武器を手に入れよう・・・あるぇ?
今回はオリキャラが二人出てきます。
後ほど、詳細設定を投稿します。
それでは、どぞー
side~彩人~
あの悪夢のような宴会から10日が立った。
案の定宴会の翌日は酷い二日酔いに襲われた。
あれは酷かった。立とうとすると天地がひっくり返ったような感覚に襲われまともに立つことができず、頭は万力で締め上げられたように痛んだ。
藍が来てくれなかったら次の日まで続いていたかもしれない。
藍の適切な処置のおかげで夕方ごろにはだいぶ楽になっていた。
ルーミアと橙もいろいろ世話をしてくれたから後でご褒美をあげなくちゃな。
余談だがルーミアと橙は宴会で仲良くなったらしく二人で協力する姿は微笑ましいものだった。
原因を作った霊夢と魔理沙だが、最初はしばらく口を訊かないつもりだった。
でも、すぐに謝ってきたのと本当に反省しているようだったので二人の頭を優しく撫でて許した。
しっかりと釘は刺しておいた上でね。
それと修行の方だが、空を飛ぶのはもう大丈夫だ。
それと、飛ぶよりも足に魔力を込めて空中で跳躍した方が弾幕ごっこにおいて立ち回りやすいことに気がついた。
弾幕は新たに二枚のスペカを作った。今はまだ秘密だけどそのうち、ね。
能力は、何ができるのかを把握すべくいろいろ試した結果、
・弾幕の軌道は少ししかずらせない。
・自然現象はだいたい操れる。(風、水、雷、etc...)
・時間操作は今の段階で約数秒
ってところだ。
あと、魔力を使って火を熾したり風を起こしたりもできるようになった。
10日での成果としてはなかなかだと思う。
フランとの修行の成果ってのもある。どうやら2~4日のサイクルで能力が発動するらしい。
10日で3回、夢の中に入った。
フランも徐々にコントロールできているようで加減が分かってきたようだ。
会うたびに抱きついてくるが今では霊力で身体を強化しなくても受け止められる。
フラン曰く、一緒に修行するようになってからは飛躍的に成果が出ているらしい。
それと、二人で弾幕ごっこの練習もしている。
お互いに相手の動きを観察して良い部分を吸収するため立ち回り方がどことなく似てきた。
10日間修行していて、ふと思った事があった。
彩「武器がほしいなぁ」
団子を作りながらつぶやく。
遠距離戦もいいが、男だったら一度は剣を振るって見たいと思うものだろう。
彩「やっぱ刀だよな。それも二刀流で」
刀二本を携えて戦う。いいね、絵になるね。
できた団子を串に刺してさらに盛る。
思い立ったが吉日ということで、早速霊夢に相談すべく縁側へと向かった。
彩「なぁ霊夢、ちょっと相談があるんだけど」
縁側でお茶を飲んでいた霊夢に団子を渡しながら話しかける。
霊「ありがと。で、何よ相談って?」
霊夢は団子をモフモフと食べながら先を促してきた。
彩「あぁ、武器を売っている店があったら教えてほしいんだけど・・・」
?「それならちょうどいい店を知ってるぜ」
途中で誰かの声に遮られた。その声は上空から聞こえてきて、一人の少女が庭に降り立った。
彩「おっ、魔理沙。ごきげんよう」
魔「ごきげんようだぜ、彩人」
互いに軽い挨拶を交わし、魔理沙は流れるような動きで縁側に座り団子を手に取り、口へと運ぶ。
霊「ちょっと、それは私のお団子よ!」
魔「いいじゃないか、おいしいものは皆で分け合うものだぜ」
彩「うれしいこと言ってくれるじゃないか」
そう言って魔理沙の頭をわしゃわしゃと撫でる。
魔「わわッ!そ、それでだな武器を売っている店の話だが魔法の森の入り口近くにあるんだぜ」
少し頬が赤くなったような気もするが店の話が始まったので気にしないことにした。
霊夢はお茶を入れなおしにいったようだ。
人里ではなく魔法の森の近くにあること自体普通ではないな。
彩「どんな店なんだ?」
普通ではないことに好奇心が沸いてきて魔理沙に聞いてみる。
魔「いろんなガラクタや外の世界の物も扱っている道具屋だぜ」
ガラクタ云々は置いといて、自分の世界の物まで扱っていることには驚いた。
何か面白そうな事が起こる予感がしてうずうずしてくる。
彩「魔理沙、そこまでの道案内を頼めるか?」
魔「お安い御用だぜ」
そう言って快活に笑う。
魔「じゃあ、早速行くか?」
霊「待ちなさい、私も行くわ」
霊夢が人数分のお茶を持って戻ってきた。
