オトコノコと魔女の魔法 -1/2-
修行中の魔女のやる事は多岐に渡る。
魔法の研鑽。
食い扶持稼ぎ。
学校。
学校の宿題。
更に人によっては塾や習い事等もあるだろう。
「学校の宿題をやる魔法」
音夢の場合は一挙両得。無駄を省く。これも修行の内だから。と、誰に対してかわからない言い訳を胸に魔法の開発に勤しんでいる。
勿論その横では猫姿のノアールがジト目で見ている。
『どういう魔法よ』
前脚をタシタシ叩いて抗議する様は、宿題は自力でやるものだと訴えている様だ。
そんなチリリと来る視線も何の其の。音夢はどこ吹く風と飄々とした顔で笑っている。
「大丈夫だよノアール。結局魔法の使い手が分からない問題は魔法でも解けないから」
『そうなの?どういう原理なのかしら』
「さあ?魔法論理学は専門外だからわかんない」
魔女の世界にも分野が存在する。
理数系な論理学。
国文系な倫理学。
体育会系な力学。
芸術系な自由形。
芸術系だけ学でなく形である。
何故なら楽しむ事が主体だからだ。
音夢は勿論自由形。
「んふ〜♪僕は人間の勉強もバッチリやってるからね。魔法の出来栄えもこの通り」
ノアールに向かって広げられた宿題。
魔法の掛かった宿題は見事に埋まっていた。
ノアールは問題文と回答文と順に追っていき、そして前脚を指した。
『空欄発見』
「ええ?何処?」
音夢は目を開き、二人で見れる様に宿題の向きを変えて覗き込む。
ノアールは向きの変わった宿題を改めて前脚で指す。
『ほらここ』
「あぁ〜ホントだぁ。うんん〜確かにわかんない」
言うなり音夢は教科書を取り出す。
該当のページを魔法で捲り、目を通す。
「わかんない。数学って宇宙人の言葉なんじゃないの」
むむむ。と眉間に皺を寄せて考え込んでいると、
チリリリリン♪
涼やかな鈴の音色が聞こえて来た。
顔を上げて玄関を見ると、そこにはクラスメイト達がいた。
「こんちー音夢ち」
「買い物来たよー」
私服に身を包んだ女友達に、音夢は破顔する。
「ありがとー♪いらっしゃ〜い」
言葉と共に教科書も宿題もその場に置いて立ち上がる。
宿題よりも友達が大事。それが女の子なら男の子として待たせる訳にはいかないのだ。
決して宿題を投げ出した訳じゃない。ないったらない。
(ちゃんと後で続きをやるから)
と、誰に対してかわからない言い訳を心の中で呟いた。




