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退屈なことは魔法にやらせよう  作者: 御神真夜留
一章:printf("Hello,world!!");
2/4

(0&&1)!

 ……しまった。寝……て……?

 知らない天井だ……。

 視界が狭い。


「あう、ぅあ」


 声がおかしい。発音がうまくいかない。

 俺は寮の椅子に座って寝ていたはず。

 けれど、明らかに体の感覚が違う。

 体全体が何かに支えられている。


 もしかして:病院


 いやいや、どうして寝ていたはずの俺が病院にいるんだ。同室が連れてきたとか? 倒れた訳でもないのに?

 それにしても、話せないのはおかしい。


 周りを見渡そうにも体がうまく動かず、まるで自分の体じゃないようだ。

 ……まるで自分の体じゃない……。

 俺に記憶が無いだけで大きな事故に遭ったとか? そのせいで記憶を失って、話せなくなったのか?

 とにもかくにも、今は人を呼ぶべきだろう。寮であれ、病院であれ。


「あーうッ! あーうッ!」


 やはり、どうやっても生まれたての赤ん坊のような発音しかできない。

 俺が声を上げてからしばらくして木の上を歩く足音が聞こえ、二十代くらいで金髪碧眼の女性が現れた。


「Woosis? Uisl」


 ……英語でしょうか。いいえ、分かりません。

 ()()()()俺は中学校の英語から壊滅的にダメだったのだから分かるわけがない。

 とはいえだ。こんなに短い文なのだ、英語が全て分からなくてもある程度は理解できるはず。

 つまり、これは英語ではない、他の言語。勿論日本語以外のだ。

 中国語? 確かに分からないが容姿を見た限り中国語を話しそうな感じはしない。

 フランス語? フランス語なんて知るはずもないし、容姿もぴったりだが、何故わざわざフランス語なのだろうか。

 エスペラント? 国際補助言語であるから何処の国でも話す可能性はあるが、やはりわざわざエスペラントなどで話すだろうか。


 ……やはり分からない。何を言われたのか分からない。


「Gi: Uisl-oa-hist-nthicis: Rsti oji?」


 やはり分からない言語を話しながら彼女は俺の衣服を……。


「あッ、あぅ、ぃあ」


 必死の抵抗むなしく。俺の着ていたズボンは彼女によって脱がされてしまった。……もうお嫁に行けない……。

 普通、小学校高学年を超えた男子の衣服を脱がす女性がいるだろうか。いや、いない。いてたまるか。セクハラやぞ。セクハラ。


「A-……: Oji-nthicis: Woos-tiska-yoikwis-xi」


 もう言語を理解することを諦めた俺に服を着させた彼女は、その細い腕で俺を持ち上げた。

 ……持ち上げた!?

 それなりに細身ではあるが、平均体重くらいはあるぞ。それを寝た状態から持ち上げるだと?

 無理にもほどがある。


 ……いや、ここで少しだけ考え方を変えよう。もしも俺が持ち上げられるほどの重さになっているのだとしたら? 例えば、……そう。


 ――幼児化。


 これなら発音も、体の不自由も、重さも道理に叶う。

 仮にそうだとして、何故俺は幼児化してしまったのか。

 まるで現実的ではない考えが俺の頭の中に浮かんだ。

 生まれ変わり。そう、有り体に言えば転生だ。

 言語的な問題を考えると元の世界に転生ではなく、別世界に転生の可能性が高いだろうか。ただ、これは俺が元の世界にある全ての言語を覚えている訳ではないので、確証は一切無い。

 でも、どうして転生などしてしまったのか。

 俺がよく読むラノベでは死んだ主人公が転生するのが大半だ。生きていたりするとそのまま転移というパターンが多い。

 と、なると……俺は死んだ?

 何で? レポートによる過労死? ……それだけは止めて欲しいんだが。

 何故レポートによって殺されなければならないんだ。確かにレポートは敵だし、殺傷能力あるし、人生左右するかもしれないし、死にたくなるけどただの紙じゃん。紙ごときに殺されるのはどう考えてもヘボい。

 では、他の理由があるはずだ。俺に記憶が無いだけで事故の可能性もある。

 ……なんだろう。

 ……なん……だろう……。


 体が小さくなったからか、考え事をしているからか、はたまた腕に抱かれて揺らされているからか分からないが、少しだけ眠くなってきた。

 もうなる様になれだ。

 明日のことは明日の俺に任せよう。

 お休み今日の俺。

 宜しく明日の俺。

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