再会、そして宴会へ
今回は、宴会が始まるまで、です。
ネタはあるのに、それを表現できるくらいの文才がほしいっっ!!!
side~彩人~
俺は今台所に居る。
今晩の宴会に出すための料理を今から作るところだ。
が、ひとつ不安要素がある。
彩「釜戸・・・だと?」
そう、釜戸だ。
確かに紫は文明レベルが違うとは言っていたが、釜戸か~。
できないことは無い、釜戸の使い方も婆ちゃんに教わった。
だが、使い方を知っているのと上手くできるかは別問題だ。
彩「ま、成るようになるっしょ」
こうして考えていても始まらない。
なら前に進んだほうが何倍もマシだ。
上手くできるかはわからない。
分からないからこそ、やってみる価値がある。
失敗したとしても他の料理でどうにかする方法もあるし、幸い食材はたくさんある。
彩「さて、と」
小学生のときに作った黒地に龍が描かれているエプロンを着け、頭には百均でもよく見かけるバンダナ(色は赤)を巻く。
婆ちゃんにもらった調理器具一式の中の愛用の包丁(日本刀を作ってる人に特別に作って貰ったものらしい)を構える。
準備万端、いつでも始められる。
彩「これより、調理を開始する」
俺は、料理を作り始めた。
side~魔理沙~
私は、宴会まで暇だったので彩人が作っている料理をつまみ食いしようと台所までやってきていた。
魔「あれだけ自信満々で言われたら誰だって気になるってもんだぜ」
自分たちの前で堂々と言い切ったのだからそれなりの腕なのは伺える。
だからこそ、どれほどなのか一足先に知りたくなったのだ。
魔「彩人が気になるような言い方をするからいけないんだ。だから私は悪くないんだぜ」
自分の行動を正当化しつつ台所に着いたので中を覗いてみる。
中では、信じられないことが起きていた。
彩人は、パッと見5~6人分の作業を一人でこなしていた。
その動きには無駄がない。
食材を切り、釜戸の火加減を見る。
味付けをし、切った食材を炒め始める。
できた料理を器に盛り付け、空いた食器や鍋を洗っていく。
このような作業を全部一人で捌いているのだ。
魔「これは、すごいぜ・・・」
私は、しばし調理の様子に見とれていた。
彩「ん?魔理沙か、どした?」
彩人がこちらに気づいた。
いきなり声を掛けられて驚きつつ、なんとかごまかす。
魔「えっ、いや、な、何でもないんだぜ~」
あはは~と目が泳ぐ。
彩人は何かに気づいたらしく、悪戯っぽく笑うと、
彩「つまみ食いに来たんだろ?」
魔「なっ!!」
図星を指されて頬が少し赤くなった。
彩「その反応は、どうやら図星みたいだな」
と、からから笑う。
なんとか反論しようかとあれこれ考えていると、彩人が
彩「魔理沙、味見してくれないか?」
と、言ってきた。
つまみ食いに来たのにあちらのほうから食べてくれと言ってきたのだ。
やっぱり面白い奴だなと思い、せっかくの誘いなので
魔「それじゃ、この魔理沙様が味見をしてやるからありがたく思うんだぜ」
彩人は煮物を小皿に乗せて持ってきた。
彩「筑前煮って言うんだけど気に入るかな?」
と言い、煮物を箸で持ち上げ口元まで持ってきた。
彩「はい、あ~ん」
私の思考は停止した。
これは、いわゆる『あ~ん』ってやつだ。
あの、仲のいい男女がやるっていう。
って言うか今言ってたし。
私がフリーズしていると、
彩「どうしたの?冷めないうちに食べなよ」
彩人がニヤニヤ笑いながら言ってきた。
絶対分かっててやってるな。
仕方ない、少し恥ずかしいけど食べると言ってしまった以上食べるしかない。
私がそう決心した時、
霊「あら、おいしそ。」
パクッと横から霊夢に食べられてしまった。
霊「!!!ッ、すごいおいしい!!」
霊夢が目に見えて分かるくらいに驚いている。
文字通りほっぺが落ちそうなくらい頬が緩んでいるし。
彩「どうやら口にあったようだね」
彩人はうれしそうに笑って調理を再開した。
霊「こんなに上手なら、毎日作ってもらおうかしら?」
霊夢は今朝の当番製という言葉を早くも撤廃しようか本気で考えている。
魔「れ~い~む~~」
霊「あら魔理沙、まだいたの?邪魔になるから縁側でお茶でも飲んで待ってましょ」
この巫女は悪びれる様子も無く縁側に戻っていく。
魔「私の煮物・・・」
霊「ああ、あれ?とってもおいしかったわよ」
霊夢は満面の笑顔を咲かせる。
その笑顔に腹が立ったので、
魔「霊夢、弾幕ごっこで勝負だ。食べ物の恨みは怖いんだぜ」
霊「いいわよ、今は気分がいいから相手してあげる」
私は霊夢に恨みをぶつけるべく空へと舞い上がった。
side~彩人~
霊夢と魔理沙が弾幕ごっこを始めてから数刻、だいたい料理が作り終わった。
作ったものは、枝豆や焼き鳥、焼き魚各種、シーザーサラダや揚げ物、etc...とにかくつまみはいろいろ作った。
あと、ご飯ものでいなり寿司なんかも作った。
何故かって?好きなんだよ、悪いか?