霊「そろそろ茶葉が切れそうだから補充しに行かないといけないのよね」
そう言ってめんどくさそうにため息をする。
彩「なら、代わりに買ってこようか?」
霊「いいわよ別に・・・それにタダだし」
後半の方は聞き取れなかったがどうやら一緒に行くみたいだ。
彩「それじゃ、お茶と団子を空けたら行こうか」
霊夢が淹れてくれたお茶をゆっくりと飲み干した。
お茶を飲んだ後に三人で道具屋なるところまで飛んでいった。
魔法の森は人間には有害な瘴気というものが発生しており危険なのだが、力の強い者や魔力を持っている者には影響が無いらしい。
しかも、魔法を使う者にとっては環境がいいらしく魔理沙もここに住んでいるだってさ。
あとで、魔法の修行をしに来よう。
そんなことを考えている間に目的地に着いた。
彩「こうりんどう?ここがそうなのか?」
なんというか、うん、ゴミ屋敷に見えなくも無いな。
狸の置物だったり、標識だったりが置いてあるし。
中はいったいどうなっているんだか、あまり想像したくないな。
霊夢と魔理沙は一瞥もせずに中に入っていく。
そのあとを追いかけて自分も中に入った。
魔「こーりん、おじゃまするぜ~」
霊「お邪魔するわよ、霖之助さん」
彩「こんにちは~」
霊夢はさっさと奥へと行ってしまった。
魔理沙は武器を探すためにいろいろ物色している。
?「霊夢、魔理沙、邪魔しに来たのなら帰ってくれ」
眼鏡を掛けた銀髪の男性が迷惑そうにため息をついてからこちらを向いた。
霖「やあ、君は初めて見る顔だね。僕は森近霖之助。こーりんとでも呼んでくれ」
手を差し出して自己紹介してきたのでこちらもそれに応える。
彩「はじめまして、俺は狂咲彩人。好きに呼んでくれ」
軽く握手をして自己紹介をする。
霖「よろしく、ところで君は外来人かい?」
いきなりだったので驚いたが服装を見れば分かるらしくそこまで驚かなかった。
彩「そうだよ、よく分かったね」
霖「君の服装を見ればね、生地が人里には無い物だから」
やはり、文明のレベルが違うらしい。まぁ、どうでもいいけどね。
霖「それで、今日はどういった用件だい?」
危うく本来の目的を忘れるところだった。
彩「実は刀が二本欲しくて、魔理沙がここにあるってんで訪ねたんだ」
霖「そうかい、武器はそこにあるので全部だから、あと他の物も自由に見ていいよ。分からないことは僕に聞いてくれ」
そう言って、椅子に腰掛け本を読み始めた。
魔理沙は何時の間にか居なくなっているし、仕方ない、一人で探すか。
少年物色中・・・
結論から言って微妙だった。
木刀から槍、薙刀、刀、剣、モーニングスターまであったがやはり自分に合った物はなかなか見つからず全てダメだった。
仕方が無いので、外から流れ着いた物を見ることにした。
彩「なあ、こーりん。外から流れ着いた物ってここいら全部か?」
とある棚を指差し訊いてみる。なんか見覚えのあるものなんかもあるな。
霖「そうだけど、武器は見つかったのかい?」
彩「いや、気に入った物は無かったよ。今は気晴らしって所かな」
苦笑しながら答える。
霖「なら、少し見てもらいたい外の物があるんだけどいいかな?」
彩「分かる範囲でだったらいいよ」
そう答えるとこーりんは奥へと引っ込みいろいろと抱えて戻ってきた。
霖「僕の能力は、『道具の名前と用途が判る程度の能力』って言ってね、名前と用途は分かるけど使い方までは分からないんだ。それでも用途さえ分かれば大体使えるんだけどね」
そう言って持ってきた物の中には、ゲームボーイやケータイ電話などの文明の利器もあった。
一つ一つ、使い方を説明していると奥から茶葉を抱えた霊夢と刀を二本抱えた魔理沙が戻ってきた。
霊「あら、ずいぶんと楽しそうね。武器は見つかったの?」
彩「残念ながら良いのは無かったよ」
少し残念だが無い物は仕方が無い。
魔「彩人、これはどうだ?なんだか鞘から抜けないんだけど」
そう言って刀を二本渡してくる。
一つは黒地に風のような物が描かれた鞘、柄は青色だった。
もう一つは同じく黒地に桜の花びらが描かれている。柄は橙色だ。
霖「魔理沙、また勝手に持ち出してきたね。悪いがこれは売り物じゃないんだ。いわくつきの代物なんだよ」
こーりんは頭を抱えながら、説明する。
大変だなこーりんも。少し同情するぜ。
霖「これの最後の持ち主は凶悪な殺人鬼でね、数え切れないくらいの人を切ったそうだよ」
