魔神崇拝者退治
悪魔崇拝者の本部に殴り込んだアリナたちは、当然のことながらこれを撃破。幹部クラスを捕縛すると冒険者ギルドへと帰還した。
「さすが、勇者様とそのご一行。あやつらは魔法を使いますし、召喚獣まで呼びますから、侮れないのですが、勇者様の敵ではありませんでした」
そうギルド長はアリナを誉め称える。
ギルド長が言ったように、炎の聖霊サラマンダーを召喚して抵抗したが、賢者ユグノーが対抗して水の聖霊ウンディーネを召喚しこれに対抗した。
あとは剣士ダンテの破壊力とアリナの攻撃力で圧倒し、大神官サラディンの回復魔法で攻撃力を持続させた。
200人あまりもいた魔神崇拝者たちもひとたまりもなかった。
「組織は壊滅したようですが、肝心の魔法の布はありませでしたね」
アリナは少々残念そうに答えた。
いくら本部を壊滅させたところで、魔神の復活が阻止できなければ意味がない。
「今、捕えた者たちから聞いています。間もなく、情報が得られると思いますが」
ギルド長はそう言ってしばらく待ってくれるようアリナたちに懇願した。
魔神の復活はあと2日後に迫っている。早く『聖体の白絹』を見つけないと大変なことになる。
1時間後。捕まえた悪魔崇拝者たちから白状させたのだが、みんな答えは同じであった。
「聖体の白絹は確かに奪ったが、途中で町の盗賊に盗まれてしまったということだそうです」
「けっ……間抜けだな、悪魔崇拝者。盗んだ品物を盗まれるとはお笑いじゃないか」
ダンテはそう魔神崇拝者を罵倒する。
ユグノーとサラディンは腕を組んで難しい顔をした。
「盗んだ盗賊の行方は分かっているのですか?」
アリナはそう聞いてみた。
この広い町の中で盗まれた品物を見つけることは難しい。
「奴らも調べていたようで、ある程度、盗んだ盗賊を見つけていたそうです。しかし、実際にその盗賊の後を付けていたものたちが、「精神破壊」の魔法を受けて戻ってきたそうです」
「精神破壊?」
アリナは聞き返した。
その情報が本当ならば、その盗賊は魔法も使えることになる。
しかも、『精神破壊』は、かなり高レベルな魔法である。
「その盗賊を捕まえに行った2人の男は、精神年齢が5歳くらいまでになって帰ってきたそうです。彼らは骸骨騎士とポイズントードの召喚魔石を持っていたそうですが、それもなかったとのこと……」
「うむ……奪われたか、それとも召喚したが退治されたか……」
賢者ユグノーはギルド長から聞いた情報から、盗賊がかなり手ごわい相手であると推測したようであった。
その盗賊をつけていた2人の男は、手柄を独占したいがために秘密にしていたので、悪魔崇拝者の幹部ですら盗賊の素性を知らされていなかった。
「いずれにしても、その盗賊を明日中に見つけないと、魔神が復活してしまう。ギルドの情報網を駆使して、何とか盗賊の行方を捜します」
「それなら私たちは魔神を封印しているという神殿に行くわ。万が一、魔神が復活していたら危険だもの……」
ギルド長は盗賊探し。そしてアリナたちは魔神を監視するために神殿へと向かうことにした。
「あ、そう言えばユートはまだ帰っていないようね」
出発間際にそうアリナはきょろきょろと周りを見渡した。
買い物に行くと言ってから姿を表していない。
「もし、魔神が復活したら非常に危険だ。ユートにはこのホテルから出ないようにホテルの従業員に伝えておこう」
そう賢者ユグノーは答えた。
魔神との戦いはかなりの激戦が予想されていた。
勇者一行は戦いの前に気持ちを引き締めたのであった。




