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サ終済みソシャゲアイドルたちは、もうライブなんてしたくない!  作者: 空清水紗織
第01章:もうライブなんてしたくない!
6/10

05話:Tiny Doll

 あかりの説得は難しいだろうなと思ってはいましたが、私が思っている以上に運営さんへの不信感が強かったみたいです。みんな大なり小なり不満を持っているものですが、特にあかりはアイドルへの思い入れが強かった分、その反動があの態度に繋がってしまうのでしょうね。もちろん私だって良い気分はしませんが、かと言って何もしないわけにはいきません。経験上、こうなったあかりは気が収まるまでに相当時間がかかるでしょうし……。覚悟を決めなくてはいけませんが、彼女の不在は私が何とかしましょう。それに『Re-Boot Glitter』はまだ2人います。そのうちの1人は承諾してくれそうな気がしましたので、学園に戻ってきました。


 ――真っ暗なダンスレッスン室で待つこと数時間。

 その子はこっそりとドアを開け、電気を点け……。


「みーおーさんっ」

「うわあああぁぁぁ!!!」


 『Re-Boot Glitter』の1人、1年生の『静原しずはら みお』さんが尻餅をついて、小動物のように震えています。小さいものがプルプルしている様子って、何でこんなに可愛いのでしょうか。しゃがんで目線を合わせます。


「私です、蒔です」

「ま、ま、蒔さん……? はぁ~ビックリしました……」

「驚いたのは私の方ですよ。何しに来たんですか?」

「何って、え、えっと、それは……」


 片目は髪で隠れていますが、それでも視線をそらしたのがはっきりと分かります。その際、シューズボックスをチラ見したので確信しました。


「ここでこっそり練習をしていたのは、澪さんですね」


 先ほど片づけた、小さめの1年生用シューズを見せると、観念したように頷きます。


「は、はい……」

「ダメですよ、横着して脱ぎっぱなしにしておくのは。使ったものはちゃんと片づけましょう。それに、ミキサーは必ず音量をゼロにしてから電源を落としてくださいね。故障の元です」

「ごめんなさい……」

「でも、練習を続けてくれてたのは嬉しいです。他の方が休んでいるからと言って、澪さんまでそれに合わせる必要はありません。もっと堂々と使ってくれて構わないんですよ」

「あ、ありがとうございます……! 家でじっとしてるよりも、ここで踊ってた方が安心できるなって思ってて……。だから、そう言ってもらえると嬉しいです……!」


 上目遣い。曇りのない笑顔。満点です。引っ込み思案な子ではありますが、意識せずともこういった表情が出せるところは、アイドルとして本当に“強い”ですね。


「ちなみに、練習には何の曲を使っていたんですか?」

「色々です。特に決めずに、その日の気分で踊っていました」

「では、『Liiight Up!!!』はいかがですか?」

「『Liiight Up!!!』ですか? はい、踊る日もありますけど……」

「実はですね……」


 これまでの経緯を一通りお伝えすると、澪さんは快く引き受けてくれました。


「分かりました。データをなくされちゃったのは悲しいですが……。でも、もう一度どこかでライブしたいという気持ちもありましたので、是非やらせてください!」

「ありがとうございます、助かります」

「それにしても、わたしたちのデビュー曲のデータを移管しそびれるなんて、よっぽど愛着がなかったんですかね。『きらミネ』の面汚しと言いますか、よくそれで運営をしてたなって思います。親の顔が見てみたいです」


 ぷんすこ怒っている姿も大変可愛らしいですね。淀みなく毒づくところもゾクゾクします。


「私たち創造物が『親の顔』と言うと何だかややこしい気がしますが、その怒りには100%同意します」

「あかり先輩が怒るのも当然ですよ。それでそのライブですが、あかり先輩は参加……してくれるでしょうか……?」

「……あかりの件は私が何とかします。あとは恋詠さんですが、最近何をしているかご存知ですか?」

「えーっと、恋詠さんなら図書室に来ているみたいですよ。たまに図書室近くの廊下で見かけます」

「なるほど、図書委員長ですもんね。本好きですし、じっくり読書するのに<無の期間>は打ってつけでしょう」

「声、かけに行きますか?」

「ええ、一緒に来てくださると心強いです。行きましょう」


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