人里と親の役目
今回は、人里へ行きます。
果たして、また厄介事に巻き込まれるのか?
ちょっぴり、シリアスです。
それでは、どぞー
side~彩人~
武器を買いに来たはずなのに、刀が女の子になったり、その女の子にご主人様って呼ばれたり、いろいろあったがとりあえず目的は達成できた。
自分の愛刀であり新しい家族、春疾咲姫と春風舞花。
この付喪神の姉妹は現在、ティン○ーベル位のサイズになって両肩に座っている。
彩「さて、思いもよらない出会いがあったけど目的も達成できたしそろそろお暇しますか?」
未だにへたり込んでいる霊夢と魔理沙へそう問いかけた。
霊「そうね、そろそろ帰りましょうか。ほら魔理沙、しっかりしなさい!」
お互いに寄りかかっている状態なので、なかなか立つ事が出来ない。
霊「ああっ!もう!!」
痺れを切らした霊夢は魔理沙を突き飛ばしてようやく立った様だ。
その魔理沙はガラクタの山に突っ込んでいった。
うわっ、痛そーだな。
両肩の二人は両手で顔を覆っている。
そんなことを思いながら魔理沙に近づいて、
彩「お~い、大丈夫か?」
声を掛けてみると、
ガラクタを除けながら魔理沙が出てきた。
魔「いたたた、ひどいぜ霊夢、私が何したって言うんだよ」
若干涙目になりながら霊夢に講義する。
霊「あんたがさっさと動かないのが悪い」
霖「店の中で暴れるのはやめて欲しいんだけど・・・」
相変わらず霊夢は容赦ないな、こーりんは頭を抑えてため息をついている。
いつもこんな感じなんだろうな、ドンマイだこーりん、きっとそのうち良い事あるって。
心の中でエールを送る。
っと、それより二人にも紹介しなくちゃな。
彩「霊夢、魔理沙、紹介するよ。俺の守護刀で新しい家族の・・・」
咲姫「春疾咲姫です。よろしくお願いします」
舞花「春風舞花だよ、よろしくね」
俺のあとに続けて二人が自己紹介をする。
霊「ええ、よろしくね。」
魔「よろしくだぜ」
さっきの話を聞いていたからだろう、すんなりと受け入れられていた。
二人の紹介も終わったし、そろそろ帰るか。
彩「それじゃあこーりん、いろいろ世話になったな。」
霖「こちらこそ、有意義な時間だったよ。また、暇な時にでも来てくれ」
魔「じゃあなこーりん、また来るぜ」
霊「それじゃ霖之助さん、お茶もらっていくわね」
霖「できれば、客として来てくれ」
こーりんの対応の違いに少し噴出し、自分も二人を追いかける。
すると、入り口近くでこーりんに呼び止められた。
霖「そうだ、人里にはもう行ったかい?」
人里ってその名の通り、人が暮らしている里のことだろう。
そういえば、なんだかんだで行って無かったな。
彩「いや、まだ行ったこと無いな」
霖「それなら、帰りにでも寄ってみるといい。ここから神社まで半分くらい行ったところから見えるはずだ」
どうやら、こーりんの話では生活用品などは人里でしかまず買えないそうだ。
いつまでも神社に居候するわけにもいかないし、修行が終われば訪れる機会も増えるだろう。
それに人との交流は大事だって、婆ちゃんも言ってたしな。
両肩の二人も行きたそうにしているし、ちょうどいいかも知れない。
彩「サンキュ、今から行ってみるよ。いろいろと悪かったな」
いろいろとは、主に霊夢とか魔理沙とかのことだ。
霖「いや、君が気にすることじゃないよ。悪いのはあの二人だからね。・・・ハァ」
こーりんがどこか遠くを見つめてため息をついている。
こーりんのため息をBGMに俺は逃げるように店を出た。
魔「遅かったな、何してたんだ?」
どうやら待ってくれてたようで二人は近くの切り株に腰掛けていた。
彩「ちょっと、世間話をね。それより、これから人里に行こうと思うんだけど二人はどうする?」
魔「私は・・・行かないぜ」
魔理沙が俯いて答えた。俯いているため表情は見えない。
霊「私も遠慮しとくわ。特に用も無いし夕飯の支度があるしね。あっ、夕飯までには帰ってきなさいよ」
どうやら霊夢も行かないようだ。しかし、最後のは久々に聞いた気がするな。もう何年も前に聞いたっきりだったからな。
最後に聞いたのは何時だったかな・・・?
