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 そこへ、ばぁん! と勢いよくドアが開けられて、

「クリス!」

 ラディアナが部屋に入ってきた。どこかで購入したのか貰ったのか、前のものとよく似たエプロンドレスを着て、フリルをひらひらさせながらクリスのもとへ一直線、思いっきり抱きついた。

「良かったぁ! 気がついたのね!」

「あだだだだたラディァァァァアナいたいいたいたいいたいっっ」

「あ、ご、ごめんっ」

 ラディアナは慌ててぱっと離れた。

「で、体はどうなの?」

「うん。自分で思ってたよりは大丈夫みたい。ラディアナは?」

「あたしはへーきよ、あれぐらい。食べて寝たら治っちゃったわ」

 腕をぶんぶん振り回して、ラディアナは元気っぷりをアピールする。  

「そういえば、街の復興の手伝いをしてくれてたんだって?」

「そんなの大したことないわよ。それに、エレンのお店も潰れちゃってたし……」

「それも、ラディアナちゃんのおかげで随分助けられたわよ」

「!」

 今度こそクリスは、座ったままで跳び上がりかけた。いや実際、少し跳んだ。

 ラディアナの後に着いて来ていたのか、いつの間にかドアのところにエレンが立っている。

「瓦礫も柱も綺麗に片付いたし、これから建て直すぞって父さんも張り切ってくれてるわ」

「エ、エレン……」

「クリスも人が悪いわね。あのジークロットの子孫だってことを隠してたなんて。まあ、そういうのを自慢げにひけらかすあんたでもないか。でも!」

 エレンはクリスに近づいてきて、その両手を握った。

「あたしは知ったし、街のみんなも知った。これからは、あんたたち三人を応援させてもらうからね! 絶対、リュマルドの奴をぶっ倒すのよっ!」

「もっちろん! あたしたちにドーンと任せて!」

「ワタシたちはその為に旅してるんだものね。でしょ、クリス君?」

 ラディアナが元気に応え、パルフェはクリスに問いかけた。

「さっきも言ったけど、それがワタシたちの使命だもん。頑張らないとね」

 ……使命……そうだ。魔王の生まれ変わりが何だ。転生が何だ。呪いがどうした。 

 今、ラディアナとパルフェと、そして自分には戦う力があるのだ。ならば考えることはない。

 最初の最初に思っていた通り、リュマルドによって苦しめられている人々を救う為に、戦う。戦って、勝つ!

「やるよ……うん、僕はやる! やってやるっっ!」

 ぐっ、と握ったクリスの拳に、ラディアナとパルフェの手が重なった。


 数日後。傷の癒えたクリスと、パルフェとラディアナがタスートの街を後にした。

 パルフェはリュマルドの位置が解るのでとりあえずの目標はそこだが、他の遺品やジークロット関連の伝承などについても、情報を集めていくつもりである。今のままの三人では、まだまだリュマルドには到底勝てないと痛感させられたからだ。

 街で新たに購入した金属鎧など、装備一式の感触を確かめながら、クリスは小高い丘を登っていく。

 その隣を、こちらは何も変わらないパルフェが歩く。空は快晴、鳥の声が耳に心地よい。

 反対側の隣を、新しくなったドレスよりも気になるものがあるのか、落ち着かない様子のラディアナが歩く。丘も空も鳥も意識に無いようだ。

「あ、あの、クリス。あたし、エレンからいろいろ聞いたんだけど。ほら、その、あれよ。あんたが戦う理由について」

「ん?」

 何を今更? といった顔でクリスがラディアナを見る。

 ラディアナはクリスから目を逸らしている。いや、逸らしつつちらちらとクリスを見ている。

「あ、あたしの、笑顔を護る為にっていうの。あれって、その……」

 エレンが言うには、クリスがラディアナちゃんのことを好きだから、だからクリスは命懸けで戦っているのよって。

 ラディアナはそう言おうとしたのだが。

「そうだよ」

「っ!」

「エレンや、みんなの笑顔の為に」

「っ⁉」

 クリスは足を止め、振り向いた。もうだいぶ小さくなったが、タスートの街が眼下に見える。

 まだ焼け跡が痛々しいが、その中で人々が元気に、街の東から西へ北から南へ、忙しそうに活動している。失ったものは大きい、だからこそ新たに歩き出さねばならない、という熱気がここまで伝わってくるようだ。

 その活気の一因に、英雄ジークロットの伝説がある。クリスも今はそれを、実感し受け止めていた。

「僕らは、みんなの為に戦わなければならないんだ。それが僕らの使命。だよね、パルフェ」

「毎度のことながら、ワタシはアナタに、そーやって発奮してもらいたくて言っただけよ」

「うん。充分だよ。実際、僕は救われたんだから。そしてそのおかげで、これからの旅の中で、もっと多くの人を救っていけそうな気がする」

「あっそ。ワタシとしては、アナタが頑張って戦ってくれさえすれば、それで満足よ」

「というわけだからラディアナ。君と、全ての人たち、そして全てのドラゴンたちの笑顔の為……」

 クリスの視界が回転した、と思ったら、ずどん! といい音がしてクリスは地面にめり込んだ。ラディアナがクリスを頭上に担ぎ上げて、地面に叩き付けて埋め込んだのだ。

「もう知らないっ!」

 ラディアナは一人で、ずんずん歩いていく。

 クリスは慌てて土中から我が身を起こし、

「ラ、ラディアナ? ちょっと待って、僕何か悪いこと言った? これからも三人で……」

「ぅるさいっ!」

「待ってってば! また何か失言があったんなら謝るから、話し合おうラディアナっ!」

 ラディアナが行く、クリスが追う。

「あらら。三人の心が一つになっての必殺技、使えなくなっちゃったかな? ったく、また何とかして丸め込まないと。ほんと世話焼けるわね、人間もドラゴンも」

 パルフェが呆れて、二人の後に続く。

 

 魔王の呪いを受けて育った、魔王の生まれ変わりである少年と、英雄の従者の子孫であるドラゴンと、魔王の最後の最高傑作である魔剣。

 三人の旅は、まだまだこれから、始まったばかりなのである。


ここまでお読み下さり、ありがとうございました。


作者自身の深層心理が滲み出ているのか、

それとも理想が反映されているのか。


私にとって描くのが楽という点では、

クリスのような男性キャラ・パルフェのような女性キャラが

それぞれ一番で双璧です。あと描いてて気持ちいいのは、

「このアマ」のエイユンのような性格・言葉遣いの女性キャラ。


この三種とも、私が受け手としてラノベなりアニメなりを見る時には、

特に好きなタイプってわけではないんですけどね。他人のキャラと

自分のキャラでは、見る目が違うということか。


多分、創作をされる方であれば、多かれ少なかれそういう

体験・実感はあるのでは、と思います。


また、ちょっと違う話ですが他人の作品を見て

「こういうキャラはいい! 大好き! よーし自分も!」

と思ってそのキャラと似たタイプのキャラを描こう、

頑張って似せよう寄せようとしても、どうにも上手くいかなかったり。


ま、なかなか近づけないからこその「憧れ」かもしれませんけどね。


そんなところで。

また、次の作品でもお付き合い頂ければ光栄です。

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