宴会~取材も一緒に~
宴会でインタビューを受ける事になった彩人と咲姫に舞花。
そして、明かされる真実とは・・・?
別に深い意味は無いかも?
それでは、どぞー
side~彩人~
文「それでは、最初の質問です。 お名前を教えてください」
彩「狂咲彩人」
咲姫「春疾咲姫」
舞花「春風舞花」
文「付喪神のお二人に質問です。どのような出会いでしたか?」
咲姫「道具屋で眠っていたところを彩人様に買われ、名前をいただきました」
文はほとんど手元を見ないでメモしている。
すごいな~、そこまで出来るのにどれだけの年月を費やしたんだろ?
文「見たところ刀の付喪神のようですが、能力などはあるんですか?」
舞花「能力は無いけど、剣術には結構自信があるよ」
咲姫と舞花が交互に答えて行く。
どうやら、最初に二人に聞きたいことを聞いてメインディッシュは俺って所かな?
文「それでは最後に、彩人さんのことをどう思っていますか?」
二人は、キョトンとして直ぐに満面の笑顔で、
咲姫・舞花「「ずーーーっと、一緒に居たい人です(だよ)」」
声をそろえて、揺らぐ事が無い誓いのように言った。
胸の辺りが暖かくなる。
やっぱり、こういうのはいいもんだな。
紫「随分と好かれているわね」
紫が小声で話しかけてくる。
彩「まったく、俺には勿体無いくらいだよ」
紫「そんな事無いわ、むしろ貴方じゃないとだめだと思うわよ」
―だって・・・・・・あんなに幸せそうに笑っているんだもの―
その言葉を納得させるだけの力が、二人の笑顔には込められていた。
今度は俺の番、何故か周りに皆集まってきた。
そこまで、面白い事は無いと思うけど、やっぱり外の事が気になるんだろうか?
文「それでは、彩人さんお待たせしました。まずは、外来人ということで、外では何をされていましたか?」
彩「外では学生・・・ここで言う寺子屋をもっと大きくして内容も難しい場所で勉強なんかをしていたな」
文「なるほど。 出来ればでいいですが、ご家族や友人関係はどうでしたか?」
家族に友人ね・・・
彩「家族は婆ちゃんが一人だけ、それも去年寿命で亡くなったよ。 後は、それなりに仲のいい奴はいたけど友達って程じゃなかったな。誰に対しても同じように接していたから当然だけど」
ただの人付き合いは得意だったけど、腹を割って話せる奴らは居なかった。
ただ一人を除いては・・・
彩「後は、異常な腐れ縁で幼馴染が一人。 唯一腹を割って話せる相手がそいつなんだけど、それくらいかな?」
霊・魔・紫・フ・ル・etc「「「「「「「「幼馴染?」」」」」」」」
なんだか、不特定多数の人が幼馴染の部分に反応したな。
そんなに珍しいかな、幼馴染って。
文「異常な腐れ縁とは、どういうことですか?」
彩「どんな状況下であっても、常に一緒だったんだよ。 10年くらいな」
文「それは興味深い!! どんな人物だったんですか?」
文は目を爛々と光らせ、ペンは折れそうなくらい握り締められている。
チルノはすでに酔いつぶれ、大ちゃん、マントの子、羽と帽子の子で介抱しており、ルーミアは彩人の左側、フランは頭の上、橙は右側にいつの間にか移動していて、こちらを見ている。
何なんだ、いったい?
彩「どんな人物か・・・ね。 とても強い子だよ。 いつも俺を支えてくれた・・・いや、違うな。 俺はあいつを、あいつは俺を互いに支え合ってきたんだ」
いつでも支えになり、時には喧嘩もしたけどいつも一緒だった少女の事を思い浮かべる。
文「なるほど!それでどんな出会いだったんですか?」
出会いか・・・あれは、いつだったかな?