咲姫「彩人様!?どうなさったのですか!?」
彩「えっ?」
どうやら、少しボーっとしていたらしい。
心配そうな顔をしている4人が映る。
彩「ああ、大丈夫だよ。少し、昔を思い出してね。・・・霊夢」
霊夢は安堵した様子だったが名前を呼ばれ、キョトンとしている。
その様子がなんだか可笑しくて、頬が緩みかけるがそれをなんとか抑え、
彩「必ず夕飯までには帰ってくるよ。それと、ありがとね」
何故お礼を言われたのか分からないようで、またもやキョトンとしている霊夢と魔理沙に背を向け、
彩「じゃ、行ってくる」
人里へ向け地を蹴った。
人里への道中、鼻歌を歌いながら飛んでいると、舞花が口を開いた。
舞花「さっきは、何を思い出していたの?」
さっきとは、ボーっとしていた時の事だろう。
別に言いづらい事でもないので、ちょっとした昔話をした。
彩「俺にはさ、家族と呼べる存在が婆ちゃんしか居なかったんだ。両親は俺を置いて、遠い別の国で生活していた」
彩「俺が遊びに行くとき、決まって『夕飯までには帰ってくるのよ』って婆ちゃんが言ってくれてたんだ」
二人は黙って聞いている。
彩「そんな婆ちゃんも去年、寿命で亡くなった。霊夢が、『夕飯までには帰って来い』って言ってくれたのがなんだか嬉しくてね、思わず昔を思い出していたんだよ」
話終えると、両頬に温もりを感じた。
どうやら二人がくっ付いているようだ。
咲姫「今は、私たちが家族です。おばあ様の代わりではなく、私たちなりに彩人様を支えます」
舞花「彩人様は一人じゃないよ、私たちがずっと一緒にいる。だから、そんな寂しそうな顔しないで・・・」
どうやら、知らないうちに顔に出ていたようだ。
いらない心配を掛けちゃったな。
でも、確かにそうだ。今は二人が居るし、霊夢、魔理沙、紫、藍、橙、ルーミア、フラン、こーりんがいる。
何時の間にか俺も人の温もりを求めていたのかも知れない。
俺は独りじゃないんだな。
胸の奥が熱くなっていく感覚が心地いい。
俺は二人を優しく包み込み、お礼を言った。
彩「ありがとう、咲姫、舞花。おかげで元気が出たよ」
二人は照れながらもはにかんだ笑顔を咲かせた。
そんな道中の一コマである。
あれから、しばらく行くと家々が連なっているそれなりに大きな集落を見つけた。
おそらく、ここが人里だろう。
さすがに、飛んで入るのは礼儀的に如何な物かと思ったので里の近くで着地し、歩いて人里まで向かった。
門を抜けようとしたところで、衛兵っぽい人に何者か聞かれた。
これが俗に言う職質って奴か?嘘を吐くと後々面倒なので神社から来たことを伝えるとあっさり通してくれたが、なんだか反応が引っかかった。
畏敬の念というかそんな視線を感じる。
まぁ、なにわともあれ人里に着いた。
人里の町並みは時代劇を連想させる造りでさまざまな人の往来がある。中には妖怪もいて店を経営している者もいた。
里なのに町とはこれいかに(笑)
彩「へー、結構賑わっているな、二人も人型になったらどうだ?」
そう提案すると、二人とも人型に変わった。腰には刀を差している。
舞花「うわー、いろんな物や人がいる~。あっ、あれは何かな?」
そう言って一人で先に進んでいく舞花。
咲姫「あっ!舞花、ちょっと待ってよ」
あわてて後を追う咲姫、しかしその表情は楽しそうだ。
そんな微笑ましい姿に自然と笑みがこぼれる。
付喪神として自我を持ってからこういった経験が無い二人には目に映るもの全てが新鮮なのだろう。
今日はとことん楽しむ、そう決め二人の後を追った。
舞花「わ~、これ可愛い!ねぇお姉ちゃん、これ可愛いね」
咲姫「そうね、二つで一つの商品だなんてまるで私たちみたいね」
