一人ぼっちだった少女 ~dream side~
今回は彼の能力が発動しています。
それでは、どぞー
side~彩人~
気がつくと、そこは真っ白な空間だった。今朝の夢と同じような感じだ。ということは、これは夢か?でも、今朝の夢のように雄大な自然やどこまでも続く青い空はどこにも無く、先の見えない白い空間のなかにぽつんと俺が存在していた。
彩「これは、夢なのか?だとしたら、ちと殺風景過ぎやしないか?」
そんなことを考えていると、不意に声をかけられた。
?「お兄さん、誰?」
驚いて声がしたほうを振り返るとそこには少女がいた。可愛らしい赤い服に綺麗な金髪、頭にはナイトキャップのような帽子をかぶっていてとても可愛らしい娘だ。だが、それよりも目を引くものがあった。少女の背中から七色の結晶が付いた羽?が生えていたのである。
俺は、しばし呆然としていたが
?「ねぇ!お兄さんは誰なの?」
少女の声ではっとして取り繕うように自己紹介をした。
彩「ああ、ごめんね。俺は彩人。狂咲 彩人だ。君の名前は?」
フ「私はフランドール・スカーレット。フランでいいよ。」
お互いに自己紹介を済ませ、俺は気になっていることを本人に聞いた。
彩「なあフラン。その背中についている羽?は本物か?」
フ「そうだよ~。だって私は吸血鬼だもん。」
吸血鬼。おそらく世界でもトップクラスの知名度を誇る西洋の妖怪。その吸血鬼が目の前にいるのだ。正直信じられない。だが、この少女は嘘をついていない。日頃から子供の相手をしているせいか、嘘を見分けることができるようになっていたのだ。
フ「ねぇねぇ、彩人は人間なの?」
彩「ああ、俺は人間だよ。とても脆くて儚い一人の人間さ。」
わざと芝居がかった動きでフランの質問に答える。
少女はクスクス笑いながら
フ「彩人っておもしろいね~」
と言って二人で笑いあった。それから、いろんな話をした。主に互いの種族のことを質問したりそれに対して解答したり。それで知ったのだが十字架は吸血鬼の弱点ではないらしい。ちなみにフランは幻想郷にいるらしい。しばらくこのやり取りが続いた。
不意にフランの顔に翳りと少しの狂気の色が浮かんだ。
彩「どうした、具合悪いのか?」
俺は心配になりフランにそう尋ねた。
フ「ううん、違うの。この夢が覚めたら、また一人ぼっちになっちゃうなって思って。私は力が強すぎるから長い間地下に閉じ込められてるの。」
彩「長い間ってどのくらい?」
フ「495年間」
俺はその話を聞いて絶句した。そりゃそうだ。いくら力が強いからって495年間も一人で地下に閉じ込められるなんてそんなのは横暴だ。
気づいたら俺はフランを強く強く抱きしめていた。フランは驚いたようだが抵抗はしなかった。
彩「フラン、お前は自分が一人ぼっちって言ったがそれは間違いだ。」
フ「え!?」
彩「俺がいる。俺がフランを一人になんてさせない。」
それは、初めての感情だった。俺はただ、この少女を助けてやりたいと思った。まだ、会ってから数時間しか経っていないけどそう思えるくらい、この少女のことが気に入ったんだろう。
フ「だ、だめだよ!私の能力は【ありとあらゆるものを破壊する程度の能力】。私の近くにいたら彩人を傷つけちゃう。私、彩人を殺したくないよ。」
フランの声はだんだんと小さくなって次第に嗚咽が聞こえてきた。
俺はフランの頭を優しく撫で親が子供をあやすような声音で
彩「心配してくれてありがとな。でも大丈夫、俺は死なないよ。」
と、とても穏やかな、しかし絶対の自信に満ちた笑顔でフランを見た。
フランは驚いたように目を見開き、それから顔を歪ませて、すがるようにして声を上げて泣いた。
今までガマンしていたものが、あらゆる負の感情がフランの頬を雫となって伝っていく。
彩「一人が寂しいんじゃない。自分は一人ぼっちなんだって思うことが寂しいんだよ。それと、その悲しみは決して忘れちゃいけない。それはフランだけの強さになるはずだから。」
俺は腕の力を緩め、今度は包み込むようにしっかりとフランを抱きしめ頭を撫で続けた。
フランの涙はとても綺麗な色をしていた
俺とフランの体が透けていく。目覚めが近いのだろう。フランは不安そうにこちらを見ていた。そんなフランに俺は一言だけ言った。
それは、別れを悲しむ言葉ではなく再会を約束する誓いの言葉。
彩「またなフラン、______!!」
フ「うん!!」
そう返事をしてフランドール・スカーレットは花のように笑った。その笑顔に狂気の色は微塵もなかった。
side~フランドール~
見慣れた天井、見慣れた壁、見慣れた床、いつもと変わらない私の世界。けれど心の中はいつもと違っていた。
とても暖かな気持ちで満たされていた。ふわふわした感じがとても心地いい。
フ「えへへ♪」
夢での出来事を思い返すたびに頬が緩む。495年間、他人の温もりに飢えていた少女にとってまさに至福の時間だったのだ。
しかし、そんな時間が夢だと分かった時普通なら絶望する。大きい幸せなら反動も大きいはずだ。
少女、フランドールは夢から覚めても絶望せず、むしろその目には強い光が宿っていた。
フ「絶対に迎えに行くからいい子で待ってろよ、か」
それは、夢から覚める直前に彼が言った言葉。彼が来てくれる保証はない。それでもフランは信じてみようと思った。
自分を救ってくれた、あの暖かくて優しい彼の言葉を。
それに、フランは直感的に感じていた。
フ「また、夢の中で彩人に会える気がする。」
だから、自分も頑張ってみようと思った。この力を扱えるように、この力と向き合うために。
フ「私頑張るから、いい子にしてるから、だから」
フ「だから、早く迎えにきてね彩人!」
少女は、どこにいるかも分からない彼に向けて言った。
なんだかすごくあっさりしているような気がします。
もうちょっと何とかできたかも知れませんが作者の文章力ではこれが限界です。
感想、誤字指摘ありましたらお願いします。




