求めて西に
アージョ、しゃるは山中を下り、ようやく山のふもとに辿りついた。
ふもとを出て、山から遠ざかる。山はどんどんと小さくなっていった。
「ったく…何でお前までついてくるんだよ…。そもそもお前は一体何なんだ?」
「しゃるはかいていじんって言ってるじゃん!」
「かいていじん…?(どうみてもただのガキだが…しかしあの超人じみた戦闘能力はもしやすると…いやまさかな)」
アージョは変な事を考えたな、と思いながらも若干その考えを捨てる事はできなかった。
突如ブルジョワシティに現れ、いきなりついてきたのが出会いのきっかけだが、唐突すぎて未だにしゃるの事は理解できない。
しかし普通の子供とは明らかに違う、その戦闘力。ひょっとしたらただのガキではないのかもしれない。
バス停につき、バスを待ちながらアージョはそんな事を考えていた。
暫くすると、バスが遠くからやってくるのが見えた。バスはアージョの前で停車し、ドアが開く。
「ふぅ~。ようやく椅子に座れるぜ…」
【エターナルライトニングバス、ウエポ火山行きです。ご乗車の際、足元にご注意ください。…発車します】
ウイイイイイイン…ガコン! ブロロロロ
バスの車内はしゃるとアージョの二人だけであった。運転手は何も言わず、ただ道なる道を行く。
しゃるは外の景色を見ながら「きれーだなーッ!」等と景色を堪能していた。
アージョはふぅ、とため息をつく。修行中は一日中身体を動かしていたため、なんだか非常に身体がだるかった。
座席に座ったまま、そのまま眠りにつく。
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「馬鹿な…俺の街が…」
アージョは自分が遠くから自分の街が消え去って行く様子を眺めていた。
「…皆、消えちまったのか?」
アージョは崩れ去る街を見ながら、そう呟いた。
「…アージョ…助けてくれぃ…」
「ちょ、長老…?」
「アージョさん…助けて下さい…」
「痛ぇ…痛ぇよぉ…」
「手が冷たい…」
「ゾバッ!ゾバゾバッ!」
四方八方から、自分の住んでた街の仲間達からの悲痛の声が聞こえる。
「皆!?何処にいるんだ?!」
アージョは右往左往に慌てふためく。しかし、皆は何処にもいなかった。
そして、皆の声はピタリと止んだ。その後、自分自身の声が後ろから聞こえた。
「…お前は見殺しにしたんだよ、皆を…」
ドオオオオオオオオオオンッ!!!!




