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第7話 鳴沢澪の秘密①

 鳴沢とクラスが一緒になってから数日が経ったが、やはり誰とも話しているのを見掛けない。

 俺は陰キャを装ってるから誰にも声を掛けられないのは解るが、鳴沢の様な美少女に何故クラスメイトは誰一人として話し掛けないのか…

 あの複数の噂は俺が知らないだけで、かなり出回っているのか?

 話し掛けるな、と言った鳴沢の事もあり、日が経つに連れ気になって来てしまった…。

 


 俺が休み時間のトイレ帰りに廊下を歩いていたら、少し離れた場所で同じく廊下を歩いていた鳴沢に声を掛ける人物がいる事に気付いた。


 その人物は鳴沢より少し小柄で茶髪ショートの一見活発そうな可愛い女の子だが、今は気分が沈んでいる様に見える。

 俺は少し遠くから2人の会話に聞き耳を立てた。


「鳴沢さん、最近どう?

 まだ監視は続いてるの…?」


「平川さんは気にしなくていい、貴女が悪いんじゃ無いのだから…

 それよりあの人達、ちゃんと約束守ってる?

 何かされてない?大丈夫?」


「うん、今のところ大丈夫…。 

 本当にごめんなさい…

 ボクのせいで鳴沢さんが…」


「ほら、また私に声を掛けてるのをあの人達に見られると平川さんもマズいでしょ?じゃあね。」


 鳴沢は急に会話を打ち切り、平川と呼んだ女の子から離れると自分の教室に戻って行く。

 それを見送った平川と呼ばれた女の子は、俯きながらトボトボと歩き出した。


 鳴沢には悪いが、テレパスで彼女の思考を一瞬だけ読み取る。

 ふむ…小柄な女の子は2年D組の平川七瀬さんというのか…

 1年生の時に一緒のクラスだった様だな。


 …ちょっと直接過去を見て来るか…

 俺は自分の教室の席に座ると目を瞑り意識を集中させ、平川と鳴沢の過去に何があったか知るため、ポストコグニション(過去知、予知とは逆に過去を見る事が出来る超能力)のチカラを使った。

 



 ここは体育館裏か…周囲は塀で囲まれていて、体育館を使用する運動部が軽く休める様になっているのか安っぽいベンチが2つ程設置されている。

 そんな外界から隔離された様な場所で、ジャージを着た4、5人の女子が平川を取り囲み、順番に殴る蹴るの暴行を続けている。

 その暴行に耐え切れず地べたに膝を付き俯いた平川の髪を掴み、顔を引き上げさせた茶髪セミロングの陰険そうな顔つきの女が口を開いた。


「なぁ平川…お前顔が可愛いからって調子に乗って男子に媚び売ってんじゃねーよ…

 お前のせいで、ここにいるアタシのダチが狙ってる男共がお前に夢中なんだとよ。

 どうしてくれるんだテメェ…

 ここには防犯カメラも無いし、自習中の体育の時間だ、誰もこんな体育館裏に助けになんか来やしない…

 この時間はお前を徹底的に躾けてやるよ…

 安心しな、顔はバレない様に傷付けないからさぁ…んんっ?」


「…堀さん…ボクはそんな積りじゃ…」


「口答えするんじゃねーよ!」 


 堀と呼ばれた女は掴んだ髪を更に引き上げ、苦痛に歪んだ平川の顔をニヤけながら覗き込む。

 そこで突然体育館裏に面した扉が開き、ジャージ姿の鳴沢が現れた。

 他の生徒は自習だからか既に教室に戻った様で体育館内に人影は無い。


「貴女達、今の聞いたわよ…急にゾロゾロ居なくなったと思ったら、そんな下らない事でってたかって平川さんをイジメて…その手を離しなさい!」


「テメェ…そんな事だと…?

 お前みたいな顔が整った奴には解らないだろうなぁ、アタシ等の気持ちはよぉ…。

 お前もついでに一緒にヤッちまうか!?」


「やれるものならやってみなさいよ!」


 堀が鳴沢の右頬をひっぱたくと、鳴沢も負けじと堀の右頬を力一杯ひっぱたき返した。

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