こーりんは刀の持ち主について語り始める。
霖「その殺人鬼の刀はいつも血に染まっていたらしくて、すぐに錆びてしまうから数多くの刀を使ったそうだよ。」
霊夢と魔理沙の顔が引きつっている。
そんな奴が持っていた刀には見えないんだけどな。
なんだか、力を感じるし。
霖「そんな時、殺人鬼が死んだって噂が広まってね、その殺人鬼の隠れ家にあったのがこの刀って訳さ。」
話を聞いた二人の顔は真っ青になっており若干後ずさっている。
魔「あ、あははは、こーりんいくらなんでも脅かし過ぎだぜ」
霊「そ、そうよ。大体そんな刀がこんなところにあるはず無いでしょ」
二人は意地を張っているがビビリまくっているのが丸分かりだ。
霖「その刀が抜けないのは、中で完全に刃が錆びているから、と言われているね。殺人鬼の呪いがあるから封印が掛けられているとも言われてる」
視線をこの刀に移す。
こーりんの言っていることはおそらくデマだろう。
時が経つにつれてそういう噂がひとり歩きしても可笑しくはない。
彩「そんなんじゃないよ、」
だから、言ってやった。
霖「何が違うんだい?」
彩「この刀を殺人鬼が持っていたって事だよ。おそらく、誰にも触れて欲しくないからそういう噂を流したんじゃないかな?」
魔「ど、どうしてそんなことが言えるんだぜ?」
魔理沙が必死の形相で聞いてくる。
今の話を聞いたらそうなるのも無理は無いけど。
彩「まず、この刀から邪悪な気配が感じられない。話の通りのものなら霊夢が気づかない訳ないし、紫がほっとかないだろ?」
二人ともようやく気づいたようで「あっ!」と声をそろえた。
霊「じゃあ、刀が抜けないのはどういうことよ?」
確かに呪いでも錆でも封印でもないなら抜けるはずだ。
でも、実際は抜けない。
一つ試してみたいことがあったのでこーりんに聞いてみた。
彩「なあ、この刀の名前って何て言うの?」
霖「確か、柄の青い方が春疾、橙色が春風だったかな。それがどうかしたかい?」
三人とも不思議そうな顔をしている。
彩「いや、名前を呼んだら答えてくれるかなと思って。しかし、春疾と春風か、二つで春疾風だな」
何気なく言った瞬間、刀が光った。
突然の光にみんな目を塞いだ。しかも手の中から刀が消えた。
光が止み、目を開けるとそこには刀ではなく、二人の少女が立っていた。
一人は艶のある背中くらいまでの黒髪で青い浴衣を着ている。
もう一人は茶色い艶のある髪をポニーテールにして、橙色の浴衣を着ている。
二人は姉妹のように似ていて、浴衣の丈が太ももあたりまでしか無くすらっとした足が伸びている。
どちらも霊夢や魔理沙に引けを取らないくらいの美少女だ。
あまりの出来事にしばし呆然としていたが沈黙を破ったのはポニーテールの少女だ。
?「ん~っよく寝た~。あなたが起こしてくれたの?」
彩「えっ?いや、えっと・・・」
突然話しかけられ少し戸惑う。
春疾「まずは自己紹介が先よ。はじめまして、貴方が私たちを起こして下さったのですね。私は春疾です。こっちが・・・」
春風「待って、お姉ちゃん。自分で言うよ。春風です。よろしくお願いします。」
どうやら青い浴衣の少女が春疾、橙色の浴衣の少女が春風らしい。というか・・・
彩「俺は狂咲彩人、よろしくな。ところで、君たちはまさかさっきの刀か?」
全員の疑問を代表して聞いてみた。
春疾「そうです。私たちは二本で一つの名前を言った者のみが使うことのできる刀なのです」
春風「でも、時が経つにつれて誰も私たちのことを使える人が居なくてなって、あんな作り話が出来てからは近づこうともしなくなったんだよね」
春疾「そして、長い年月の中で自我を持ち、この姿で仕える初めての主がご主人様です」
彩「ご主人様?俺が?」
正直、そんな器ではないんだけど。
そこで、やっと硬直の解けた魔理沙が捲くし立てるように春疾に詰め寄った。
魔「じゃ、じゃあさっきの殺人鬼云々の話は作り話だったのか?」
春風「誰も私たちの事を抜けないからそういう話が出来たんじゃないかな?」
それを聞いて、魔理沙と霊夢は力が抜けたのかふたりで床にへたり込んだ。
魔「な、なんだよ~。やっぱり嘘じゃないか~」
霊「まったく、人騒がせね~」
二人はぐったりとしている。これは今日の夕飯は俺が作ることになりそうだな。
霊夢と魔理沙は置いといて、話を戻す。
彩「それで、君たちの名前は?」
春風「えっ?だからはるか・・・」
