妖怪の山へ行こう!(釣り編)
時間が掛かった割には、このクオリティ・・・orz
それでは、どぞー
side~彩人~
残暑はとっくに過ぎ去り、爽やかな秋風が伸びてきた髪をもてあそぶ。
目の前の川には散った紅葉が流れており、秋が到来したことを認識する。
舞花「きゃはは、それっ!」
咲姫「きゃっ! もう、やったわね」
自分が居るところより下流では、家族であり護り刀の付喪神である咲姫と舞花が川に入ってお互いに水をかけ合い、とても楽しそうに遊んでいる。
霊「なによ、全然釣れないじゃない」
魔「おいおい、まだ竿を垂らしてから10分も経ってないぜ? そんな簡単には釣れないぜ」
霊夢がぼやき、それに対して魔理沙が突っ込む。
話から分かるとおり、今日は俺と霊夢と魔理沙で釣りをしている。
きっかけは俺の、
彩「秋だし、川魚が旬だから釣りに行ってくる」
発言が原因だ。
それを聞いた魔理沙が、
魔「それなら私も行くぜ。 霊夢も行こうぜ、この時期はイトウって魚が一番旨いらしいんだぜ。 それに、彩人ならその場で調理できるしな」
霊「そうね、暇だし私も行くわ」
彩「いいけど、釣具は? 俺のは、こーりんの所から買ったからあるけど」
魔「それなら、ちょっと借りてくるぜ」
そう言うやいなや、箒に乗って飛んでいってしまった。
すまないこーりん、君の犠牲は無駄にはしない。
霊「ねぇ、イトウっておいしいの?」
彩「う~ん、俺は食べたこと無いけどかなりおいしいらしいよ」
霊「魔理沙遅いわね~、何しているのかしら?」
美味しいと聞いた瞬間、目がマジになった。
本気と書いてマジと読む。
紅霧異変の時でさえ、見たことが無いほどに真剣だ。
それから10分後に魔理沙が釣具を持って帰ってきたので、妖怪の山の川までやってきたのだ。
そんな霊夢に苦笑しつつ、
彩「まあまあ、お茶と茶菓子も持ってきたからのんびりやろうぜ」
そう言って、バスケットからお茶セットを取り出す。
バスケットは紅魔館からもらったものだ。
霊「流石彩人、準備がいいわね!」
霊夢は早速川の水を汲んでお湯を沸かし始めた。
もはや釣りは、投げ出したらしい。
彩「いくらなんでも早すぎだろ」
魔「諦めろ、それが霊夢だ」
確かに、人生諦めが肝心か・・・
だけど、もうちょっと粘ってもいいんじゃないかな?
咲姫「キャアッ!」
咲姫の悲鳴と同時に何かを水面に投じたような音が聞こえた。
彩「なんだ? どうしたん・・・ブッ!!」
まあ、予想通りというか咲姫が足を滑らせて川に全身をダイブさせたのだ。
咲姫「あ、彩人様! こっちを見ないでください//////!!」
水に濡れた為に着ている浴衣もびしょ濡れになり、肌に密着している。
そのせいでくっきりと体のラインが見え、若干着崩れた浴衣から覗く白い肌に艶のある黒髪が貼りつき艶かしい雰囲気を醸し出している。
ようするに水も滴るいい女、な状態である。
彩「舞花、これで咲姫の体を拭いてやれ。 このままじゃ風邪をひく。 それから、着ている浴衣を脱いでこれでも着ていろ////」
自分が着ているパーカーを咲姫に渡す。
若干口調が乱暴になるが仕方ないな。
俺だって男だ。顔が赤いのが分かる。
さて、釣りは魔理沙に任せて、焚き火の準備をするか。
幸い、ここは山。 薪に困る事なんて無い。
適当に薪を集めて、魔力で火をつける。
普通の火と違い、魔力による火なので乾燥していない薪でも簡単に火がついた。
彩「ほら、焚き火で体を温めな。 霊夢熱いお茶を淹れてやって」
霊「もうしてるわよ」
見ると、もう一つの焚き火で霊夢がお湯を沸かしていた。
霊夢もこういうところは気が利くんだよな。
咲姫「あ、彩人様、その・・・ごめんなsックシュン!!」
晴「ほらいいから、早く体を温めな」
まだ湿っている咲姫の頭を優しく撫でると、ふにゃ~とした表情で焚き火の方に歩いていった。
魔「彩人も大変だな」
彩「そうでもないさ、あいつらが俺にくれるものを考えたらな」
魔理沙はクスッと笑い、それ以上何も言わずに意識を浮きに向けた。
そして俺も釣りを再開する。
それから、お昼時になるまでに岩魚や鮎なんかは釣れたが目標のイトウは未だに釣れなかった。
そして、まあ釣った魚を塩焼きにして昼食を取っていたのである。
霊「~~~~♪」
霊夢は岩魚に齧り付いている。
それはもう、見事なまでにご機嫌である。
魔「しっかし、全然釣れないな~」
魔理沙が言っているのはおそらくイトウのことだろう。
彩「そうだな、どうする? 午後も続けるか?」
魔「当然だぜ、ここまで来たら絶対に釣る」
そう意気込んで、魔理沙は鮎に齧り付いた。
この季節の鮎は、産卵のために腹に子を抱えているので旬の夏程ではないが美味である。
