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1-1ル・コルビュジエの庭での出会い

はじめまして、リンダールと申します。

どうしても大好きな美術×ファンタジーで小説を書いてみたくて筆を取りました。

楽しんでいただければ幸いです。

東京の大学に通う男子大学生の蒼井は、観光客でごった返す駅前で人にぶつからないように避けながら、上野駅公園口の改札を出て美術館へ向かう。出て左手に東京文化会館、右手にはロータリーがあり、何台か止まっているタクシーの横を通り抜けると、目的地の国立西洋美術館の四角い建物が見えてくる。


ル・コルビュジエが描いたこの理想の空間は、日本唯一の国立の西洋美術専門の美術館であった。

敷地内に入ると空気が変わる。外の喧騒から離れて、遠く西洋から渡ってきた美術作品をゆっくりと鑑賞できるこの空間が蒼井は好きだった。


何体かの彫刻作品の横を通り過ぎ、館内に入るとカップルや老紳士、同じ年ぐらいの大学生様々な人が居て、ロッカーに荷物を預けたり、ミュージアムショップで買い物したりしていた。

壁には半年後に予定している企画展のポスターが貼ってあり、フェルメールの真珠の耳飾りの少女が大きく描かれており、横に20年ぶりの来日と書かれていた。


「こんにちは、今日も来てくださったんですね」

と顔見知りのスタッフから柔らかい声で挨拶される。

「こんにちは」

常設展のエントランスには、吹き抜け構造となっていて、中央付近には大きな柱が2本あり、彫刻作品が何体も並んでいる。

自然光を取り入れた構造により、ブロンズの彫刻作品達には淡い光が当たっており、彫刻作品に生命の息吹を与えているようだった。


蒼井は深く息を吸い、常設展への進んでいく。

スロープで上の階層へと上がり、西洋絵画が展示されいるフロアへ着いた。

金が使われた宗教画が並び、いつものように鑑賞を行っていた。

何百年も前の絵画が、現存して目の前にある。当時の事が描かれている。蒼井はまるで絵画は時代と時代を繋ぐ窓だと改めて思った。


曲がり角を曲がると、空気が変わった。

目の前には、黒檀の様な黒髪を持ち人形の様な整った顔立ち、肌は陶器のように滑らかで、輪郭はどこか現実離れした均整を保っている。

まるで“人間”というより、誰かが丹念に造り上げた美しい造形物のようだった。

蒼井は思わず息を呑む。

彼女自身が展示物の一部であるかのような存在感があった。


「ん?私の顔に何か付いてる?」

「ごめん・・・」

気づいた少女が強めの語気で言ってきたため、とっさに謝ってしまった。

目を合わせると少女がかなり背が低いことに気が付いた。蒼井の胸ぐらいまでしかない。

もしかしたら、親と来て今は一人で鑑賞しているのかもしれないと思った。


「ねぇ、あなた、美術史を専門にしてるよね?」

「え、どうして分かったんですか」

驚いた。蒼井の専門は西洋美術史であり、科学分析等の研究をしている。


「分かりますよ。だって、あなたの目は“研究者の目”ですもの。あ!そうだ、この後時間ある?」

「え!」

とっさに大きい声が出てしまった。他の来館者がこちらを見たので、すみませんと謝った。

こんな美少女に誘われたら嫌な気持ちはしないけど、とても怪しいと思った。

変な宗教勧誘とかされたら嫌だなと思って断ろうとした。


「返事ないのね。じゃあ、2時間後にCAFÉ すいれんで待ってる!」

「え!?」

そう言うと少女は、次の展示室へ行ってしまった。

後を追いかけたが、すでに姿は見えなかった。

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