夢と現の境界
やっと1話です。
side~???~
夢。夢を見た。とても不思議な夢だ。
それが夢だと認知できたのには理由がある。俺は空中に漂うように浮かんでいた。
普通の人間なら、道具も使わずに空中に浮かぶことなどできない。重力に引っ張られて落下する。
にも拘らず俺は浮いているんだからこれはもう夢で確定だろう。
そうして自分の中で結論づけてふと、周りを見渡した。
眼下には、今はもうほとんど見られないであろう雄大な自然が広がっていた。
木々が生い茂る森、山の上から流れる川、燦々と照りつける太陽とどこまでも澄んでいる青空。どれをとってもこれほどまでに美しいと感じさせる自然が広がっていた。
?「綺麗だな、こんなに綺麗な場所今まで見たことねぇや」
現代は人工的に造られたもので溢れかえっている。今、残っている自然も人の手が加えられたもののほうが多いように感じる。
しかし、ここは人の手など加えられた形跡がまるで無く自然があるべき姿で存在している。
それは、現代で生きる少年にとってとても新鮮なもので少年はしばしこの大自然に見とれていた。
?「これが夢じゃなかったらよかったのにな、あの腐った世界よりもこの世界のほうが楽しそうだ」
少年は羨望と諦めが混ざったような顔で苦笑し、そして思ったことを口にした。
それは、少年のささやかな願い。
?「もし生まれ変わったら、今度はこっちの世界で生きてみたいな」
そう言った瞬間、意識が遠のくのを感じた。少年は少しさびしそうに
?「もう少しだけ見ていたかったな」
そう言って、意識を手放した。
夢のなかの話でした。