あとはお酒をいろいろ出して、料理を並べて準備オッケー。
霊夢たちも終わったようで、空から降りてきた。
霊「あら、準備が終わったのね?」
彩「ああ、お二人さんがじゃれあっている間にね」
魔「おおっ!すごいな。これ全部彩人が作ったのか?」
霊夢も魔理沙も降りてきて早々、早く食べたいのかそわそわしている。
彩「そろそろ、来る頃だと思うけど・・・来たな」
空間に亀裂が走り、中から紫が出てきた。
紫「こんばんは、報酬を受け取りに来たわ」
紫はいつもと同じ胡散臭く笑いながら言った。
彩「チャオ、今夜は騒がしい夜になりそうだ」
対して、俺はどこか遠くを見つめながら返した。
紫「さて、私の家族を紹介するわ。二人とも出ていらっしゃい」
そう言って、紫がスキマを開く。
中からは、見事な9本の尻尾を生やした紫に負けず劣らずの美人さんが出てきた。
藍「はじめまして、私は紫様の式の八雲藍だ。」
藍と名乗った少女はこちらに手を差し伸べてきた。
彩「俺は狂咲彩人。よろしくな、藍さん」
俺は、差し伸べられた手をしっかりと掴み返した。
藍「よろしく。あと私のことは藍でかまわない、私も彩人と呼ばせてもらう。敬語も無しだぞ」
そう言って藍はやわらかく笑った。
紫と違って、胡散臭さは微塵もない笑顔だった。
藍「さ、橙。お前も挨拶なさい」
そう言った藍の後ろからは二本の尻尾を生やした猫耳の女の子が出てきた。
その耳には金の輪っかを着けていて頭には緑の帽子を被っている。
その少女はもじもじしながら俯いて時折こちらをチラッと見てくる。
藍「ほら、恥ずかしがってないで挨拶は?」
藍が優しく催促する。
が、少女の反応は変わらない。
藍は困惑しているようで、心配そうに見ている。
ということは、普段と違う反応をしているということだ。
つーかこの子って、もしかして。
そう思い立った俺は少女の目線の高さに合わせ、頭を撫でながら言った。
彩「道を教えてくれてありがとね。おかげで無事にたどり着けたよ」
そういった瞬間、少女が驚いたようにこちらを見る。
どうやら正解だったようだ、そしてやっと目線が交差した。
彩「俺は、狂咲彩人。君の名前を教えてくれるかな?」
俺は、あの時と同じ声音で少女に聞いた。
橙「ぁ・・・ちぇ、橙っていいます。藍しゃまの式です!」
その答えに満足し、改めてお礼を言った。
彩「そっか。橙、改めてありがとな。おかげで迷わずにすんだよ」
穏やかに微笑みながら頭を撫でる。
橙「い、いえ。お役に立てたのならよかったです///」
そう言って頬を朱に染めて俯いてしまった。
橙「あの、どうしてわかったんですか?」
橙は、不思議そうに聞いてきた。
彩「確信があったわけじゃないよ。ただ、あのときの黒猫に雰囲気が似てたから、もしかしたらとおもってね」
そう言って、橙の頭を撫でた。
橙は恥ずかしいのか、また俯いて藍の後ろに隠れてしまった。
紫「橙と知り合いだったのね」
紫が意外そうな顔で聞いてきた。
彩「ああ、博麗神社への道を教えてもらったんだ。」
紫「そう。橙、ご苦労様」
紫が橙の頭を撫で、橙は気持ちよさそうに目を細めた。
彩「さて、料理のほうはできているから案内するよ」
そう言って紫たちを案内しようとしたとき、
?「・・・・・・・・---!」
橙「あれ?今何か聞こえませんでしたか?」
橙が耳をピクピクさせながら言った。
?「・・・---ぉぉぉ!」
藍「確かに聞こえるな。誰かを呼んでいるみたいだ」
藍にも聞こえたようだ。
どうやら獣耳の二人は聴覚がかなり優れているらしく、二人で耳をピクピクさせている。
その声はだんだんと近づいてくる。
?「ぁーーゃーー・・・ぉぉぉぉぉ!」
彩「この声は・・・!」
自分にも聞こえるくらい近づいてきた声は聞き覚えのあるもので、
ル「あーーーやーーーとーーー!!」
ズドッ!!!
