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自称コンサルタントのギャルが僕を魔王にしようとしてくる  作者: 結生


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魔法が嫌いな魔女

「メイさん! 大丈夫ですか!?」



 殴り飛ばされたメイさんの元に駆け寄り、起こそうと手を伸ばした。

 けど、その手は彼女にはたかれた。



「ご心配いりませんわ」



 メイさんは何事もなかったかのように立ち上がった。



「それよりもあなたは早く逃げなさい。彼女たちの目的はわたくしですから」


「うん、そのつもりだけど。メイさんは? 魔法使えないってあの人たちが」


「即答ですか。まぁいいですわ。いいですか? 魔法を使えないわけではないですわ。魔法を使わないだけ」


「使えるのに使わない? なんでですか? 魔女って魔力が高いんですよね。それじゃ、自分の長所を潰すことになるじゃないですか」


「決まっていますわ。



わたくし、魔法が吐いて捨てるほど嫌いですの」



「好き嫌いの問題!? で、でもいざとなったら使うんですよね?」


「いいえ。例え、死ぬことになったとしてもわたくしが魔法を使うことは絶対にありませんわ」


「ど、どうして……」


「わたくしがそう決めたからですわ。自分で決めたことの1つも守り通せなければ、お姉さまに顔向けできませんもの」



 この人本気で言っているの? そんなものより命の方が大切に決まってるじゃん!



「あーあ、堕ちるところまで堕ちたな。誰かに尽くすなど、王族の血が泣いてるぜ」



 王族? お嬢様っぽい喋り方してたから、高貴な家の出とは思っていたけど、まさかのプリンセスであらせられるのですか!?



「血統などどうでもいいことですわ。誰の子かよりも何をしたかの方が重要なのですわ」


「なら、あなたは下らない魔女ってことになりますわね」


「そうだな。あんな女にへりくだってんだ。何をしたかで言えば、ゴミ以下じゃねぇか」


「遺言はそれでよろしいのですわね」



「がっ!」



 次の瞬間、今度は魔女Aさんがメイさんに蹴り飛ばされていた。



「ちょっとちょっと! ここ住宅街!」



 メイさんたちは本格的に戦闘を開始する。

 そうなると当然、周囲へ被害が出るわけで、ここにも多くの人が……あれ? いつの間にか誰もいない?

 家の中も人がいないように見える。

 日常ではまずありえない光景、けれど、僕はこれを一度見ていた。

 人除けの結界? 

 空を見ると、薄い膜のようなものが見える。恐らく、あの魔女3人組がメイに会う前に子の結界を張ったのだろう。

 これなら周囲への被害は最低限に抑えられる。

 けど……。



「その程度では相手になりませんわ」


「うっせぇ!」


「私もいましてよ、メイさん」


「アタシらの相手もしてもらおうか」


「3人纏めて来なさい」



 魔女4人が肉弾戦を繰り広げ、その余波であちこちの家が倒壊している。

 なんで魔女同士の戦いが肉弾戦なんですかね? 戦闘民族なんですか?

 これじゃ、魔女ってよりアマゾネスの方がしっくりきそうなものだ。

 魔女こえ~。

 しかし……。



「はぁっ!」


「ぐ!」

「きゃ!」

「ぃ!」



 明らかにメイが押していた。

 確かプリムラが言っていた、『身体能力を形成するのは反射神経と筋力だが、魔力が高いものに限り、その身体能力が何倍にも増幅する』って。えっと……魔法を使わない恒常バフって言ってたかな。

