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日を狩る者達  作者: 月の使徒
第一章 水の神
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悪魔との面会

 今ボクの前には悪魔がいる。神話に登場する悪魔が。人は理解できないものに出会うと停止するという話を聞いたことがあるが、まさか身をもって体験する日が来ようとは。ボクの体は悪魔を見たまま固まってしまった。


『おやおや、そんなに怯えるなんて酷いじゃないか。私は君達の命救ったんだよ?』


 うーん。本物の悪魔と出会って怯えない人間は少ないんじゃ無いかな。というか命を救った、とはどういうことだ。ボクは悪魔と契約なんかしたことないぞ。いつ悪魔に命を救われたというのだ。


『おやおや、いまいちピンときていないようだけど……。ふむ、では思い出すヒントをあげよう。君達はさっきまでどこにいたかな?』

「さっきまで、いた場所……」


 目が覚める前にいたのは、バスの中のはずだ。自然体験学習に向かうためにバスに乗って、雨の中の山道を通って、海道君の話に応えようとして……。そこで記憶がない。


『う〜ん。どうやら思い出せたようだねぇ。でもないがあったまでは思い出せない、というよりは覚えてないようだねぇ』


 目の前の悪魔はどこか楽しそうに笑いながら、されど妙に威圧感のある声で話しかけてくる。しかし出てくる言葉や話し方から、ボクに敵意が無いことはわかる。


「ボクに、何があったのでしょうか」


 敵意がないことがわかったのと、ある程度時間経ったこともあり、精神的に余裕ができたので、大森は今度は自ら悪魔に質問をした。


『うん?知りたいかい?』

「はい」

『では、教えてあげよう。君達はねぇ……。なんと!土砂崩れに巻き込まれて死、んでしまったのです!』


 な、なんだってー!今明かされる衝撃の真実。びっくりせずにはいられない。なんとボクは死んでしまったようです。はっはっは。いやはや、短い人生だった。


「って、ボク今生きてるじゃないですか」

『そりゃ〜私が生き返らせたからね?』


 この悪魔が言っていることは、果たして本当だろうか。もし仮にボクが本当に死んでいて、蘇ったとしても、ボクはそれを実感することが出来ない。死んでいる間の記憶なんてないからね。


 だから記憶のないことをいいことに、この悪魔は好き勝手言ってくれちゃっている可能性もある。それに悪魔である。人を救うような種族にはボクとても思えないのだが。


『あら〜。これは信じていないねぇ』

「まぁ、死んでいる間の記憶がないものですから」

『なるほど、確かに。では証人を呼ぼうとしよう!』

「証人?」

『あぁ、君のよく知っている人物でもある』


 ボクのよく知っている人物?悪魔の知り合いにボクの共通の知り合いなぞいるのだろうか。いやそもそも悪魔と知り合いの人間ってどうなのよ。


『なぁ海道新導君』

「なに!?」

「……よう」


 悪魔がボクに後ろを指差すので、振り向いてみるとそこには海道君がいた。悪魔の知り合いは海道君だったのか。は!まさかハーレムも悪魔の力を使って気付き上げていたのか。


「……まさか悪魔の知り合いだったとはね」

「いや、俺もついさっき会ったばかりだが」


 うん?おやおや。なんだか話が違うねぇ。そういえば証人とは言っていたけど、知り合いとは言っていなかったね。おおっとこれはボクのミスだねぇ。


『ふふ、海道君は君よりも先に目が覚めてね。君に話したのと同じような話をしたんだけどね、やっぱり信じてもらえなかったんだよ』


 そりゃ誰だって人が蘇るなんて信じられるわけないよな。だってあり得ないんだから、そんなこと。


「人を蘇らせるなんて、信じられないからな」

『でも、私は蘇らせたでしょう?』

「……あぁ、俺は確かに見たよ。大森が生き返るのを」

『実際に見たんだから、否定のしようがないよね〜。そして大森君。この海道君の発言が何よりの証拠となると思うんだけど、どうかな?』


 どうかなって言われてもね。でもまぁ、実際に見た人がいる以上、それが真実なんだろう。なんだか自分が死から蘇ったなんて、信じられないけど。


『……どうやら納得してくれたようだね!これでようやく本題に入れるよ〜』

「本題?」


 本題、とはどういう意味なのだろうか。悪魔が発した言葉にボクは疑問を抱きそれを口にした。すると悪魔は口角を上げて、ボクの疑問に答える言葉を口にした。


『そう本題。なぜ君達を蘇らせたのか、他の人たちはどうなったのか。そして』


『これから君達が、為さなければならないことについて』

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