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6.図書館にストーカーがいるぞ!!

 定食屋の一件後、グウィンはたびたびミアにくっついて帰宅するようになった。


教師としての仕事をほっぽり出してるのか、それとも迅速で終わらせているのか。明日の朝にでもやっつけ仕事で終わらせているのか。


 それは定かではないが、今までと比べ生き生きとした表情なのは確かだ。


それをミア曰く────


「うん。若返ってるねアレは。」


 癖なのかなんなのか分からないが、ピッと筆先を親友であるアリア・リッセンに向ける。


「・・・それを言いたかっただけ?」


「そうよ。だって侯爵についてアリアが変わりは無いのか聞いてきたから。もしかして侯爵様のこと気になるの?」


 そう聞くミアに対して、目を剥いて訂正させるアリア。


「なわけないでしょっ!?というよりミアいつの間に侯爵と仲良くなってるの?大丈夫!?」


「アリア、相変わらずの騒がしさなんだから。図書館では静かにしないと追い出されるよ。」


 ため息をついてアリアに注意するミア。

その手には専門書とペンが握られている。勉強しに来ているのだ。


「ごめんって。でも私が聞きたかったのは侯爵の近況じゃないんだよね。侯爵とあなたの近況を聞きたかったんだよね。」


白けた目でミアに言う。


ミアは一旦手を止めて、アリアに対して白けた目をし返す。


「何言ってるの。近況もなにも、〝侯爵が私の周りをウロチョロしてて可哀想だから構ってあげる〟くらいでしょ。」


「構ってあげるって・・・いや、間違えてはないかもだけど、それでミアはいいの?」


「ん?なにが?」


「女たらしの侯爵といたら、ミアにも嫌な噂が立つかもしれないじゃない。」


 そう言ったアリアの言葉に吹き出してしまうミア。


図書館の司書に睨みつけられて、慌てて口を抑える。


「いや、私なんて既に行き遅れ確定令嬢としての噂があって最悪じゃない。剣狂いとまで言われる始末だし。」


 アリアは当然、それもそうかと安心するわけがなかった。ムッとして表情で、ミアに言う。


「そんなの関係ないわよ。あなたの人柄についてある事ないこと貶められることだってあるかもしれないのよ?私は嫌。」


「アリア・・・」


 そんなふうに言ってくれる友人に、ミアは少しだけ(少しだけ)感動をして涙ぐむ。


わざとらしいが。


そんなミアの様子を見て、諦めたようにため息をつく。


「ミア、よく面倒臭い相手に絡まれるわよね」


「といっても侯爵様は悪意あって接してるわけではないし大丈夫。」


「どの目で見て言ってるの?」


この目、と言おうとしたけれどアリアの信じられないという表情を見てやめる。


(けど、乙女ゲーのグウィン侯爵と私の知るグウィン侯爵とでは本当に人が違うと思うけど。それに社交界の噂とも。)


 ぶっちゃけグウィン侯爵の様子を見ていると、どう考えても女性慣れしているようには見えない。


見栄を張って、女性を口説いてるとしか・・・


「グウィン侯爵は実際に女性に絡んだりしてるわ。けど、本人を見てると噂と違うのかヘタレだから手を出せてないでしょう?大丈夫よ。」


「物凄い言いようね・・・けどあなたに何かあったら私大暴れしちゃうわ。」


「それはやめてほしいなぁ・・・」


 なんて話をしていたら視線を感じたミアとアリア。


二人は揃って、くるりと振り返った。


「・・・」


「・・・グウィン侯爵?」


 本棚の陰から全く隠れられていないグウィンが覗いていた。


アリアは「うぇ」と言いたげな表情を隠しもせずに距離をとる。


「噂をすれば・・・なにをしているんですか?」


声をかけても頑なに出てこないグウィンを引きずり出すミア。


軽々と引きずり出されたグウィンは、呻き声をあげてミアを睨みつけた。


「奇遇だなっ!だがバッタリ偶然会った侯爵に対してこのような態度は如何なものかと思うが!?」


「どの口が言うんですか。バッタリ会った伯爵令嬢に対して口説いて路地に追い込んだ侯爵が言いますか?」


「うっ・・・」


 そんな会話を横から聞いていたアリアが、般若の形相で割り込んでくる。


「ちょっとミア!?それは私聞いてないんだけど!ぐ、グウィン侯爵なんてことをミアにしたんです!」


「大丈夫よアリア。弱かったし正当防衛で撃退したから。」


 アリアの背中を撫でて落ち着かせるミア。


「おい、それを本人の目の前で言うか」


アリアは許さぬとばかりにグウィンを睨みつけている。


(アリア、一応彼は侯爵なのよ・・・)


自分が言えることではないというのに、図々しくも思うミア。


「そういえば侯爵様、私になにかご用ですか?」


「ん?あ、ああ?いや、まあたまたま会ったし丁度言っておくか?」


ふっ・・・と髪をなびかせて上から目線のグウィン。


この言い知れぬ苛立ちは一体何なのだろうかと思いながら拳を握る。


「はあ・・・」


「今度のパーティ、参加すると聞いた。俺がエスコートしてやるよ。」


ドヤァァァァァッ・・・チラッ

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