修行という名の・・・無茶振り?
やっと、研修が終わった。
今日から投稿再開です。
それではどぞー。
side~彩人~
博麗神社の境内、突如として空間に亀裂がはしる。
いわゆるスキマである。
それは、音もなく広がっていき中からはこのスキマを作り出した張本人である八雲紫が出てくる。
ついで、元いた世界から幻想郷へと移り住む少年、狂咲彩人が出てきた。
外、現代での後始末を終え、紫と共に幻想郷へと帰ってきたのだ。
彩「ここは、博麗神社か?」
紫「そうよ、今日からここで修行するのよ。まさか忘れたの?」
彩「いや、覚えてるよ。で、具体的にはなにをするんだ?」
ここで生きていくためには弾幕を打てること、空を飛ぶことが必須になってくる。
人里で生活する分には必要ないのだが、できて損はないのでこちらとしてもありがたい。
それに空を自由に飛ぶって全人類の夢だし。
紫「それを教えるのは私の役目じゃないわ。じゃ、私は帰って寝るから後は霊夢に聞いて」
そう言って、スキマへと入っていく。
その姿を見送りながら俺はお礼を言った。
彩「紫、いろいろとありがとな。それから、俺をここに連れてきてくれてありがとう!」
自分が今できる最高の笑顔を紫に向けた。
紫は胡散臭い笑みではなく見た目相応の美しい笑顔で、
紫「どういたしまして。それと、幻想郷へようこそ。」
そう言って、スキマは閉じられた。
と思ったら、再度開き上半身だけ紫が出てきた。
紫「そうそう、今日は宴会ね。私の家族も連れてくるから。報酬、楽しみにしてるわよ?」
そう言って今度こそ帰っていった。
彩「さて、霊夢はどこに居るかな?」
俺は、修行を手伝ってもらうべく霊夢を探した。
霊夢と魔理沙は縁側でお茶を飲んでいた。
彩「ただいま、霊夢に魔理沙。」
霊夢たちのところに行き、帰ってきたことを告げる。
霊「あら、お帰りなさい。いつ帰ってきたの?」
彩「ついさっきだ。ルーミアは?」
魔「あいつなら、お前が後片付けに行ったあとすぐにフラフラとどっかに飛んで行ったぜ」
と、魔理沙が答える。
まあ妖怪だし、だいじょぶかと納得していると霊夢が口を開いた。
霊「彩人は今日からここに住むわけだけど、部屋は客間が開いているからそこ使って。あと、分かってると思うけど家事は当番制だからね」
と、俺の部屋のことと家事について提示してきた。
まあ、居候の身だし家事は得意中の得意だから文句ないけどね。
彩「ああ、分かった。じゃ、早速だけど空の飛び方から教えてくれ」
と、修行に入ろうとする。
実はさっきから早く空を飛べるようになりたくてうずうずしてたのだ。
それが伝わったのか、霊夢はクスッと笑いながら
霊「その前にこの幻想郷のこととスペルカードルールについて説明するわ」
確かに、この幻想郷で生きていくのだからここのことはよく知っておかなければならない。
それにチルノが使ってたカードみたいなもの(あれがスペルカードなのだろう)にも興味があったので特に反論もなかった。
彩「分かった。それじゃあ教えてくれ」
少女説明中・・・
少年静聴中・・・
霊「と、まあこんなかんじね」
要訳すると幻想郷は、人間、妖怪、妖精、神が種族に関係なく存在している世界らしい。
妖怪は人を襲い、人間は妖怪を退治するのが普通だ。
しかし、幻想郷では人間に友好的な妖怪も数多く存在する。
そうすると、人は妖怪を恐れなくなり、妖怪が存在できなくなってしまう。
妖怪とは、人の恐れから生まれたものだからだ。
また、妖怪のほうが比率が多いらしく力の強い妖怪は暇を持て余しやすくなるのだそうだ。
そこで、考え出されたのがスペルカードルールだ。
これは、スペルカードに自分の技などを込め必殺技のようにしたものである。
そして、互いに弾幕を打ち合い美しさを競うのが弾幕ごっこである。
これにより妖怪たちは暇を持て余すことが少なくなったらしい。
さらに、力の強い妖怪と人間が対等に渡り合うことができるようにする狙いもあるらしい。
欠点といえば争いが起こりやすくなったことだろうか。
