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腕相撲対決

はい~やっと100ポイントw

打ち切りに向かって一直線ですえ。

「おい、俺様に勝てるとか面白いこと言ってくれるじゃねえか」


 羅漢はそう3人に声をかけた。ゆっくりとウサギの着ぐるみがこっちを向く。


(な、なんだ……これは……)


 羅漢はすさまじいプレッシャーを受けて体が固まっていくのを止められない。

手も足もピクリとも動かない。

 汗が噴き出るのも止められない。


(お、俺が……ビビっているだと……ありえない!)


 ウサギの着ぐるみを着た奴は男なのか女なのかすら分からない。小柄な姿でふざけた着ぐるみ姿。

 今、この町は全体がお祭り騒ぎでこのような着ぐるみを着た奴もいないことはないが、この酒場では明らかに浮いていた。

 ひよこの着ぐるみを着た奴はもっと小柄で、先ほどの声を出したのもこのひよこの方。声からすると女である。しかも幼い子供。


「お。おい、こっちへ来い。俺と勝負しよう」


 そう羅漢はウサギの着ぐるみを誘った。ひよこ幼女は「ユート」と呼んでいた。

 とするとこのウサギは男だろう。

 ユートは珍しい名前だが響きからは男の名であると思った。


「おいおい、そんな着ぐるみ着た奴と腕相撲したって結果は決まっているだろう」

「ウサギの方も困るだろう。先ほどの大男でも軽くのされたんだからな」


 周りの客たちもそう思う。

 ウサギの着ぐるみを着た奴がどんな人間か知らないが、体格からして勝てる要素はゼロである。


「いいですよ……。せっかく、お誘いしていただいているのに受けないのは失礼にあたります。

いつもアリナ様がそうおっしゃっていました」


 最後のアリナのくだりは、羅漢には聞こえなかったが、ユートという名のウサギ着ぐるみが腕ずもう勝負を受けたことは分かった。


(このプレッシャーの正体をつかんでやるぜ……しょせんは人間。プレッシャーは何かの間違いだ……)


 羅漢はにやりと笑い、空き樽に肘を着いた。


「おい、あのおっさん、只者じゃないぞ……」


 魔法具によって相手の強さを測ることができるルーシーは、禿げ頭の筋肉親父が只者ではないことを知っている。


羅漢 ランクSS 職業? 年齢? 攻撃力SS 防御力S 体力SS 俊敏力S 魔法力B 器用さS 耐性力SS 知力A 運B カリスマS

職業や年齢は鑑定できてないが、攻撃力のランクは人間やモンスターをはるかに超えるSSである。

 それは普通の人間ではないことを示していた。


「勇者でもランクはSだぞ。SSとかないだろう」

「ああ、おそらく、あいつは人じゃないですわね。魔族の臭いがします」


 そうルーシーに小声で話したのはクラウディア。

 ひよこの着ぐるみの中身である。猫の着ぐるみはルーシー。

 3人だけだとギルドの酒場には入れない。

 そこで着ぐるみを着ることで年齢をごまかしたのだ。

 情報は酒場で聞くものだとクラウディアが言ったので、ユートが右手の金の腕輪の魔力を開放し、変化の魔法でウサギ着ぐるみ姿になって潜入したのだ。

 クラウディアのひよことルーシーの猫の装備も、クラウディアの赤い魔法のポシェットから取り出した。もう300年生きた大魔導士は何でもありだ。


「魔族だって……ヤバいじゃん」


 ルーシーはそう言ったが、本当にヤバいとは思えない自分に気が付いた。

 本当にヤバいのは自分の連れ2人である。

 特にヤバい奴が今から腕相撲をする。


「それじゃ、勝負」


 審判役の男ががっしりと握られた羅漢とユートの拳を抑える。そして手を離した。

 その瞬間。

 見ていた者は目が点になった。


 どう見ても一方的な勝負。見るに耐えない凡戦。

 その光景が一変した。


 ねじ伏せたはウサギの方。羅漢は腕を倒されただけではない。

 ぐるりと体も右回転して地面にたたきつけられた。


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