彩「それは、刀の名前だろ。そうじゃなくて、君たち自身の名前だよ」
二人は戸惑っているようだが、俺個人としては自我を持ったのなら刀だろうが名前が必要だと思う。
春疾「ありません。そもそも、私たちは刀です。名前なんて必要無いと思います」
戸惑いながらも名前の無いことを伝えてくる。
彩「必要無いわけないだろ。名前はそいつが存在する証だ。確かに刀の名前はある、でもそれは刀が存在する証だろ?」
昔、ばあちゃんに名前の大切さについて教えてもらったことがある。
同じ字でも名前は一人一人違う意味を持つ。それは、存在する人が一人一人違うからだ。
名前をもらうこと、それはこの世界に生まれた証なんだって、教えてもらった。
だから、名前が無いこの少女たちに名前を着けてあげたい。
彩「だから、俺がお前らに名前を付けてやるよ」
二人の頭を撫でながら穏やかに笑う。
彩「それに俺の刀になるんだったら、家族も同然だろ?」
二人はポカンとしていたがすぐに破顔し、
春風「家族・・・えへへ、なんかいいね、そういうの///」
春疾「ご主人様は、面白い方ですね///」
照れながらも了承してくれたようだ。
だがまず先にやることがある。
彩「こーりん、売り物じゃないのは分かるけどこの刀、譲ってもらえないか?」
まだこの刀の持ち主はこーりんだ。
どんな条件を出されるか分からないがこいつらのためにも何としても手に入れる。
そう決意した矢先、
霖「いや、それは君に譲るよ」
あっさりと譲ってくれた。
彩「へっ?いいのか?」
あまりにも淡白なので思わず聞き返してしまった。
霖「ああ、それは噂の真偽がはっきりしていなかったから保管していただけだからね」
それに、と一呼吸置いて、
霖「君には外の世界の話や道具の使い方をいろいろ教えてもらったしね。正直僕としてはそちらの方が価値が上だよ」
どうやら、すんなりと手に入れることが出来たようだ。
俺は二人に向き直り、
彩「よし、それじゃ名前を付けるか。実はもう考えてあるんだ」
春疾・春風「お願いします」
彩「まず、春疾から。姓は刀の名前で、名前は【春一番とともに花を咲かさせる姫】っと言う意味をこめて『咲姫』って言うのはどうだ?」
咲姫「春疾咲姫・・・とても素敵な名前です!ありがとうございます!」
彩「次に春風だな。姓は同じく刀の名前を取って、名前は【春風とともに舞い踊る花】と言う意味を込めて『舞花』でどうだ?」
舞花「春風舞花・・・とても可愛い名前だね、ありがとう!」
どうやら、二人とも気に入ってくれたようだ。
彩「それじゃ、これからよろしくな」
二人に向かって両手を差し出す。
咲姫「よろしくお願いします、ご主人様」
舞花「よろしくね、末永く可愛がってくださいね」
舞花が上目遣いでそんなことを言ってきた。目は悪戯っぽく輝いている
だから、舞花を抱き寄せ耳元で
彩「ああ、これからはずっと一緒だよ、舞花」
と囁いた。
瞬間、耳まで真っ赤にしたあと刀に戻ってしまった。
咲姫「すみません、ご主人様。あの子は、いつもああでして」
咲姫が謝って来る。
彩「いや、別に気にしてないよ。しかし、初心な奴だな。咲姫もやってほしいか?」
咲姫「い、いえ・・・私は別に・・・キャッ!」
咲姫にも舞花と同じように耳元で囁く。
彩「咲姫、ちゃんと名前で呼んで」
咲姫も舞花と同じく耳まで真っ赤にして刀に戻ってしまった。
彩「二人とも初心だな~」
そう言うが自分もかなり恥ずかしかったのは秘密だ。
舞花「う~~、彩人様を照れさせようと思ったのに逆にこっちが照れちゃったよ~~」
咲姫「あまり彩人様を困らせてはだめよ」
二人がティン○ーベルくらいのサイズで出てきた。
まだ二人とも顔は赤いけど。
舞花「驚いた?私たちは人型と刀、そして刀のまま自分の意識体を彩人様の周囲に出すことが出来るんだよ~」
咲姫「ちなみに、人型の場合は自分と同じ刀を使うことも出来ます。あと、私と舞花は念話で遠くに居ても意思疎通が出来るんですよ。」
舞花「私たちは、刀だけにそれなりの剣術は使えるから危なくなったら彩人様を守るね」
そう言ってはにかむ二人が可愛くて、
彩「じゃあ、危なくなったら期待してるぞ」
自分もはにかんで答えた。
オリキャラの二人は刀の付喪神です。
長い年月の果てに自我を持って次の持ち主を待っていたのです。
感想・誤字訂正待ってます。




