黒き蹄は敵を踏み砕き、黒き詠唱は敵を狂わせる
「インフェルノカイザー様、ダーク・ウルフ殿のお力に添えることができる者達が見つかりました」
「おお、そうか。是非紹介してくれ」
バシリアはインフェルノカイザーに駆け寄りそう伝え、インフェルノカイザーはそれに快く受け答えた
「この者達です」
するとバシリアの背後から二つの人影が前にでてきた
「名前はカニスといいます!黒蹄騎馬部隊 ─ブラックホース─ 所属です!よろしくお願いします!」
「名はレッドギルド・・・黒唱魔術部隊 ─ブラックスペル─ 所属・・・」
一人はやや小柄だが元気の良い、青い髪色をした少年だった
もう一人は顔全体が赤い布で覆われており、素顔はわからないが高身長で全身に赤いローブを纏った男だった
「このカニスは将来を有望視されている黒蹄騎馬部隊所属の少年です」
「そしてこのレッドギルドはその卓越した魔力と非常に多くの実戦経験で黒唱魔術部隊のエースを担う男です。・・・ただ少し変わり者ですが」
「そうなのか。二人共、今回はダークウルフの事、くれぐれもよろしく頼む」
「はい!」
「・・・」
カニスという少年は元気よく返事をし、ギルドレッドという男は軽く頷いた
「そうか、この二人が・・・」
インフェルノカイザーはダークウルフの元で先程の二人の紹介をしていた
「相手はおそらく連邦の中でも相当高位な魔術師だと考えられてる、気をつけろよ」
「ああ、わかってるさ」
「そういやエルリークは?」
「城下町に身支度を整えにいってるよ、どうやら斧を補強したいそうだ」
「そうか・・・、そういえば皇帝から授かってきたものがあるんだ」
そういうとインフェルノカイザーは背中に担いでいた大袋を地面に置き、中を開けた
「これは・・・?」
「一週間分の食糧と水、そして薬草と解毒薬、そして金貨だ」
「それとこれも」
そう言うとインフェルノカイザーは袋の底からあるものを取り出した
「これは『黒魔双刀ダークジェネシス』。宮廷の鍛冶職人が拵えた双剣だ」
「そしてこれが『黒断双斧ダークエグゾダス』。これも同じ人が作った斧だ」
「これを俺達に・・・?」
「ああ、皇帝が職人に直接作らせたんだ。ありがたく使わせてもらいな」
「ああ」
ダークウルフは双剣を持ち、自分に今までにない力が湧いてきたことを実感した
そしてウルフは決心した、絶対に救うと。
そうこうしてると斧の補強を終え、宮殿へとエルリークが戻ってきた。
そしてカニスとレッドギルドと軽く挨拶を交えたところでダーク・ウルフが口を開いた。
「さて、そろそろ出発しよう」
「それはいいんだがウルフよォ、お前その毒野郎がどこにいるのか知ってんのか?」
「え…?」
その質問にウルフは答える事ができなかった。
母を救うと誓ったものの、興奮のあまり敵-ターゲット-の特定を忘れていたのである。
これにはウルフも苦笑い。
「お待ちください」
すると宮殿の通路より声が響いた。
「バ、バシリアさん!」
「闇の情報網を使って毒使いの所在を知る人物を連れて来ましたよ」
そこにはバシリアともう一人、見慣れない男がいた。
茶色のコートで身を包み、背中に変わった形をした剣を背負った男だ。約27歳。
「あんた等が俺の力を借りたいって物好きかい。ま、報酬分の働きはすっから期待しといてくれよ」
男は軽い口調でウルフに手を差し伸べてきた。
「毒使いの情報を知ってるとはありがたい。よろしく頼むぜ!えーっと…」
「名はアウス。まぁしがない傭兵だ。よろしくなボウズ」
そう言うと二人は固い握手を交わした。ここにまた友情が芽生えた。
一時間後・・・闇門前―
「それではお気をつけて行ってらっしゃいませ」
「ああ、わざわざこんな所まで見送りありがとうバシリアさん。絶対生きて戻るよ」
バシリアがウルフ達を見送る中、黒蹄騎馬部隊 ─ブラックホース─の精鋭馬、「シャドウ」に跨りながらウルフは答えた。
「毒使いがいるのはここから南に約630㎞先にある『キャスバンビレッジ』って村だ。まぁ今じゃ廃村だがな。カニス、この馬だとどれくらいかかる?」
アウスは馬を撫でながらカニスへ問うた。
「そうですね…こいつ等なら1日とちょっとで付く見込みです!」
「馬っつうのもいろいろいるんだな」
ここまで空気だったエルリークが言う。
「よし!じゃあ出発だ!!」
ダーク・ウルフ、エルリーク、カニス、ギルドレッド、そして新たに加わったアウス。
五人は勢い良く馬を走らせた。




