目覚め
「カイザー、あぶねえ!!早く逃げろ!」
ダークウルフが叫ぶ。
しかしカイザーは何を思ったか、カプリコに向け猛突進をしていた。
「カイザー!?」
「ははは!!とち狂ったか!!異の次元へと消え去れェエェェェェ!!!」
エクストリーム砲はシュオオオン…と、無慈悲にも発射まで後一秒、と言ったところであった。
しかし、その時カイザーの速度が凄まじい程に飛躍する。
「ハァアアッ!!」
ギュンンンッ!!1
その速さ…まさに光速…。
カイザーはカプリコの懐へと潜り込み、カプリコの左手の甲を思い切りひっぱたく。
「っ!?」
カプリコの左手に激痛が走る、思わずカプリコはその銃を放す。
だが、エクストリーム砲はまだその銃身をカイザーに向けたままであった。
カイザーは凄まじい速度で右脚を振るい、エクストリーム砲をカプリコごと蹴り、吹っ飛ばす。
「ガァアアァッ!!」
カプリコは今度は叩きつけられることはなく、壁に埋まる。壁にはヒビが入っていた。
「き、さまぁ…」
カプリコが血を吐きながら埋まった壁から出ようとする。
しかし、彼が目にした光景は絶望であった。
「な…!?」
床に転がったエクストリーム砲…。その銃身は偶然にも彼自身に向けられていた。
発射まで、後0.1秒…。
「た、助…!」
ドゴオオオオオオオオオオオム!!!!!!
エクストリーム砲によって次元が引き裂かれ、カプリコは飲み込まれる。
壁は崩壊…いや、飲み込まれ、凄まじい轟音が響き、施設に大地震かと思われる程の揺れが生じた。
ゴゴゴ…
「ハァ…ハァ…」
カイザーは光のオーラを解き、左手を抑える。
轟音と砂煙が去った後には、カプリコの姿は無かった。
「や…ったか…」
カイザーは勝ちを確信すると、エルリークの方へと向かった。
エルリークはダークウルフの闇の回復魔法によって一命はとりとめていたもの、まだ意識は無かった。
「ダークウルフ…すまんな、いつも」
「何言ってんだよ、カイザー。お前がいなかったら勝てなかったんだぜ。それにしても、カイザー、お前の光のオーラ…」
「あぁ…。普通じゃあんな光のオーラなんて出せないよな…」
カイザーは自分に問いかけるようにそう言った。
「でも、そのお陰で勝てたんだぜ」
「…そうだな」
ダークウルフはエルリークを担ぎ、インフェルノカイザーと共に実験室を後にした。
「グ・・・奴の光のオーラは一体・・・?」
インフェルノカイザー達が部屋を後にしたタイミングを見計らい、ファルはゆっくりと起き上がる。
身体はボロボロ。いたる所に激痛が走るものの、壁を伝い立ち上がる。
「幹部であるカプリコを倒すとは・・・侮っていたか・・・。だがこれは良い土産話になる。」
ファルはよろよろと歩きながらそう呟いた。ファルは廊下に出ると同時にあることを思いついた。
「奴等が負傷している今なら仕留めるチャンスか・・・。この施設ごと葬ってくれる・・・!」
そう言うとファルは早足で歩を進めた。