ちなみに死ぬことはないが不慮の事故というのはあるみたいだ。
彩「なるほどな、すっごく楽しそうな世界だってことが分かった」
その答えに少々呆れたようだが霊夢はおもむろに立ち上がった。
霊「まったく、そろそろ弾幕の撃ち方と空の飛び方でも教えましょうか?」
魔理沙と俺は待ってましたと言わんばかりに立ち上がり、境内に出た。
霊「さて、まずは空の飛び方だけど・・・」
霊夢はいきなり困った顔をした。
どうしたのか、と聞くと
霊「いや、教えるって言っても私が飛べるのは【空を飛ぶ程度の能力】のおかげだからどうしたらいいのか分かんない」
いきなり手詰まりである。
魔理沙は笑っているし。
霊「と、とにかく自分が飛ぶようなイメージを思い浮かべてみなさい!私の勘がそうしろって告げているわ」
魔理沙に笑われ、少しむくれている霊夢に苦笑しつつ言われたとおりにやってみた。
すると、
彩「浮いた!?」
自分のイメージどうりに体が宙に浮いていた。
霊「ほら見なさい!」
と、霊夢が胸を張る。
いろいろと試してみたが、どうやらイメージが明確にできるから成功したみたいだ。
浮くまでが大変らしく、空中で動くことはそれほど難しくはないみたいだ。
あとは、飛んで体に覚えさせるしかないらしい。
ちなみに、浮いたからテンションが揚がりすぎて30分ほど飛び回ったところで霊夢から止められた。
霊「さて、飛ぶことができたから次は弾幕ね。私みたいにお札に霊力を込めて放ってもいいし、魔理沙みたいにマジックアイテムを媒体にしてもいいし、霊力や魔力を弾の形にして放ってもいいわよ」
そういうと、霊夢と魔理沙がお互いに撃ち合って見本を見せてくれた。
考えた結果、好きな形で撃てるので霊力や魔力を弾幕にして撃つことにした。
彩「で、どうやって撃つんだ?」
魔「霊力や魔力を弾になって放つイメージで念じればいいんだぜ」
言われたとおりにやってみる。
前方5方向に丸い形の弾幕を1方向あたり50発ほど放つイメージで力を練る。
今回は霊力で撃ってみる。
イメージはできた、あとは力を放出するだけ。
ドドドドドドドドッ!!
イメージ通りの弾幕が出た。
彩「おおっ!できた!なあ霊夢、魔理沙、こんな感じでいいんだよな?」
弾幕がイメージどおりに出せたので興奮していると、
霊「まさか、たった数十分で撃てるようになるなんて」
魔「本当に外から来たのか疑いたくなるな」
二人は、はしゃいでいる彩人を見ながら呆れていた。
そろそろ、お昼の時間なので修行は中断し昼食を摂った。
昼食は霊夢が作ってくれた。
夜は俺らしい。
昼食後、俺は白紙のスペルカードを前にしてスペルの作成に勤しんでいた。
彩「避けづらいものにしようとするとしたら、やっぱ大量にそれでいてランダムにばら撒くようにすればいいけどそれだと綺麗じゃないしな・・・」
といろいろ、考えた結果何とか二枚作ることができた。
魔「おっ?できたのか?」
彩「まあ、とりあえず二枚できたよ」
魔理沙が様子を見に来たのでとりあえず完成したことを伝えると、とんでもない事を言い出した。
魔「よし、それじゃあ弾幕ごっこしようぜ」
彩「は?ナニイッテンノ?」
思わず字がカタカナになってしまうくらい意味不明だった。
俺が、魔理沙と、弾幕ごっこ?ハハハッ、いくらなんでも勝てるわけねーじゃん。
あぁ、目がやる気満々だよこの子。
魔「手っ取り早く弾幕と空を飛ぶのに慣れるには実践が一番だぜ」
嘘だ、絶対面白がって言ってやがる。
どうやら、拒否権は無いみたいなのでため息をついて縁側から外に出た。
霊夢はちゃっかりお茶とせんべいを出して傍観者を決め込んでるし。
ある程度の高度まで上昇し、魔理沙がルールを言い出した。
魔「使用スペカは二枚、相手が降参あるいは戦闘不能になったら終了だぜ」
彩「ハァ、手加減してくれよ」
魔「そいつは無理だぜッ!!」
その言葉を合図に弾幕ごっこが始まった。
俺は、適当に魔理沙に向けて弾幕をばら撒いた。
魔「そんなんじゃ、当たんないぜ」
そりゃそうだ、当てるつもりなんてないからな。
