戦いの火蓋
エクストリームライフルから発射された弾丸はインフェルノカイザー達へと突き進む。
弾速はそう速くない。だが発せられるエネルギーはナウマン像並。そう判断したカイザー、ウルフ、エルリークの三人は散開し特に問題なく避けた。ただ二人を除いては。
「しまった!あいつらが!!(忘れてたやばい)」
「うおおおおおお何か来たあああああ!!」
「臭っさ!あれ臭っさ!!」
ドォォオオオン!!!
弾丸は二人の元へと着弾し、光と闇の混ざり合った爆風が発生した。
「なんてこった…」
悔しさのあまりウルフが壁を殴る。
「ゲッホ!ゲホ!まじゲリだわー」
「サーチ&デスチョロイだからリスポーン無ぇってのに…ってあら?」
だがそこには爆風に飲み込まれたはずのミドリヴィッヒとコッセティーニが平然としていた。
シュイイイイイイイン!
「え?」
その刹那、二人の背後の空間に亀裂が走り、一畳ほどの大きさの穴が現れた。
そして穴は二人を飲み込まんとするように吸引する。
「っちょ!何これぇええええええええ」
「いやもう何これキモイキモイキモイ」
スポン!
っと言った音を起て、二人は穴へと吸い込まれた。
そして穴はズズズと音を起て塞がってしまった。
その状況をただただ傍観していたインフェルノカイザー、ダークウルフ、そしてハゲ。
「これ程のオーラでもこの程度の超次元ホールしか開けぬのか…」
「お前、今何をした!?あいつらはどうなった!?」
インフェルノカイザーはカプリコへ向かい叫んだ。
カプリコは表情一つ変えず答える。
「今のは次元を切り裂き二人を異次元の世界へと飛ばしたのだ。まぁ生きてはおらぬだろう」
「なん…だと!?」
その瞬間、カイザーの身体から闇のオーラが噴出した!
「この野郎ォォオォオ!!!!!!覚醒-バースト-!!!!!」
インフェルノカイザーは覚醒-バースト-を発動し、カプリコへ向け突っ込んだ!!
そして覚醒─バースト─によって生成された漆黒の右手をカプリコに振りかざした。
「ぬうっ!!!」
カプリコは左手でそれを防ぐ。
しかしカイザーの攻撃はその程度の防御では抑えきれなかった。
轟!という音と共にカプリコがエクストリームライフルを片手に持ったまま吹き飛ばされた。
カイザーの攻撃を防いだ左手はズタズタに引き裂かれている。
「ぐぅっ・・・これが覚醒─バースト─か・・・聞いていた通り恐ろしい威力だ」
「テメェは絶対に許さねぇ・・・立て」
カイザーがゆっくりとカプリコに近づいた瞬間、カイザーの背後で甲高い金属音が鳴り響いた。
ダーク・ウルフが、カイザーに向けたファルの剣撃を短剣で防いだのだ。
「チッ・・・余計な真似を!」
「余計な真似はテメェだ、カイザーの戦いの邪魔はさせねェよ」
ウルフはそう言うとファルの脇腹に鋭い蹴りをくらわせた。
「がはっ!」
「今だ!エルリーク!」
「おう!」
蹴られた方向にはがっしりと斧を構えたエルリークがいた。
エルリークはその斧を体全体を回転させファルに振りかざした。
強烈な轟音、飛び散る石片、破壊される地面。
エルリークの斧はファルの体を真っ二つにすることなく、地面へ叩きつけられる。
「くっ!厄介な・・・!」
ファルはエルリークの一撃を寸前のところで回避していた。
「舐めるなよ、餓鬼共・・・!」
ファルが殺意の篭った眼光でウルフとエルリークを睨みつけると手に持っていた剣を構え直す。
ファルが構えた剣は一種のショートソードであった。
しかしただのショートソードではない。
その刃には痛みを増幅させる闇の魔術「ディフューズ・ペイン」が掛かっていた。
「崇高なる魔将ファル様ともあろうものが、餓鬼相手に大怒りとは、大人気ないねェ」
ウルフも両手の双剣を構え直し、ファルを見据える。
「俺は餓鬼とはいえん年齢なんだがな」
エルリークも地面に突き刺さっている斧を抜き、構え直した。
「カイザー!」
ウルフが叫ぶ。
「─死ぬなよ。」
「─当然だ。」
その言葉と同時に、三人は各々の敵に向かい、飛び出した。




