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White bullet  作者: 七灯
7/9

chapter6(final chapter) ~nothing~

Scene7/8

私の友達はいつも心強い。

私が困っているとき、手を差しのべてくれるのはいつもこの人だ。


私がミスをしても、その埋め合わせをしてくれるのはいつもこの人だ。


私は、そんな友達に何をしてあげられるのだろう。何をしてきたのだろう。


「――仲間のことを思って、笑うのも怒るのも、全て君だけができることだよ。」

「……そうだね」


私は友達の手を取って立ち上がる。

痛みなんて、もう気にしない。


「《オーディン》、ちょっと目を閉じてくれ」

「…いいけど、なにするの?」

「いいからいいから」


私が目を閉じていると、《トール》から声がかかる。


「うん。これで大丈夫」


不思議と、体が軽かった。

我慢しようとした痛みもなくて、まるで魔法のようだった。


「なに、したの?」

「元気になるおまじない」

「…ありがとう《トール》」

「お、おぅ」


《トール》は吹き飛んで壁際で動かない敵を見る。私も警戒を強めて同じことをする。


「さっきはどーも」

「……2対1は不利ね」

「逃がすと思うか?」

「ワタシが逃げると?」


敵は立ち上がる。

左腕を外して。


「《オーディン》っ! あれを使う!」

「――閃光焼夷弾。」

「っ、!?」


彼の声が聞こえた瞬間、《M202閃》から一発の弾が射出されていた。


地下放水路に光が灯る。


「っ、眩しい…!」


敵の声が爆音に消え、私は事前に目を閉じていたにも関わらず、目が痛く感じる。

激しい光が消えていき、目の痛さが引いたところで敵の姿を探す。


「――リロード。」


《G17》に入っているマガジンを射出して、持ってきたマガジンを《G17》に差し込む。すぐに、上部のパーツを手前にスライドさせて、弾を装填する。


「――右だ。」


私たちの右側にある柱に《G17》を構えて出てくるのを待っていると、敵は予想より上から飛び出してきた。


翼が直っている。

だけど、さっき持っていた左腕はない。


「左腕を犠牲にしたなら、遠距離武器はない!」

「残念だけど、まだあるのよね」


敵が手にしているのは、さっきまで敵が着けていたヘッドギア。


これも変形をするのかと思っていたら、そうではないらしい。

そのまま左腕の接続部分へ合体させて、それで終わり。


「それだけじゃ、どうしようもないだろっ」


移動弾を使って柱に飛んだ《トール》は、敵に接近戦を試みる。


「――左翼へ。」

「うんっ」


《トール》に当たることなく、空間を突き進んだ《G17》の弾は、タンクのない左翼へ命中し、穴を開けた。


体勢を崩した敵に、《トール》は《M202閃》を叩きつける。


鈍い音を立てて敵は床に叩きつけられ、《トール》は柱を蹴って落下による衝撃を減らして着地した。


「なんだ、妙に手加減されてる感じが…?」


《M202閃》の装填を行いながら、《トール》はそう呟く。


「――まずいな。」

「《トール》、気をつけて。リーダーが良くない感じがするって」

「なに?」


床に落ちた敵は何事もなかったかのように立ち上がり、()()を《トール》に向けている。


「…え」

「は?」


「アハハッ!」


2ヵ所からの銃声が鳴り響き、一人だけが痛みの悲鳴を上げた。


「っ!」

「《トール》!」


幸いにもその悲鳴は《トール》のものではなかった。《トール》は《M202閃》を盾に使ったらしく、被弾していない。


「アタシはいい!」


《トール》は射撃から身を守ることしかできず、その場から動けない。


(早く倒さないと…!)

「――急いではダメだ。」

(でもっ、そうしないとライが!)

「――君の心が弱くなるほど、君の攻撃が弱くなる。」

(…そうだけど、ライのことのほうが…!)


パン!パン!パン!


連続で撃つ私の弾は、動かない敵にすら当たらない。


「――『  』!」

(…!)


彼がなんと言ったのかは分からなかった。だけど、今一番大切なものが何かを教えてもらった。


パン!パン!