これはいわば様子見、魔理沙は油断してるからそこを上手く突かないとこちらに勝機は無い。
魔「今度はこっちから行くぜ」
星型の弾幕がこちらに向かってくる。
が、全てどの軌道で飛んでくるか分かる。
どうやらチルノとの一戦で弾幕の流れが読めるようになったらしい。
弾幕が通らないところは簡単に分かるがわざと大きく避ける。
最小の動きで弾幕をかわし続けたら魔理沙も警戒するだろうしな。
だからわざと大げさに避ける。
魔「なかなかやるな。じゃ、そろそろ使わせてもらうぜ」
魔理沙がスペカを構え宣言する。
魔「魔符『スターダストレヴァリエ』」
瞬間、大量の星屑が周囲に撒き散らされる。
大きさは大小さまざまで、軌道が分かっていても飛ぶのに慣れていないため回避に限界がある。
仕方が無い、使うか。
彩「流星『スターダスト・レイン』」
上空から大量の星型弾幕が広範囲に落ちてくる。
それは魔理沙の弾幕を次々と相殺し魔理沙目掛けて落ちてゆく。
魔「なっ!わっ!わわっ!」
何とかかわしていくがあのままじゃそのうち被弾するだろう。
だがまだ油断はできない。
どちらもスペカがあと一枚残っているのだ。
ここで一気に決めたいところだが経験の少ない中で先に手札を切るのは得策ではない。
魔「ちぃっ、これでまとめて吹き飛ばしてやるぜ」
魔理沙がスペカを構えた。
俺もスペカを構える。
そして、同時に叫んだ。
魔「恋符『マスタースパーク』」
彩「狂咲『桜花爛漫』」
魔理沙が小さな箱のようなもの、八卦炉って言ったか?を構えた。
そこから、極太のレーザーが放たれる。
対して、こちらは桜の花びらを象った無数の弾幕、それこそ視界が花びらで埋まるほどに大量の弾幕が広範囲に展開される。
この花びら一枚一枚に霊力または魔力を込めているので、当たり判定があるからまず避けきる事など不可能だ。
その分燃費がものすごく悪いけど。
魔理沙のレーザーと俺の桜吹雪がぶつかり合う。
双方互角で拮抗していたが、徐々にこちらが押され始める。
魔理沙はあのレーザーを維持するために動けないはず。
対して、こちらは動ける。
なら取るべき行動はひとつ。
魔「まとめて、吹き飛べぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
魔理沙がさらに火力を上げ、ついに桜吹雪に風穴が開き霧散していく。
そこに彩人の姿は無かった。
魔「ぜぇ、ぜぇ。や、やりすぎちまったか?」
魔理沙は息切れを起こしながらも彩人の姿を探した。
彩「まったくやりすぎだ。初心者相手になんつうもんぶっ放すんだよ」
魔「!!!」
俺は魔理沙の背後にまわって弾幕を形成したまま話す。
彩「これで、チェック・メイトだな?魔理沙」
勝ったことが何よりうれしくて自然と笑みがこぼれる。
魔「まいったな、降参だぜ」
魔理沙は両手を挙げて負けを認めた。
霊「お疲れ様。魔理沙に勝つなんてやるじゃない」
縁側まで降りていくと、霊夢が賞賛の言葉をくれた。
彩「サンキュ。でも、実力で勝ったわけじゃないし。何より、魔理沙が油断してたから勝てたんだよ」
魔「くそー、まさか負けるなんて思ってもみなかったぜ」
俺は霊夢の言葉に苦笑し、魔理沙は悔しがっている。
彩「さて、そろそろ夕飯の用意でもするか」
霊「えっ?もう?早くないかしら?」
現在時刻は4時を少し過ぎたあたり、初夏で夕飯の準備にしては早すぎる時間帯である。
彩「今日は、紫と紫の家族も来るからな。あと、荷物を運んでくれた礼をするって約束したから豪勢にいきたいんだ。それに・・・」
と言いかけて、台所へ行こうとし
彩「ルーミアも来そうだしな。ま、ちょっとした宴会になるんじゃないか?」
そう言い台所へ向かう。
その背中に霊夢と魔理沙は、
霊「そこまで言うんなら・・・」
霊・魔「「期待してるわよ(ぜ)!!」」
声をそろえて、期待してきた。
仲良いなと思いながら、
彩「期待された!」
おどけた調子で答えた。
弾幕ごっこが上手く表現できない・・・orz