という音ともに金髪の少女、ルーミアが抱きついてきた。
外見は少女でも中身は妖怪、人間である自分には車が衝突したのと同じくらいの衝撃が走った。
流石にまともに受け止められないので、能力で流れを読んでそれに合わせて後ろに跳び衝撃を1/10くらいまで軽減した。
集中しないとまともに読めないレベルでまだまだ使いこなせていない。
軽減しても軽く2~3回バウンドしたしね。
ルーミア、次はもう少し加減してくれ。
胸に顔をうずめて抱きついている少女の頭をポンポンなでなでしながら
彩「ただいま、ルーミア」
ル「おかえり!!彩人」
そう言ってお互いに笑い合う。
ルーミアはそのまま首に手を廻し自分の頬を俺の頬に押し付けてきた。
ムニムニとした感触が気持ちいいが、力の入り具合から満足するまで離れてくれそうもないので、ルーミアを抱っこし今度こそ霊夢と魔理沙のいる居間へと向かった。
その途中、紫が
紫「貴方たち仲良いわね」
と言ってきた。
まぁ、確かに傍から見れば仲の良い兄妹に見えるかもしれない、実際俺はルーミアのことが気に入っているし。
が、ルーミアがどう思っているかまでは分からない。
だから、自分に抱きついているルーミアに聞いてみた。
彩「ルーミア、俺のことどう思ってる?」
ル「お兄ちゃんみたいで大好き!!」
満面の笑顔で即答した。
彩「ありがと、俺もルーミアのこと大好きだよ」
その答えにうれしさと恥ずかしさを感じつつ愛しいものを扱うように抱えなおした。
彩「というわけで、俺もルーミアもお互いが大好きって事が分かったぞ、紫」
別に聞かなくても今までの行動から十分すぎるほどに分かることだがあえて言葉にしたかった。
そういう気分だったのだ。
紫「やっぱり貴方を選んで正解だったわ」
そう言って紫は笑った。
その顔にいつもの胡散臭さは無く、見た目相応の綺麗な笑顔だった。
紫の笑顔で藍と橙もうれしそうに笑った。
霊「あっ!やっと来たのね。もう、せっかくの料理が冷めちゃうじゃない」
話しているうちに居間についたようだ。
霊夢と魔理沙は人数分のお椀と箸を準備して待っていた。
彩「ごめんごめん。さ、全員そろったことだし始めますか?」
そういって各々席に着く。
ちなみに、俺→ルーミア→霊夢→魔理沙→紫→藍→橙の順番でテーブルを囲んでいる。ルーミアは俺の膝の上ね。
紫「それじゃ、私が乾杯の音頭を取るわ」
なんか、さっきまで無かったはずのお酒が入ったコップが置かれているし、皆平然とコップ持ってるし。
紫「彩人が幻想郷の住人になったことを祝して乾杯!!」
彩・霊・魔・藍・橙・ル「「「「「「乾杯!」」」」」」
こうして小さな宴会が始まった。
なかなか話が進まない。
100話超してる先人たちはすごいっすね!
感想・誤字指摘待ってます。