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退屈なことは魔法にやらせよう  作者: 御神真夜留
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『死にたみが深い……』


 暗い部屋の中、机に倒れこんだ少年がポツリと呟いた。……言葉ではなく、SNSで。

現在時刻は彼にとって二十八時。一般人にとっては午前四時。あと二時間もすれば夜が明けるような時間帯だ。

 こんな時間まで彼が何をしているのかというと、レポートである。

 レポート――それは一部の人が聞くと恐怖を感じる魔の物。ミサイルと同じくらいに殺傷能力の高い兵器となる。

 それの表紙が彼の目の前には四つ。

 彼に出されるレポートは一週間に一つで、教員の求めているものが提出されなければ最大三回の再提出が課される。

 つまり、現在彼が持つレポートの量は一人で所持できる最大冊数なのだ。

 すでに再提出分の三冊は終わり、ステープラーによって閉じられている。

 しかし、問題は今週初提出のレポート。再提出分に時間を取られ、現在書き終わっているのは目的だけ。あと、理論、実験装置、実験方法、結果、検討課題、考察が残っている。

 提出締め切りまであと四時間半。死に物狂いで最大限に集中して終わるかどうか。

 彼の集中力はすでに尽き、右手の中指は赤く腫れている。


『ワイ、今回無事死亡』


 再び、生きている左手でSNSに呟く。

 辛うじて右手に握られていたシャープペンシルを机に転がした彼はSNSアプリを閉じ、ゲームアプリを開いた。

 通常の人ならこのまま寝ることを考える。だが、寝ることだけは決してやってはならない。もしも寝過ごしてしまった時、ここまで頑張った再提出分が提出できなくなり、最終のものは不受理。以降どれだけ頑張ろうと単位を取得することは叶わない。

 それだけは絶対に阻止しなければならないのだ。

 現在彼は三年生。ここまでどうにかフル単(全ての単位を取得)で進級してきた。もう間もなく、学校生活も折り返し。どうせなら三、四、五とフル単で卒業したいという気持ちが彼にはある。

 だからこそ、死にそうな目をしながらこの時間まで再提出分を頑張っていた。

 それを一時(ひととき)の幸せで無駄にするわけにはいかないのだ。


『十連爆死』


 SSRが出なかったゲームアプリを閉じて再びSNSに呟いた彼はスマホをスリープモードにし、自身は眠らないように目を開けたまま天井を見上げた。

 十分程度その体勢を続けていた彼の目が少しずつ細くなる。

 閉じては開け、閉じては開けを繰り返すこと数十回。とうとう彼の目蓋は眼球を覆った。

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