宵闇の妖怪と氷の妖精
基本的に原作通りではないのでご了承ください。
それでは、どぞー
side~彩人~
夕飯を作り、今夜の夜食を作った。
霊夢達を起こし、少し遅めの夕食を摂った後、食器を片付け、身支度を整えるために部屋へと戻った。
しかしあれだな、身体が妙に震える。
寒いわけでも、まだ見ぬ妖怪に恐怖している訳でもない。
ワクワクする。 現代じゃ絶対に味わえない、絵空事が現実の世界に自分は居る。
身体の震えは武者震いであり、それは未知への期待、これから始まる物語に心が躍る。
春疾風を腰に差し、夜食のおにぎりが入ったバックを背負う。
境内には、すでに準備を終えた霊夢と魔理沙が俺を待っていた。
彩「さあ、行こうぜ!」
俺達は異変解決のため、空へと飛び出した。
彩「で、どの方向に行くんだ?」
解決しに行くと言っても、渦中の場所がまず分からない。
知ってはいるが、いきなり黒幕の居場所を言ったら怪しすぎる。
ここは、専門家である二人の意見に従うとしよう。
魔「神社に行く途中に湖があるんだが、そこの霧が他のところより明らかに濃い霧だったんだ。私はそこが怪しいと思うぜ」
魔理沙がいきなりほぼ核心である情報を提示してきた。
やっぱり、専門家なだけはあるな。
心の驚愕を表に出さず、今度は霊夢に聞いてみた。
霊「そうね、私もそこが怪しいと思うわ」
勘が鋭い霊夢も同意見のようだ。
彩「じゃあ、行き先は湖だな」
俺達は霧の湖へ向け飛び始めた。
少年・少女移動中・・・
神社から森の方まで進んでいくと、羽のついた女の子たちが弾幕を撃ってきた。
霊夢曰く、この子らは妖精で異変の影響で幻想郷のパワーバランスがどうとかで攻撃的になり、道中邪魔をしてくるみたいだ。
攻撃的になってもやっぱり力は妖精で二人は軽くあしらっている。
でも、なんでか霊夢や魔理沙の方ばかりに集まり、こちらには攻撃してこない。
霊「どうして私達の方ばかり集まってくるのよーーー!」
魔「不公平だぜッ!!」
二人は妖精を撃ち落しながら、文句を並べる。
いや、自分にも理由がまったく分からないのでどうしようもない。
さて、二人が終わるまで何をしていよう?
そんな事を考えていると、急に視界が真っ暗になった。
ついで、
?「だ~れだ?」
聞いた事のある声と共に、後ろから俺の目を隠すように小さな手のような物で覆われた。
【ようなもの】、なのは実際に見ていないからである。
というか、これは確実にあいつだな。
彩「霊夢か?もう妖精の相手は終わったのか?」
でも、わざと間違える。 つか、霊夢ってこんなキャラじゃ無いし。
?「ちがうよ~」
どうやら違うようだ。 まあ知ってるけど。
彩「魔理沙、前が見えないんだけど」
?「ち~が~う~」
頭が左右前後に揺らされる。
仕方ない、そろそろ当てるか。
彩「ルーミア、前が見えないから能力を解除して手を離してほしいな?」
言うと同時に目から手のような物が離れ、周囲の闇が晴れた。
空には、紅く輝く満月が顔を出している。
ル「せいか~い!」
ルーミアが後ろから抱き付いてくる。
彩「紅い霧が出ているこんな夜にルーミアは何をしているの?」
ル「お腹が空いたから、ご飯を探している途中で彩人を見つけたの!」
ルーミアがうれしそうに笑う。
ちっちゃい咲姫と舞花が出てきて、背負っているバックからおにぎりを二つずつ出す。
咲姫「お腹が空いたのならこれ食べる?」
舞花「私達が作った物だけどよかったら食べて~」
そう言って、おにぎりを差し出す二人。
ルーミアは目を輝かせながら一つを受け取り、
ル「ありがと~、咲姫ちゃん、舞花ちゃん。いただきま~す」
口いっぱいにおにぎりを頬張る。
ルーミアはたびたび神社へ遊びに来るようになり咲姫、舞花ともそのとき仲良くなった。
ルーミアは二人を姉のように、咲姫と舞花はルーミアを妹のように接している。
三人とも今では本当の姉妹のように仲が良い。
あっという間に4つのおにぎりを平らげ満足げだ。
ル「おいしかった~、なんだか彩人の味に似てきたね」
その言葉に、二人はうれしそうに「ありがとう」と答えた。
霊「やっと、居なくなったわ」
魔「いったいなんなんだぜ」
どうやら、二人の方も終わったようだ。
二人とも息一つ乱さないのは流石だな。
彩「ルーミア、俺達は異変の黒幕の所へ殴りこみに行くんだけど、どうする?」
両腕を広げ、くるくると回って二人と遊んでいたルーミアは、
ル「私も行く!!」
即答ですか・・・そうですか。
彩「危険と隣合わせだぞ? それでもいいのか?」
その言葉にルーミアは、
ル「私が危なくなったら、彩人や咲姫ちゃん、舞花ちゃんが護ってくれるから大丈夫! その代わり私も出来る範囲で皆を助ける!」
満面の笑顔でこんな事言われたら、断れねぇよ。
どうやら、全面的に信頼されているみたいだな。
なら、その信頼に応えなきゃいけないな。
彩「分かった、無理はするなよ? ルーミアがケガするのは嫌だからな」
ル「分かった、でもそれは私だって同じなんだよ? だから無理しないでね?」
そう言って、フワっと後ろから首に手を回し抱き付いてくる。
霊「話は終わった? そろそろ行くわよ」
ルーミアを仲間に加え、再び湖へと飛び始めた。
少年・少女移動中・・・
その後の道中も霊夢と魔理沙に妖精が弾幕を撃ってくること以外は何も無かった。
彩「だいぶ、霧が濃くなってきたな。 それになんだか涼しくなってきた」
ル「もうそろそろ湖に着くよ~、それに涼しいのはチルノの仕業だと思う」
チルノか、そういえば初めて弾幕ごっこした相手がチルノだったな。
あれからどうしているだろう・・・少しは強くなったのかな?
