差別と阻害、深紅の眼
「ふう…やっと外に出れた」
インフェルノカイザー、ダーク・ウルフ、エルリークの三人はDDTを登り切り、デス・デザートの地上へと出ていた。
通常なら三日かかるあのDDTを、この三人は僅か1時間程で登りきってしまった。
やはり彼等は天才である。
「久し振りの光、眩しいぜ」
「ああ。俺はもう二度とあんなとこはゴメンだな」
ダーク・ウルフはバルロスを思い出しながら言った。
「そこでお前らに朗報だ。このDDTを登り切ってしまえば砂漠の出口はすぐそこだ。そこに街が見えるだろう?」
エルリークが指さした先には、大きな建物が立ち並ぶ街が見えた。
「実はこの砂漠を渡りきるには地下から行った方が早いんだ、まあリスクもあるがな。地上から行くとかなり時間がかかる」
「なるほどな。DDTを登りきれば砂漠から出られるという事か」
「そういうことだ、お前等が目指してる天上天下唯我独尊戦国無双連邦はまだまだ先にあるがな。しかし今日はあの街の宿で一泊することにしよう」
「エルリーク、お前はどうするんだ?」
インフェルノカイザーが訊く。
そう、エルリークは元々は光、闇そのどちらでもない立場の人間だ。
しかし故郷を滅ぼした光軍に手を出したということはエルリークの考えは決まっていた。
「決まってるだろう、お前等についていく」
「馬鹿言うな、この戦いはただの戦いじゃない」
「いいじゃねぇか、それに俺には帰るところはない」
「……すまねぇな」
「謝ることねぇよ。それじゃ行こうか」
三人は砂漠の先にある街、「ライジングボルトシティ」に向かう事にした。
ざわざわ…ざわざわ…
「やっぱり大都会だけあって人がたくさんいるな?」
ライジングボルトシティは世界の大都市でも第六位くらいに入る大都会の街だ。
人々が行きかう中をインフェルノカイザー一向は今宵の宿を求め歩いている。
しかし、一つインフェルノカイザーには気になる点があった。
(何なんだこの視線は…)
ジロジロジロ…
そう、人々の視線だ。
すれ違う人全てがインフェルノカイザー達をじろじろ眺める。
まるで象が街を歩いているかのようなまなざしだ。
「おいエルリーク、宿はまだか?」
嫌気がさしたインフェルノカイザーはエルリークに聞く。
「もうすぐだよ…お、ここだ」
そこには「邪巣湖」という看板を掲げた一つの宿があった。