岩魚も鮎に同じく、旬は初夏だが腹に子を持っており美味である。
そんな感じで昼食を摂っていると、二人の人物が話しかけてきた。
?「そこの人間共、こんなところで何をしている!? ここは妖怪の山だぞ、即刻立ち去れ!」
?「ゲゲッ! 人間!?」
一人は天狗の里に行ったときにちらっと見た記憶がある服装をしていることから天狗の少女かな。
狼の耳と尻尾が生えている辺り、白狼天狗という奴だろう。
もう一人は緑の帽子に青色の服を着ていて、背中には大きなリュックを背負っている少女は白狼天狗の少女の背中に隠れている。
魔「見れば分かるだろ? 昼飯を食べているんだぜ」
霊「むぐむぐむぐ」
天狗少女の問いに魔理沙が飄々と答え、霊夢はガン無視している。
彩「あのさ、天魔から聞いていないか? この山の入山許可をもらったんだけど?」
?「ま、まさか、凪様のご友人の!?」
晴「そうだよ」
?「し、失礼しました! 私は白狼天狗の犬走椛です。 こっちは河童の・・・」
に「河城にとりだよ」
椛は勢いよく頭を下げ、にとりは未だに背中に隠れたままだ。
彩「別に敬語じゃなくてもいいよ。 それより二人も食べる?」
二人に鮎を差し出す。
椛「あ、ありがとうございます」
に「・・・ありがとう」
二人は焚き火の近くに腰掛け、鮎に齧り付いた。
椛の尻尾がブンブン揺れているのを見る限り、口に合ったのだろう。
椛「ところで、ここで何をしていたんですか?」
彩「イトウを釣りに来たんだけど、なかなか釣れなくてね」
椛「イトウ・・・ですか、私達でもなかなか見かけませんからね。 それに、警戒心が強い魚ですし」
山の住人でもなかなか見かけないらしいな。
もう少し詳しく生態なんかが調べられればいいんだけど・・・
思考に沈みかけたところで、にとりが叫んだ。
に「ねぇ、なんか引いてるよ!!」
にとりが指した方向を見ると、霊夢が早々に投げ出した釣竿がすんごい勢いで曲がっていた。
彩「おおっ!? ヤバイ!!」
何で持って行かれなかったのかは分からないが、この引きは間違いなく大物だ。
すぐに、竿を掴み吊り上げるべく歯を食いしばる。
彩「つっ!! っそぉ、重いな!」
油断すれば体ごと持って行かれる。
踏ん張っていても、徐々に体が引き摺られていく。
魔「彩人、手伝うぜ」
魔理沙が後ろから抱き付いてきた。
咲姫と舞花もそれに続き、椛とにとりもそれに加わる。
これでようやく互角、というかたかだか3メートル弱の川幅にどんだけのサイズが居るんだよ!?
霊「彩人、絶対に逃がすんじゃないわよ!」
上から霊夢の声が聞こえた。
霊「夢想封印!!」
その声と同時に、水柱が上がり拮抗していた力の片方が崩れた。
これは・・・いける!!
彩「せーのっ!!」
渾身の力で竿を引き上げると二メートルはありそうな巨大なイトウが水面から姿を現し、そのまま地面に打ち上げられた。
ぐったりしているところを見ると、気絶しているのだろう。
彩「すげぇな、このサイズ」
咲姫「大きな魚ですね~」
舞花「これは料理のし甲斐がありそうだね、彩人様」
どうやったらこの川で生息できるのか甚だ疑問だが、ここは幻想郷だし常識じゃ測れないので気にしないでおこう。
魔「これは・・・すごいぜ」
椛「こんなに大きいのは私たちでも稀にしか見かけませんね」
に「うっかり食べられちゃいそうだよ」
霊「さあ彩人、早速調理して頂戴!」
皆が獲物の大きさに驚いている中で霊夢だけがすでに食べる気満々である。
まったく、気持ち良いくらい満面の笑顔で期待する目をされちゃ応えない訳にはいかないじゃないか。
彩「分かったよ、折角だし椛とにとりも食べて行くよな?」
椛「えっ? 私たちもいいんですか?」
に「・・・いいの?」
二人は遠慮しているようだが、そんなあからさまに食べたそうな顔をされちゃあねぇ・・・
彩「別に構わないよ。 な、霊夢?」
霊「ええ、折角だし食べていきなさい。 彩人の料理は絶品よ?」
彩「というわけだから、な? ああ、それと凪と文も連れてきてくれないかな?」
椛「分かりました、すぐに連れてきます」
尻尾をブンブン振って、飛んでいく椛が妙に可愛らしいと思ったのは間違いじゃないはず。
彩「それじゃあ、始めるか。 咲姫、舞花手伝って」
咲姫・舞花「は~い」
皆が来る頃には、良い時間帯になるだろう。
さて、まずは三枚に下ろさないとな
やっぱりと言うか、お酒を持ってきた凪たちのお陰でプチ宴会となり後片付けはすべて彩人がやったことは完全に余談である。
そろそろ、次の異変にいこうかな?
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