魔「彩人、気を付けろよ。 この先には馬鹿がいるから」
おそらく、チルノの事だろう・・・やっぱり誰しもが思うことなんだな。
湖に到着し、さらにその上を突き進んでいくと湖上に二人の人影が見えた。
あれは、チルノと大ちゃんだな。
チ「離して大ちゃん!! この紅い霧の原因は絶対にあの紅い建物だよ。 最強のアタイがギッタギタにしてやるんだから!!」
大「危ないよ、チルノちゃん! やめといた方がいいよ!」
どうやら、チルノが紅魔館に特攻を仕掛けるのを大ちゃんが必死に止めているようだ。
しかし、意外にも場所は合っている。
大方、紅い霧=紅い館っていう理由なんだろうけど・・・
二人はまだこちらに気づいていない。
魔「めんどくさいから、吹き飛ばすか?」
魔理沙が八卦炉を構える。
彩「待って、チルノの相手は俺がやる。 前に遊ぶ約束をしたからな」
ルーミアを降ろし、チルノ達へと近づく。
霊「じゃ、頼んだわよ」
霊夢の言葉に手だけ振って応えた。
彩「おい、何を物騒なこと言ってんだ?」
二人はビクッと肩を上げ、そのままゆっくりとこちらへ振り返った。
チ「・・・ぁ」
大「彩人さん!? お久しぶりですね」
大ちゃんはうれしそうに挨拶してきたが、チルノは固まっている。
彩「どうしたチルノ? 何か悪い物でも食べたか?」
その言葉にチルノはハッと我に返り、若干頬を赤くしながら、
チ「別に何でも無いわよ! それより、アタイに何かようなの?」
と、答えた。
彩「ああ、約束を果たそうと思ってね」
チ「・・・約束?」
彩「忘れたのか? また遊ぼうって伝言、大ちゃんから聞いてないのか?」
チルノは少しだけ目を見開き、
チ「冗談じゃ・・・無かったの?」
どうやら信じられないらしい。
そんなに不思議なことなのか?
彩「俺は、守れない約束はしないんだよ」
そう言って、微笑みかけた。
それに呼応するようにチルノの顔にも笑みが浮かんでいた。
チ「それじゃあさ、一緒にあの建物の中を探検しに行こう」
とんでもない事を言い出したよ、この子は。
まあ、今更一人二人増えたところで変わらないか。
彩「一つ聞きたいんだけど、この紅い霧はあの建物から出てきたのか?」
大「はい、そうです。 何日か前あたりから紅い霧があの館から出てくるのを見ました」
どうやら、あれが紅魔館らしい。思わぬところで情報が手に入ったな。
彩「それじゃあ、一緒に行くか。 大ちゃんはどうする?」
大「私も行きます。 チルノちゃんだけじゃ心配だし・・・」
この子も苦労してるんだな。
彩「お~い、もういいぞ~」
あちらに声をかけると霊夢たちが近づいてきた。
チ「ルーミアじゃない! あんたも一緒だったのね」
ル「チルノと大ちゃんも一緒に行くんだね~」
大「こんばんは、ルーミアちゃん。 霊夢さんと魔理沙さんもこんばんは」
大ちゃんは、霊夢達にも挨拶をしている。
やっぱり、他の妖精と比べて賢そうな子だ。
彩「霊夢、魔理沙、どうやらあの紅い館から霧が発生しているようだぞ」
たった今得た情報を霊夢たちに教える。
魔「なら、取るべき行動は一つだぜ」
霊「今回の異変の黒幕を叩き潰しに行くわよ」
俺達は紅い館を目指して進んだ。
感想・意見要望待ってます。