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そして、アドレーヌは眠る。  作者: 緋島礼桜
第二篇   乙女には成れない野の花
176/361

跋文

   






こうして、エミレス・ノト・リンクスはその名を捨て、以降は“エミル”と名乗るようになりました。

エミルと名乗った彼女はその後、王国各地を巡り数多の活躍を残します。

不器用ながらも実直な懸命さと慈愛は人々を導き、時折使用したエナによる活躍は人々から奇跡として崇められました。

けれど、彼女は最期の最期まで自身の活躍で表舞台に出ようとはしませんでした。

名乗ることもせず、すぐに人々の前から逃げるように去ってしまったほどでした。

そのためエミレス・ノト・リンクスの名も、エミルの名も歴史に残ることはありませんでした。




彼女の逝去後、しばらくして彼女を慕う人々が『花色の教団』という教団を作りました。

『花色の教団』とは、彼女の教えを後世にも伝えていくために作られたもので、エナの素晴らしさや慈愛と感情の大切さを伝える教団でした。

ちなみに“花色の”とは、名乗ることのなかった彼女に人々が“花色の君”と勝手に付けた呼び名でした。

『花色の教団』はエナの教えとそれを扱えたと云うアドレーヌ女王と結びつき、後にアドレーヌを女神とするものへと変わっていき、そのためかいつしか王国の教えとなっていきました。




その後、彼女らがどうなったのか。

歴史書に載っている王国についてと、歴史書には載っていない彼女のその後を、少しだけ教えます。









アドレーヌ暦0283年――

 ネフ族の暴動により王城が襲撃される。建国以降初めての大事件は人々を震かんさせた。

 しかしスティンバル国王自らが指揮を取り反撃。

 首謀者を含めたネフ族たちは3日のうちに全員捕えられ、流刑となった。

 この大事件は『白装束の卒爾(そつじ)』と呼ばれるようになる。


 同年、『エナ』エネルギーの禁止令を排除。

 これにより研究者や学者たちは『エナ』研究を再開する。



アドレーヌ暦0284年**

 エミレス・ノト・リンクスがその名と王族を離脱。

 エミルと名を改め、ラライと共に王国各地を巡る旅に出る。



アドレーヌ暦0307年――

 名もなき聖人の活躍が王国各地で広まり始める。

 様々な憶測や噂が飛び交い、感謝され、慕われるようになる。

 特に花を愛していたことから、人々はその聖人を『花色の君』と密かに呼ぶ。



アドレーヌ暦0319年――

 アドレーヌ国第13代国王スティンバル・タト・リンクスが王位を退任。

 彼の長子ムルバ・ニィ・リンクスが王位を継承。



アドレーヌ暦0334年――

 『花色の君』の逝去の噂を聞いた支持者や旅の同行者によって『花色の教団』が設立される。

 人々への慈愛とエナの教訓を説いた彼女の教えは後世まで語り継がれ、国教となる。








   

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