mad reeeenu
「さっさとこの町を出よう。エルリーク!」
「合点でい!!」
エルリークはインフェルノカイザーとダークウルフの荷物を担ぎ立ち上がる。
「行くぞ!!」
ドドドッドドドドッドド
ものすごい速さで町を駆け抜ける!
その速さ―時速30m―
「うおおおおおおおっつ!!」
「もうすぐで町の外だ!」
その時!
ドンッ☆
「きゃっ」
「ギフッ!」
女の子に当たって三人は倒れこんだ。
「あいたたァ…」
「あのっすいませんっ、大丈夫です?」
「いや、全然大丈夫だ。そっちは?」
「全くもって大丈夫ですが…その、お連れの方が…」
「グォ」
エルリークは荷物につぶされていた。
「エルリーク!」
「急に止まるなや…分からんやんけェ」
「ああ、すまんすまん」
ダークウルフが荷物をどける。
「ほんと大丈夫です?皆さん、ごめんな…!?」
少女がインフェルノカイザーの装備している剣を見て目つきが変わる。
「もしや貴方達…闇の世界のっ!」
「え?あ、あー…うん」
「その剣は真の闇使いしか手にすることができないと言われる真闇の剣…!まさか、この目で見ようとは思いませんでした」
「これはこの町にすんでいるおじいちゃんから貰ったんだが…そんな凄いモンだったのか」
「そういや、なんでアンタはそんなのに詳しいんだ」
「私ツッキと言います。ツッキ・ユービ、好きな食べ物はマドレーヌ」
金色に輝く髪を靡かせながら少女は自己紹介をした。
「俺はインフェルノカイザー、真の闇使いだ」
「俺はダークウルフ。インフェルノカイザーとはマブ」
「我が名はエルリーク。砂漠のドラゴンと呼ばれるドラゴン拳の使い手」
「そういやジジイがツッキちゃんが光に詳しいって聞いたんだが」
「光のことですか?光のことならお任せください!で…光がどうかしたんですか」
「俺たち、光の連邦軍を倒しに行くんだ」
「ええっ!」
ツッキーは驚嘆する。
「私…仮にも光側の住民ですし…そんな方々に光の情報を教えるのは…」
「そうか、なら仕方ない…行こうみんな」
「え、退くの?」
「さっさと行くっていってんだろハゲが!!!」
「うぇい!!」
三人はさみしそうにその場を去ろうとする。
「ま、待ってください!」
「?」
「その、あのー…光について…少しだけなら教えます…」
「ええっ!」
「とりあえず私の家へ行きましょう」
三人はツッキ・ユービと共に家へと向かった。
「ククッ…まさか光の情報を此処で得る事が出来るとは…」
ダークウルフが不敵な笑みを浮かべる。
それを見たインフェルノカイザーは何故か不快感を感じた。
「ククッ」と言う闇特有の笑い方に。
(なぜだ…?前は俺も鳩のようにククッククッと笑っていた…)
「ここが、私の家です!」
カランコロン☆
つきちゃんの家はなんと武器屋だった。
「私、武器については右に出るものはいないと自負している程です!闇から光から異世界のものまで何でも来い!です!」
「へぇー。じゃあコレ何か分かる?」
ダークウルフが二つの短剣を渡す。
「これはブリンナイフ!この剣は闇のオーラが込められていて、闇の住民にしか扱えない特別なナイフです。一部の闇の住民はこのナイフを料理の際包丁代わりに使うこともあるみたいですネ。何故ならこの切れ味。研ぎ澄まされた刃、そしてこの鋭い闇のオーラ…あ、そうそう、このナイフの由来ですが」
「あーっ!もうそこらへんで!」
「あ、しゅしゅいません!私、武器の事となると人が変わるみたいで…」
しゅん…
(おお…)
エルリークがポッとなる。
「ごめんごめん。それで、光の事について少し教えてくれないか?」
「あぁ、ハイ。皆さん光を倒そうとしてるんですっけ…なんでそんな事するんですか?」
「親父が殺された。その仇討ちなんだ。それに、最近光の連邦軍がやることはおかしい」
「えぇ?そんなおかしい事しましたっけ?光の新聞紙「光速新聞」にはそのような事は全く書いてないですよ?」
「そりゃ光の書く新聞にはそんなのかいてねーだろ!」
「あぁ!すいません!確かにそうですね。それじゃ、光について教えてあげましょう。光っていうのはこういうものです」
ピカアアアアアア
ブワアア
充ち溢れんとばかりの光のオーラが家の中を隅々まで照らす。
「おお…暖かい…」
闇の住民のダークウルフはその光の暖かさに包まれる。
しかし、ダークウルフは違和感を感じた。
光の連邦軍の光のオーラとは、これとは違う、もっと攻撃的な眩しすぎる光のオーラだったのだ。
「つきちゃんのオーラ…他の光のヤツとは違うなー」
「そうですか?これが本来のオーラですケド…」
「???」
「これが…本当の光?」
ダーク・ウルフは未知のオーラに不思議な感覚を覚える(不快ではない)
「光とは元々は生ける者全てのエネルギー、つまりは生命の源なんですよ…」
「成程…だが前の光の連邦軍の光のオーラ…(あれはまるで攻撃的…そう、黒き太陽ダークサンのように)」
「なぁツッキ、光のオーラの事は分かったんだが、連邦軍について知らないか?裏の情報とか」
「実を言うと私は連邦軍については何も知らないんですが…一人、連邦軍に属している人を知っているんです、それを教えようと思って」
つきちゃんは地図を広げた。
「えーっと…此処から東に30km…のところの【フラッシュタウン】という場所にいるんです」
「ほう。それじゃ、そこに行けば光の連邦軍の情報について詳しく知ることが出来るのかも」
「すいません。貴方達の事を多少疑っていました。確かに、貴方達は闇の住民ですが、闇とはこういうものだったんですね」
「?どういうことだ…?」
「貴方が光の事を知らない様に、私達も闇の本質について知らない事があったんですよ。武器じゃない、人の闇のオーラを…」
「…ああ、ツッキ、ありがとうな。それじゃ、みんな行こうか!」
インフェルノカイザーが立ち上がる。
「武器について分からない事があったらいつでも寄ってください!」
ツッキはペコリと礼をし、インフェルノカイザー達は若干の笑みを浮かべ、ブルジョワシティを後にした。
「インフェルノカイザー…不思議な人でした」
「いや…奴から闇のオーラだけでなく、光のオーラも感じ取られるとは…」
此処でも、彼が【特別】な存在だということに薄々気づく者達がいた。