私の弾は正確に敵の武器腕に当たり、敵の攻撃が止む。


私は《SRM+》を手に取り、敵に撃つ。

武器腕の銃口部分を削り取った一撃により、完全に射撃ができなくなる。


「《トール》!」

「終わりだぁぁ!」


《トール》は地面を蹴り、叩き潰すように敵へと飛ぶ。


だが、《トール》は不自然な動きで進路を変え、柱へと激突する。

あの変な脚によって、《トール》は体を掴まれ、柱へと放り投げられたのだ。


「《トール》!」

「――カバーリング。」

「私が助けるんだっ!」


私が敵へ近づくと、敵はその脚を振り回す。

私は飛んでそれを避けつつ、《G17》を一発、顔に撃つ。

だが、それは当たらない。

外したのではなく、顔のフレームによって事前にそらされたから。


「顔も、機械…!」

「そうなの……よね!」

「っ、しまっ」


天井へと飛ばされ、私は天井を蹴り返して床へ落ちる。

それができたのも、《トール》のおまじないのおかげだ。


「まだ、負けてない!」


空へ飛ぼうとした敵の右翼についたタンクへ射撃し、それを爆破させる。


「――残弾7。」


リーダーの声を聞きながら、右翼へ左手で持った《SRM+》で射撃。

これで羽が修復されない。


「――脚へ3つと2つ。」


リーダーの指示があれば、私はそれに従う。

私は《G17》と《SRM+》を同時射撃する。

《SRM+》の弾は正確に二つとも敵の脚を貫く。一つは右脚の太ももあたりで、もう一つは左脚の脛のあたりだ。

《G17》は3発撃ち、脚部と腰部の繋がる部分に二つ、左脚の太ももあたりに一つ弾を残した。


「――残弾4と2。」


敵は地へ落ち、両足と羽から火花を散らす。


帯電(チャージ)完了(コンプリート)!」

「はっ!」


足掻きのつもりか、故障寸前の足でバックステップを行う敵を《トール》は逃がさない。


全弾(オール)閃光焼夷弾(エクスプロージョン)!」


《トール》が振り下ろした《M202閃》が敵と接触した瞬間、地下放水路内は激しい光と音、振動が広がった。


「《トール》っ!」


私の声が地下放水路に響くも、他の声は返ってこない。

だけど、爆炎の中に見えた影は、大きなハンマーを担いだ見知った身長の人。


「あ~、すっきりした!」


そう口にした人物は、間違いなく私の友達だ。

《M202閃》を帰還させ、《トール》は私を抱き上げる。


「ありがとう《オーディン》、アタシがいいとこ持ってかせてもらったよ」

「ううん。いいの。《トール》が嬉しそうだから」


《トール》が抱き寄せているからか、《トール》が付けている機械から声が聞こえてくる。


『大変だ! 地下放水路を利用した水量調整が始まった!』

「な、なに!?」


《トール》は私を下ろし、機械に向かって叫ぶ。

私はどうして《トール》がそんなに焦っているのか分からない。


「え、どういう…?」

「とにかく、アタシについてこい!」


私は《トール》に手を引っ張られる。

だが、《トール》から力が抜けた。


「ああ…っ!! こんなときにっ!!」


《トール》が膝をつき、痛みに悶える。


「《トール》!?」

『早くしないと、巻き込まれる!』

「う、るせぇ…頭に響く…!」


私には何ができるのだろう。


「――力を貸そう。」

「…! 《トール》、《M202閃》を貸して」

「は…!? 何言って…」

「早く!」


《トール》は《M202閃》を召喚し、すぐに床に置く。


「換装できる?」

「何に…?」

「――回復弾と移動弾を。」

「回復弾と移動弾に」


《トール》が驚いた顔をする。

それでも、私は求める。

回復弾が何かを知らないのに。


「……。」


トールが目を閉じると、《M202閃》からコンと小さな音がした。


「ありがとう、《トール》」

「《オーディン》…?」


私は《M202閃》に触れる。

そのまま持ち上げ、《トール》発射口を向ける。


「《オーディン》!?」

「っ、動かないで」


《トール》へ回復弾を放ち、《M202閃》を手放す。


「っ、熱い…!」