彩「ああ、そうだ。 ここでいう寺子屋であいつが苛められていたんだよ」
side~遠い過去の記憶~
その日も普通に学校へと通っていた。
小学校に上がったばかりの子供は、毎日が冒険のようにドキドキ、ワクワクしているものだが彩人は違った。
小さい頃から、いろいろと教えられてきた彩人は同年代の子供と比べても、考え方、価値観の面でとても大人びていた。
しかし、マセている訳ではなく一種のカリスマを持ち合わせており、子供らしい面を出しながら正確に物事を判断する力がずば抜けているためいつも彩人を中心に同級生が集まっていた。
そんなある日、彩人が教室に入るとなにやら騒がしかった。
彩「みんな、どうしたの?」
彩人は事情を聞く為、近くにいたクラスメイトに話しかけた。
?「早苗ちゃんが、嘘を吐いているんだって」
騒がしい方を見てみると、複数の男の子が緑髪の女の子を責める口調で捲くし立てていた。
?「神様なんて居るわけ無いじゃん。 早苗は嘘吐きだ~!」
どうやら、神様は居ると主張している女の子をよってたかって嘘吐き呼ばわりしているようだ。
子供はその純真さゆえに残酷で、言葉一つでどれだけ人が傷付くのか分からないまま自分とは違う者を責め、徹底的に攻撃してしまう。
しかも、苛めている奴らの中には他の子より体が大きく、力が強い、ジャイ○ンの善い所を無くしたような、いじめっ子を絵に描いたような奴が徹底して責めていた。
手癖が悪いクラスの問題児だ。
彩人の最も嫌いなタイプの人間である。
緑髪の少女は泣き崩れながらも、必死で抵抗する。
早「違うもん、私は嘘吐きじゃ無いもん!!神様はちゃんといるもん!」
しかし、主張するだけでは誰にも信じてもらえない。
そんな事は子供だって知っている。
だけど、神様なんて現代では実体を持たない架空の存在に過ぎない、なぜならそれは誰も見たことがないから。
しかし、もし、あの少女が本当に神様が見えるとしたら、それは神様が実在する唯一無二の証拠となる。
彩人の目から見て、あの少女は嘘を言っていない。注目されたくて可笑しなことを言っている子供のような目ではなく、確信があって主張していると彩人は思った。
だから、
彩「ねぇ、神様は本当に居るの?」
聞かずにはいられなかった。
クラスが彩人の一言でまるで時間が止まったが如く静まり返り、神様は居ると主張する子の返事が響く。
早「居るよ!だって、私は見たんだもん!!」
とても強い目で、子供特有のどこまでも真っ直ぐな瞳で彩人の目を見つめる。
同時に確信した。
この子は嘘を吐いていない。
という事は、神様が居るくらいなら魔法だってあるかも知れない。
もしも、一生のうちにそれを見つけることが出来たら、
彩「それは、とても楽しそうだね」
新しい玩具を見つけた時のような顔で彩人は笑った。
緑髪の少女は、驚きか、状況が飲み込めていないのかキョトンとしている。
同時に教室の時間が動き出し、いじめっ子の矛先は彩人に向けられる。
?「おいおい、彩人~? こんな嘘吐きの言う事を信じるのかよ~?」
さも、人を馬鹿にしたようなまぬけっ面で彩人を見る。
しかし、彩人はそれを無視して赤く腫れ上がった目をしている少女の顔をハンカチで拭ってやる。
もともと、こいつらの事など視界にすら入っていない。
それに癇癪を起こした苛めっ子は、
?「なに無視してんだよ!!」
他の子よりも力が強く、太い腕を彩人に振り下ろす。
周りの子や目の前の少女は短く悲鳴を出すが、振り下ろされようとしていた拳を足のバネと体を捻る勢いで繰り出した肘で迎撃する。
いくら力が強くとも、肘と拳では圧倒的に拳の方が分が悪い。
そのまま苛めっ子は後退し、後からじわじわと感じる痛みに我慢できず泣き出した。