二人が見ていたのは、髪を梳かす櫛だ。二つでワンセットらしく色も青色と橙色とがあり、桜の模様が描かれている。
主人「お嬢ちゃんたち良い目をしてるな。それは、像っていう大きな動物の立派な牙を特殊な製法で加工、彩色し当時最高の職人が2年を費やして完成させた代物なんだぜ」
店の主人が自慢げに言う。
主人「どうだい?安くしておくから彼氏に買ってもらいな」
咲姫「か、彼氏だなんて/// 彩人様は私たちの主です///」
彼氏と聞いて顔を赤らめる咲姫。
それには動じず舞花が値段を聞く。
舞花「ちなみに、いくらなの?」
主人「嬢ちゃんたちに免じてまけにまけて50円でどうだ?」
紫によれば幻想郷の一円は現代の一万円に相当するそうだ。
話を聞いた限りじゃ間違いなく国宝級の代物が五十万、すげえな幻想郷。
舞花「う~ん、やっぱり高いね。こんなに綺麗なんだもん」
舞花は少し残念そうに櫛を元の場所に置いた。
彩「それを売ってください」
その言葉に、舞花、咲姫、店の主人までもが目を丸くした。
主人「いいのかい?無理して今買うことも無いんだぜ?」
あまりにも予想外だったのか、売るのを渋っているようにも見える。
きっと、無理している、とでも思われてんだろうな。
彩「心配には及ばないですよ」
そう言って50円を差し出す。
彩「それに、女を満足させられる甲斐性を持ってこそ、男というものでしょう?」
その言葉を聞いた店の主人は、豪快に笑い、背中をバシバシと叩いてきた。
伸「気に入ったぜ、兄ちゃん。俺は伸って言うんだ。兄ちゃんの名前は?」
彩「俺は、彩人という者です」
伸「彩人か、良い名だな。ほら、持ってきな」
綺麗な布製の入れ物に入った二つの櫛を渡される。
彩「はい、俺から二人へのプレゼント」
そう言って、青い櫛を咲姫へ、橙色の櫛を舞花へ渡す。
咲姫「あ、ありがとうございます。でも、ほんとにいいんですか?」
咲姫はまだ戸惑っているようだ。舞花なんてよほど嬉しかったのか、抱きついてきた。
それを優しく受け止め、
彩「いいんだよ。俺が二人と出会った記念に何か形に残して置きたかったんだ」
と言うと櫛を大事そうに抱え、
咲姫「わかりました、大事にしますね」
とても魅力的な笑顔を咲かせるのだった。
とても綺麗だったので照れくさくなり、それを隠すため次の店へと向かった。
それからいろんな店を見て回ったり、甘味処で少し休憩したりしていたらあっという間に時間が過ぎて夕方になっていた。
彩「よし、そろそろ帰らないと霊夢に怒られちまうな」
霊夢は怒るとすぐに手が出てくるから疲れる。
まぁ、甘味で機嫌が直るけどね。
そろそろ、帰ろうとした矢先、人が集まっているのが見えた。
舞花「なんだか人が集まっているね~、どうしたんだろ?」
彩「よし、いってみるか」
何か面白そうなことでもやっているのかと思い、人だかりに向け歩き出した。
人だかりには、屈強そうな男たちが集まっていてその中には伸さんの姿もあった。
彩「伸さん!この人だかりはなんですか?」
伸「おう、彩人か。いやな、酒屋を営んでいる助六って奴がいるんだがその娘がまだ帰って来てないらしいんだ。」
伸さんは、少し焦っているようだ。
伸「もうじき日も暮れる。そしたら、妖怪たちの時間だ。捜索が困難になるどころか下手したら俺達まで食われちまうかもしれない」
そこまで聞いて、俺は意識を集中した。
人里周辺の森の中から人の命の流れを読み取ることが出来た。
そして、みんなには聞こえないように舞花に指示を出す。
彩「舞花、ここから南西の方角の森に今話で出てきた女の子がいるはずだ。その子を保護してくれ。みんなにはバレないようにな」
舞花は二つ返事で南西の森へ走っていった。
彩「咲姫は、舞花が女の子を保護したら教えてくれ」