《M202閃》は射出したとき、ものすごい熱を持つ。そのため、使える者はとてつもない力と、熱に鈍感でないとならない。


私はリーダーの力を借りて、前者はよかったものの、後者はどうやっても克服できない。


「《オーディン》っ、なんで無理して…!」

「私が倒れても《トール》は私を運べるから。でも、逆は無理」

「そうだけど、自分のことも考えろっ!」


《トール》は私を担いで、《M202閃》の移動弾を使う。


『《トール》、そっちからは無理だ!』

「なんでだ!?」

『川の水を入れているのがそっちだからだよ!』

「逆ってことでいいんだな!」

『それはオッケー! それと、《オーディン》の身体パラメータが最高値を更新し続けてる! 《オーディン》の状態は!?』

「《オーディン》、大丈夫か!」

「大丈夫。なんともない」


《トール》はホッと安心して、先ほどいた場所まで移動弾で移動する。


「くっ、2発分無駄にした…!」

『待って《トール》、《ロキ》の反応が復活した!』

「え、ヤツならここに」


私と《トール》はそこにいるはずの敵を見る。

だけど、そこには姿はない。

なら、どこに…?


「先にそっちの子からやらせてもらうわ」


そう言って現れたのは、私たちが探していた敵。

突然現れた敵に、換装しようとしていた《トール》は避けられず、私も一緒に飛ぶ。


《トール》は衝撃から私を庇って壁に叩きつけられ、私はすぐに立ち上がるものの、《トール》が動かない。


「《トール》…?」


頭から血を流している《トール》は、動いてくれない。


「ぁ、そんな…」

「――よく見ろ。呼吸はある。」

「はっ、なら…」

「――一時的に気絶しているだけだ。すぐに起きる。」

「よかった」


私は《トール》を楽な体勢にして、目の前の敵に視線を戻す。


「さて、第二ラウンドに洒落混みましょう?」


私は少し怒っていた。

友達を二度も怪我させた敵には、少しだけ痛い目を見させないと気が済まないほどには。


「そんなボロボロで、私と戦うの?」


敵はすでにかなりの痛手を負っている。

顔のガードフレームが少し砕け、左腕は鉄の棒と化していて、関節を曲げられない状態だ。

左脚を引きずっていて、右脚も《SRM+》の影響で変形ができない。


それでも、《ロキ》は使える右腕と胴体、腰に追加された左の翼だけで戦う姿勢を見せている。


「ワタシは負けるのが一番嫌いだもの」


「私だって負けられない」


私は《ロキ》から距離を取り、《ロキ》の動きを見る。


(《G17》の残弾は4、《SRM+》の残弾は2。一発も無駄にはできないっ…!)


《ロキ》は腰部の翼をパージして、床に落ちる前にそれを掴む。

変形して出来上がっていたのは薙刀だった。


翼の先端が刃で、持ち手は翼が変形して中から出てきた棒状の滑りやすそうなもの。


《ロキ》は片手だけで薙刀を回し、キャッチすると姿勢を低くする。


「――来るぞ。」

「負けない!」


《ロキ》は薙刀を床に擦らせてから振り上げる。

刃のなくなった薙刀を。



「――《SRM+》、残弾1。」


《ロキ》は倒れた《トール》へ薙刀を投げつけようとする。


「させないっ!」


2発の銃声の直後、金属性の棒が三つに折れる。

元薙刀、いや。元翼は、刃先と三つの棒に分解され、床へ各々落ちた。


「――《G17》、残弾2。」

(あと、3発だけっ)

「くっ、それならっ!」


《ロキ》は必死に私に人の手を伸ばしてくる。

でも、私はもう掴まらない。


一発を左脚に、もう一発を右肩へ放つと、《ロキ》は体勢を崩して倒れ込む。


「もう諦めて。あなたの負け」

「……。」


《ロキ》は左腕を私に伸ばしてくる。

不自然に《ロキ》が微笑み、パージされた()()は光った。


「…!」


「――全弾消費。残弾なし。」



リーダーのその声の後、私は爆炎に包まれていた。

《トール》視点は《オーディン》視点とほぼ同じなので今回はなし!

書いてほしいってコメントがあれば書きます。

次で最終回だよー!

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