 そして、それは相手も同じ条件。

 つまり、メイはあの3人を合わせてもなお足りない、それほどの強さを持っているということだ。

 そんな強い人がなんで……。



「なんでプリムラなんかに……」



「接近戦じゃ分が悪い! 魔法で遠距離から行くぞ! “マグナディザスター”」


「“涼風歌風柳風”」


「“アーストロ・レグメント”」



 火、風、土の複合魔法がメイに向かって放たれる。



「相変わらず、練度の低い魔法ですわね」



 その魔法に対し、メイさんは避けようとはせずに、左手を大きく振った。

 すると、モブ魔女さんたちの魔法がかき消えた。



「これって……」



 プリムラも梗夜(きょうや)君に対してやっていたやつだ。

 魔力量に差があれば出来るって。

 でも、相手は同じ魔女でしかも3人分。それをこんなあっさり。王族と言うのに関係があるのだろうか。



「そっちも相変わらずの魔力だな。けど……」



 ツーっとメイさんの左腕からほんの少しだけ血が流れだした。



「無傷ってわけじゃなさそうだな」


「あまり美しくはありませんが、このまま遠距離で攻め続けさせていただきますわ」


「悪いね。最初から3人がかりだったんだ。正々堂々なんて気はさらさらないんだ」


「お気になさらず。魔法を使う暇があればいいですわね?」


「っ!」



 メイさんは一息で彼女たちの懐に飛び込んだ。

 スピードならメイさんの方が圧倒的だった。

 これなら……。



「わりぃな! これを待ってたんだよ!」



 メイさんが拳を振ろうとした瞬間、3人のモブ魔女さん達が光り輝きだした。



「な、なになに!?」



 その光が段々と収まっていく。すると、空中で動きを止めたメイさんの姿があった。



「あれは? 魔方陣?」



 メイさんの動きを拘束するかのように両手足に魔方陣が浮かび上がっていた。



「これは! 四重方陣! なぜあなた達がこれを!」



 そして、動きを封じられたメイさんは初めて取り乱した。

 捕まったことよりも、その魔法が発動したこと自体に驚いているようだ。



「四重方陣。これを使えるは魔界でもそうはいない。現魔王、魔王候補、それから幹部たちくらいなもんだろうよ」


「っ! まさかっ!」


「ああ、そのまさかだよ!」


「この魔法は預かってきましたの。あなたを捕まえる為に」


「お前ならもう誰か分かってんだろ? そうさ、現魔王の側近にしてQ(クイーン)を冠する者、お前の母親さ」



 え……? 母親? 魔王の? Q(クイーン)が? マジで?

 とんでもない大物の名が出てきて話についていけない。

 Qってことはプリムラと同じポジションってことだよ。じゃあ、そのメイさんのお母様はプリムラと同等かそれ以上の実力者ってこと!? 年齢や経験を鑑みれば明らかにプリムラよりは上だろうけど。



「お母様が……?」

「ああ、帰って来いとよ」



「は、はは、はははは!!


……ふざけるな……ふざけるな……ふざけるな! ふざけるな! ふざけるな! ふざけるな!!! ふざっけんなあああああ!!!!クソババアああああ!!!!」



「ぐ……うっ……なに!?」



 怒りを露わにしたメイさんから膨大な魔力が放出され、それが突風となって吹き荒れる。



「どうして邪魔をするのです! わたくしの人生はわたくしが決めます! お母様はもうわたくしの人生に干渉しないでくださいまし! わたくしはもう決めていますの! 


わたくしはプリムラお姉さまのために………!」






 王族の娘として生まれたわたくしは期待されていた。

 常にトップであることを強要された。

 それが当たり前であるかのように。

 けど、わたくしに才能はなかった。

 だから、わたくしは期待に応えるために努力をした。

 努力をした。

 努力をした。

 努力をした。

 努力をした。

 努力をした。

 努力をした。

 努力をした。

 努力をした。

 努力をした。

 努力をした。

 努力をし続けた。

 そして、わたくしは【黒薔薇の園】で常にトップを取り続けた。

 試験のたび、吐くような努力をして何とか保っていた面子。

 周りからは天才だの王家の血筋など色々言われてきた。羨んでくる人もいた。それでもよかった。

 周りの期待を応えられているのであればそれでよかった。


 けれど、2年前に出会った少女に全てを壊された。



 彼女の名はプリムラ。




 わたくしが生涯を捧げると誓ったお方。


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