咲姫「分かりました」
それを確認した俺は人だかりの中心へ向けて歩を進めた。
中心では、複数の男達と自分と同い年くらいだろうか?少女がなにやら言い争っている。
と言うよりも、男達が少女になにやら頼んでいるようだった。
男1「お願いだ先生、俺たちにも探させてくれ」
男2「そうだ、子供が危険な目に遭っているかも知れないのに家で待っているだけなんてできねぇ」
男3「子供は命に代えても守るのが親の役目だ、みんなそうだろ?」
他の男達も口々にそうだそうだ、などといっている。
対して少女の方は、
?「しかし、もうじき日も暮れる。夜は妖怪達が活動する時間なのは皆知っているはずだ!」
男2「それでも、手分けして探せばすぐに見つかるはずだ」
?「危険すぎる!もう活動している妖怪だっているかもしれないんだぞ!」
と、なんとか落ち着いてもらおうとしている。
しかし、男達は熱した油のようにヒートアップしていて少女の声は届いていない。
というかこの子、純粋な人間じゃないな。
なるほど、この子が探しに行くのを、『俺たちも連れてってくれ』って引き止めているわけか。
で、この子はそんな気持ちを無下に出来ず、こうして留まっているわけか。
優しいな、この子は。それに比べてこいつらはとんだ凡愚だな。
まるで、状況を理解していない。気持ちだけでどうにかなったら争いなんて起こらないってのに。
ふつふつと怒りが沸いてくる。
だから、言ってやった。
彩「馬鹿だな、お前ら」
この一言で場が静まり返った。
あれだけ騒いでいた男達が皆一斉にこちらを見ている。
そして、おそらく件の女の子の父親であろう男、確か助六だったか?がこちらを睨み付けながら怒鳴った。
助六「あ?誰が馬鹿だって?」
その眼光は今にも掴みかかってきそうな勢いである。
しかし、そんなものどこ吹く風のように受け流す。
彩「あぁ、聞こえた?いや、あまりにも馬鹿らしくてつい口が滑った」
いつもの、世間話でもするかのように答える。
助六「てめぇ、もういっぺん言ってみ!!?」
胸倉を掴もうとした手を受け流しその力を利用して地面に叩きつける。いわゆる合気道だ
助六は、背中から思いっきり叩きつけられたことで肺の酸素が詰まり、浅い呼吸を繰り返している。
彩「なぁ、あんただって分かっているんだろ?」
先生と呼ばれた少女の方を向き、話しかける。
彩「夜は妖怪達の時間だ。早く行かないと手遅れになる。それになんの力も無い人間を連れていったってどうなるかくらいさ」
少女は俯いている。
悔しいのだろう、自分ではこいつらの気持ちを汲み取ることができないのだから。
彩「状況を良く見ろ、妖怪相手に何ができる?唯口を開けて待っている蛇の口の中に蛙が飛び込むような物じゃねえか」
周囲の男達は唯黙っている。
助六「それでも、親は子供を命を懸けて守るもんだろ!?」
ようやく立ち上がった助六が叫んだ。
彩「さあな?俺の親は自分の子供を置いて遠くに行くような奴らだからな。それが普通なのかはわかんねぇよ。ただな・・・」
助六の胸倉を掴む
彩「命を賭して守った子供を置いて先に死ぬというのがどういうことだか分かって言ってんのか!?置いていかれるって事がどれだけ寂しくて悲しいのか、分かってんのか?」
もう限界だ。怒りの感情に身を任せる。
彩「親は命を賭けて子供を守る?そうだな、そのとおりだよ。俺の親が特殊だったってだけで普通はそうだよな。だけどな、自分の器も測れないような奴が偉そうなこと言ってんじゃねぇよ!!」
だんだんと血が目に集まっていくのが分かる。
彩「何の力も無いお前らが行ったところでなんになる?せいぜいこの子の足を引っ張る程度が関の山だろーが!あんたたちはこの子を苦しめるつもりか?」
