノカイザーは即座にしゃがんだ。
「何ッ…?!」
そして、直走する二つの槍を伏せることにより交わし、クリスの足に向け闇飲を放つ。
シュイイイイイインッ!
「なっ…」
光のオーラが吸収される。クリスは間合いを取ろうとする。
が…自身が纏っている光のオーラが吸引されている為、動けない。
「ちっ…」
そこへ、ダークウルフがブリンナイフを持ち、闇の波動を放ったブリンナイフをクリスの両手に投げつけた。
ザクッ!!!
「グッ!!」
クリスは痛みのあまり、二つの槍を手から離す。二つの槍は光のオーラを失い、力なく転がる。
「糞が…ならば光オーラを…。ライトニング―」
「させねえぜ」
斧を振りかざす禿―
「【大躍動】ブラックラビッツ」
ズバアアアアアアッ!!!!!!!
熟練の斧は、鮮血を浴びながらクリスの体を横に、真っ二つに斬り裂く。
「があああああっ…許せん…」
真っ二つにされたクリスはそう言い、倒れ、動かなくなった。