それを一瞥する事も無く、少女の方に向き直る。
まるでなにごとも無かったかのように、手を差し出す。
戸惑いながらも少女はその手を取り、しっかりとした足取りで立ち上がる。
彩「俺は、彩人。 君の名前は?」
目はまだ若干腫れ上がっていたが、もう先ほど泣き崩れていた面影はどこにも無く、
早「私は東風谷早苗。私の神社を信仰してみませんか?」
とても綺麗な笑顔で笑った。
side~彩人~
彩「その後、先生が来て俺とその苛めっ子がめちゃくちゃ怒られたんだよ。まったく、なんで怒られたのか未だに不思議だな」
もはや過去となった事を言っても仕方が無いのだが、未だにあの時の事は納得できない。
文「なるほど~、それからずっと二人一緒だったんですね?」
彩「概ねそんな感じだな」
文はメモ帳にペンを走らせる手を止めず、次の質問をしてきた。
心なしか、目が怪しく光っている。
文「それでは、恋人などは居ましたか?」
その質問と同時に皆の視線が彩人に集まる。
ルーミア、橙は彩人の腕を掴む力を強め、フランは頭を包むように抱く。
彩「恋人は居なかったよ」
それを聞いて、安堵のした様子が周りから見られる。
文はつまらなそうに、
文「そうなんですか、ちなみに欲しいとは思わないんですか?」
彩「あっちでは思わなかったな。 クラッと来る子が居なかったからさ」
実際アイドルなんかは全然興味が無かったし、早苗以上に魅力的な子なんて居なかったから彼女が欲しいなんて思ったことも無かった。
早苗は・・・どっちかと言うと家族って感じだったし。
文「じゃあ、好みのタイプとかは無いんですか?」
彩「そうだな・・・一緒に居て楽しい子、それから頑張り屋な子が好きだな」
頑張っている子を見ていると自分も勇気付けられるし、何より見ていて気持ちがいい。
そして、みんなの反応も様々だ。
紫や霊夢、レミリア等は思いつめたような顔をしているし、魔理沙や藍、咲夜等ははにかんでいる。
文「それでは、彩人さんの能力について教えてください」
彩「能力か・・・【流れを司る程度の能力】と【夢を繋げる程度の能力】だよ。 流れを司る程度の能力は、ありとあらゆる流れを自由自在にコントロールできて、操るだけでなく生み出すことや消すこともできるよ。夢を繋げる程度の能力は、誰かの夢の中に介入することができるけど、自分では制御できないみたいで突発的に発動するみたいだな」
文「あやや~、規格外な能力ですね~」
彩「そんな事言ってたら幻想郷で生きていけないよ」
文「それもそうですね」
文はメモ帳に素早く書き終えると、
文「ご協力ありがとうございました。 この記事は明日の一面を飾るので良かったら見てくださいね」
そう言って、文はまさに風の如く帰って行った。
彩「まさしく風・・・いや、台風みたいな子だったな」
そういう所は早苗に似ているな~。
レミ「さて、五月蝿いのも消えたし、私と飲みましょう?」
レミリアがグラスを二つ持って目の前に座る。
フラン「あっ!お姉さま、フランも~!」
フランは彩人の頭から離れレミリアの隣に座り、いつの間にか持っていたグラスにワインを注ぐ。
彩「ん、そうだな。 皆も飲もうぜ! 夜はまだまだ長いんだ」
宴会は、まだまだ終わらない。
飲む者、食べる者、騒ぐ者、歌う者、踊る者、様々な人や妖が共に楽しみ、同じ時間を過ごす。
そうして夜は更けていく。
翌朝、死屍累々の惨状を見て、外来人の少年とメイド長が盛大にため息を吐く姿があったとか無かったとか。
彩人と早苗はこのようにして出会ったと言う設定です。
そして、やっぱり宴会の翌日は死屍累々がもはや当たり前。
次は、何をやろうかな?
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