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君と私の社会的距離

作者: 曽我二十六

今朝、信号待ちをしていると、

再び例の人と会った。

およそ1年ぶりだ。

1年前、こう言ったのを思い出す。

「来年のイベントは案内するから見に来て」と。

しかし実際はどうだろうか。

この1年で世界は分断され、

当然の事ながら

私と君との間も引き裂かれた。

ずっとずっと会えなかった。

だからこそ、今日奇跡的に会えた事に対し、

嬉し涙すら禁じ得ない。


でも、また訊けなかった。

「好きな人は居るのか」と。

ただその一言が重い。重すぎる。

この一言で

関係が崩れてしまうかもしれない。

しかしもう二度と会えぬかもしれない。

この前だって1年も会えなかったんだ。

次はもう無いかもしれない。


だから私はこう言って去った。

「結局、今日のイベントは無観客になったんよね」と。

生まれてこの方一度も

約束を違えた事の無かった私の、

最初で最後の契約違反。

その贖罪だけに留めておきたかった。


いつ会えるとも知らぬ、

二度と会える保証の無い別れを

何度繰り返しても、

重い一言は出てこない。

こうしてまた1日が去っていく。

いつかまた、会える日が来るまで。


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