受け入れられないトゥルース
「ありがとうござい!助けて頂いて…マジ感謝!」
男がよろよろ立ち上がりながら礼を言う。
「おい、大丈夫か…?」
「ええ平気です、これくらい…」
男はボロボロになりながらもインフェルノカイザーに笑みを見せる。
「ところで、どうしてアイツ等にあんな事やられてたんだ?」
ウルフが質問する。
「ええ…それは、街を歩いていたら、知らないオッサンから『こいつを預かってくれ』とせがまれたんでね…」
男はそう言いながら闇色に光る石を見せた。
「闇の結晶石…!」
ウルフが声を上げる。
闇の結晶石とは、闇の世界だけで生成される石の事で、中に大量の闇のエネルギーが込められている。
「どうして、こんなものを…」
「恐らく、この街から出ようとしてたんですよ。此処は光側の街。こういう危ないモン持ってたら即OUTっすよ!」
「この街から出る?」
「実はこの街、闇側との戦いが終わった後すぐ光側に移ったんすよ、それまではどちらにも属さない所謂中立国ってヤツっす。そして光の連邦軍は元々此処に住んでいた闇の住人を排除した…。あのオッサンも闇の住人だったんスよ」
「そんなものを、どうして受け取ったんだ?そもそも、闇の結晶石なんて持ってても隠しとければバレないんじゃないか」
「しつこくせがまれて挙句の果てに『闇にのますぞコラ』と脅しかけられたんで…。あと、闇の結晶石は持ってるだけでバレます。なぜなら、光の連邦軍は『ライト・ファインドアイ(光は影を照らし、真実を暴く)という光の技を使い目を光らせてやすから、文字通り。この技は闇のオーラを放っている人物、物体に対して強い反応を示す技っす」
「成程…。それでは、此処に俺等がいたらヤバイって訳だな」
「おいどーすんだよ!ないわぁ…」
ダークウルフは打ちひしがれる。
「今からでも遅くないっす。さっさと逃げた方がいいですよ、あんた達闇の住人はこんな所来ちゃいけない。それとあんた達にこの石あげるっす。」
「いや、それはありがたいんだがいいのか?」
男は石を差し出しながら言う。
「こんなもん持ってたら他の街に行ってもおちつけないっすよ!それに見ず知らずのオッサンのせいで危険な目に遭うのはゴメンっす!」
「そうか。わかった。この石は俺が預かっておくよ。」
インフェルノカイザーは石を受け取り懐へとしまう。
石からは脈打つような闇の波動が溢れ出ている。
「さて、じゃあまず宿に戻ってエルリークと一緒にこの街を去ろう」
インフェルノカイザーが動こうとする。
「待て!」
それをダークウルフが止める。
「何で止めるんだ、早くしないt…」
ザワザワザワザワ!!ドドオドド!!ンンン
何やら表の方が騒がしい。
「見ろ…」
ダークウルフが指さした先には、連邦軍の大軍が列をなして宿のある方向へと走っていた。
そう…邪巣湖である