助六「そ、そんなわけがあるか!!」
声に力が篭ってない。完全に呑まれている。
彩「いいか?守りながら戦うってのがどれだけ辛いのか、守れなかったことがどれだけ辛いのか、お前らには分かるのか?」
ゆっくりと手を離す。助六は地に膝をつき項垂れている。周囲の男達も、もはやさっきの熱は感じられない。
彩「こうしている間にもあんたの娘は妖怪に襲われているかもな」
とどめの一言、助六は声を殺して泣き始めた。
彩「そこで泣いているがいいさ。でも、泣いたって状況は変わらないぞ」
言いたいことは言った。後は・・・、
咲姫「彩人様、舞花が無事に保護したそうです」
どうやら、妖怪には襲われてなかったようだな。
そのことに安堵しつつも気は緩めない。
彩「分かった。今から合流するからしっかりと護衛するように言ってくれ」
咲姫「分かりました」
完全に冷え切った人だかりを一瞥し南西の森へ急いだ。
舞花「あっ!彩人様~!ここだよ~」
舞花が大手を振って叫んでいる。その隣には、10歳前後の女の子がいた。
彩「舞花、お疲れ様」
舞花の頭をなでなでする。舞花はえへへ~、と嬉しそうに笑った。
舞花の隣にいる少女の目線に合わせ話しかける。
彩「こんばんは、俺は彩人。君は助六さんの娘で合っているかな?」
少女がコクンとうなずく。
やはりこの少女で間違いないようだ。
彩「みんな心配しているよ。さ、お家へ帰ろう?」
そう言って、少女に手を差し出す。
少女は戸惑いながらも小さな手でしっかりと握り返してきた。
人里では、未だに人だかりがあった。あたりはすっかり夜になっていて、その雰囲気はお通夜にも引けを取らないくらいに沈んでいた。
まったく、あれから進展してないのかよ。しかも、諦めかけているし。
あまりにも空気が重いがそんなこと知ったことではない。三人を近くで待たせ、助六の元へ向かう。
助六はまだ泣いていた。
彩「なんだ、まだ泣いていたのか?」
話かけるとその場の全員がこちらを向き、先生と呼ばれた少女以外は非難の視線を浴びせてきた。
中には罵倒する者もいる。
助六「な、なんだ、俺を笑いに来たのか?」
鼻をすすりながら、非難の視線を浴びせてくる。どうやら、嫌悪と憎悪も混じっている。
やれやれ、嫌われたものだな。
彩「別に、あんたにお届けものがあってね・・・咲姫、舞花!」
その言葉に、意味が分からない顔をしていたがすぐに驚愕の表情になる。
?「おとうさん!!」
少女が助六の元へと走っていく。
助六「えっ? あれ? 七瀬?七瀬なの・・・か?」
助六は困惑している。他の男達や先生と呼ばれた少女も状況が飲み込めず呆然としている。
七瀬「そうだよ、お父さん!!」
笑い泣きしながら助六に抱きつく。
助六「あっ、あああっ!!良かった!本当に良かった!」
七瀬「お父さん、苦しいよ」
瞬間、歓声が挙がった。先ほどまでの空気は一瞬にして消え、歓喜がその場を支配した。
感動の親子の再会に水を差すようだがこれだけは言っておかなければ、
彩「これは貸しにしておくよ、後で返してもらうからな。今回は運が良かったけど、次もどうにかなるなんて思うなよ。それと・・・」
一呼吸おき、満面の笑顔で、
彩「大事ならその手を二度と離すな、どんなことがあっても決して離すな」
それだけを言い、人里を後にした。
助六「あ、ありがとうございました!!」
七瀬「助けてくれてありがとね。お兄ちゃん、お姉ちゃん!!」
背後からは、感謝の言葉と人々の歓声が聞こえた。
その後、博麗神社に帰ったら無数の陰陽玉が飛んできたのは余談である。
これで、人里の顔出しは終わりました。
次は、妖怪の山にでも行こうかな。
感想・誤字訂正待ってます。