01話:仕様じゃねぇのよ、不具合は
『きらめき!イルミネイトガールズ』、通称『きらミネ』。2010年にリリースされた当時は、ガラケーでポチポチしながらアイドルを育て成長させるのがメインのゲームでした。
舞台はアイドルを養成するための学園。そこにはアイドルを目指すアイドル学科や、裏方を目指すマネジメント学科などがあります。プレイヤーさんは駆け出し女性マネージャー『茉菜辺 蒔』という、アイドルたちのマネージャーの立ち位置でした。あ、男性は存在しないので安心してください。
彼女たちのスケジュール調整や、体力およびメンタルの把握、アイドル間の仲良し度合いの促進など、幅広くパラメータ管理をしながらライブをこなし、高得点を稼ぐのが主な遊び方です。ちなみに仲が良くない子同士でライブに出ると「MCが長すぎて喧嘩になってしまった!」だの「ダンスの最中に中指を立て合ってしまった!」だの、実際のマネージャー目線だと胃が痛くなる理由で減点されるのですが、妙なリアル路線がプレイヤーさんには受けていました。
また、ポチポチするだけとは言え、ガチャで手に入るカードイラストは当時の萌え絵として最高峰のクオリティでしたし、ボイスも人気声優さんにお願いしていたのでリリース当初から大ヒット。その波に乗ってキャラソン、ラジオ、アニメと徐々にコンテンツの幅を広げていき、初期は3人しか実装されていなかったアイドルが、終了時には10倍の30人を超えていました。ゲーム発ではないアイドルも誕生しており、一大IPとなっていたのです。
時は流れ2020年、10周年の区切りとしてゲームの超大型アップデートが実施されます。超大型アプデと聞いて頭痛がするソシャゲプレイヤー諸氏は少なくないと思いますが、『きらミネ』もご多分に漏れずといった状況に陥りました。この頃にはリリース当初の開発陣や運営メンバーがほとんど残っていなかったのも災いしたのでしょう。
アプデの目玉機能の一つが、この時主流になりつつあった3D機能でした。『きらミネ』担当プロデューサー曰く、『猫も杓子も立体になるのに、アイドルがそうならない理由はない』んだそうです。
彼女たちに好きな衣装を着てもらい、好きな曲で踊ってもらう。立ち位置もカメラアングルも自由に変更可能。自分だけのMVが作れるまさに夢のようなアプデでしたが、3Dには当然莫大なお金がかかります。アプデ当初は1ヶ月に4~5曲のペースで3D楽曲追加と謳っていましたが、半年も経たずに1ヶ月3曲ペース、2曲ペースと減っていき、しまいには3ヶ月で1曲ペースとなりました。社長室に説明に向かうプロデューサーの歩みは、レンダリングに失敗したかのようだったと言われています。
3D関連では様々な不具合も起きました。衣装が素体に食い込むという小さなものから、裸バグという大きめのもの。ここまではまだ笑い話で済みますが、カードイラスト内でのライブ衣装と、そのカードに付いてくる3D衣装のデザインが異なるという優良誤認案件もありました。
そうそう、『きらミネ』センターの子をガチャで引いたと思ったら、付いてきた3Dモデルはマネージャーの『茉菜辺 蒔』だったという、トンチンカンな不具合も出してました。<センター引いたら俺らマネージャーだった件>だなんてネタにされていましたね。いつ消費者庁コラボになるか、運営内では冷や冷やものだったそうです。
相次ぐ不具合で失墜した信用を取り戻すべく運営移管も行い、多少は持ち直したかのように見えました。ですが……。
2025年。大型アップデートからは5年、初期のリリースからは15年を迎える年に、ゲームはサービス終了となったのです。『きらミネ』は、ラジオやアニメを主軸とした展開にシフトすることになりました。
サービス終了から半年が経ち、返金対応も落ち着いた頃。残対応のために稼働させていたいくつかのサーバーが、一つ、また一つと落とされていきました。ゲームとしてのきらめきに終止符が打たれた瞬間です。
――そして。
どういうわけか電源が落とされなかった1つのサーバー。
そのサーバーの中で、30人を超えるアイドルたちと、たった1人のマネージャーである私『茉菜辺 蒔』は、2026年になった今でも生き続けているのです。




