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第4話 放課後②

 仔猫が


『アニチぃ、ウミャいっす!』


とミルクをひたすら飲んでいるところを見ながら、コイツをどうするか…としゃがんで考えていた。

 もし飼うとしたら俺は独り暮らしで面倒を見るのは大変だし、俺の不幸体質がコイツに迷惑を掛けるのも申し訳無いし、

最悪コイツはそれで命を奪われてしまうかもしれない。

 ならば警察に通報するか…

 そうすると最終的には保健所行きも有り得る…

 そう考えていたら付近に気配を感じたのでそちらの方を振り向くと、鳴沢澪がコチラの様子を窺っていた。


 あー、そういえば朝、仔猫にまた会おうねとか言ってたな…

 鳴沢はコイツをどうするつもりなんだろう…

 取り敢えず一旦立ち去ったフリをして隠れて様子を見るか…

 そう思って立ち上がったところ、向こうからコチラに近寄って来た。


「その子…私が先約なの。

 悪いけど私が引き取るわ。

 貴方がミルク用意してくれたの?

 ありがとう…。」 


 そう言って微笑んだ彼女は綺麗だった。

 やはり、いい子だな…

 あの教室の中に居る時とは全く違う態度だが、どちらが本当の彼女なのだろうか…。

 俺のチカラ、テレパスで彼女の思考を読み取る事も出来るのだが、そんな無粋な真似はしたく無かった。

 だって、どう見ても陰キャな俺に、彼女は微笑みをくれたんだから…。


「じゃ…よろしく。」


と俺は猫用ミルクを鳴沢に手渡し、自宅へと帰った。


 

 翌日、俺はいつもの登校時間にいつも通る是政橋を渡っていたら、土手沿いの草むらの付近に俺と同じ高校のブレザーの制服を着て、艶めく長い黒髪を靡かせながら綺麗な顔立ちの美少女が眉間にシワを寄せながらしゃがみ込んでおり、そこに置いてあるダンボールから顔を覗かせているキジトラの仔猫が必死に何かを訴える様に美少女に鳴き叫んでいる。

 あれ…デジャヴ…。


 俺は何事も無かった様に鳴沢の横をシレッと通り過ぎようとしたが、流石に昨日の様にはいかず、呼び止められた。


「あっ、あの…おはよう…。」


「あぁ、おはよう。

 どうしたんだ、昨日は猫を連れて帰ったんじゃなかったのか?」 


「うん…1度は家に連れて帰ったんだけれど、家族に飼っちゃダメだって言われて困ってるの…。

 あの…昨日の今日でこんな事言うのは気まずいのだけれど…

 貴方のお家は猫を飼ったりは出来ないかしら…?」


「あぁ、うん…そうだな、俺は独り暮らしだから、ちょっと厳しいかな…。」


「あっ…そうなのね…

 実は貴方ならこの子を飼ってくれるんじゃないかと思って、ここで待ってたの…。

 ゴメンなさいね、無理を言って。

 この子…どうしよう…。」


 俺は滝沢には内緒で、本人ならぬ本猫に今後どうしたいか直接聞いてみようと試みた。

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