第三話 〈これが城〉
短いです
二人は城に到着した。
「うおおお!めちゃくちゃデカい城だな!漫画とかRPGゲームに出てきそうな感じだ!ただ、魔王陣営なだけあって黒くてダーティーな雰囲気を醸し出している!ファンタジー漫画ファンの俺にとってこんな代物を目の前に出来るなんて最高の気分だ!」
現代にいた時、拓人はバイトで貯めた金額全てを漫画につぎ込むほどのコアなファンだった。
「何を言っているかわからんが、乗り気になってもらえたなら私も助かる!国の再建よろしく頼むぞ!」
ザタナキアは目を輝かせながら言った。
「い、いや!俺はただ本物の城を見れて嬉しかっただけで、国の再建は元に戻るためにやってるだけだからな!勘違いするんじゃねーぞ!」
顔を赤くしながら必死に拓人はそう言った。
「勿論、承知の上だ。それじゃあ中に入れ」
(んー漫画だったらこうい場合はまず、可愛い召使い!とかこの国のお姫様!とかそういうヒロインが現れるような展開だろ、いやーどんなかわいい女の子がこの扉の先に居るんだ!
と、自らわざと不細工が登場するフラグを建てていくことによって、その逆の現象が起きるという俺の中の理論!俺はこれを"逆フラグ"と呼んでいる!これが意外とあたる!)
そして拓人は城の扉を開けた。
すると拓人の目の前に現れたのは.....可愛くてスタイルの良い女性などではなく、メイド服を着た、身長が2.5メートル以上横幅が1.3メートルほどある太った金髪の女性だった。
(思ってた女の子と全然違うんだけどおおおおお!なんだよこいつ!RPGのボスぐらいの大きさはあるぞ!何がメイドだ!てか完全にミルド○ースだよ!最終形態だよ!)
「さあさあ、ご主人様のお帰りだぜー」
「いらっしゃいませ。どうなさいました?」
すると見た目に合わない綺麗な声で、金髪の召使いがザタナキアの姿をした拓人に聞く。拓人は今、この女性の質問に対して違和感を持った。
(いらっしゃいませ?.....!!)
そう、彼女は、彼女の目の前に現れたザタナキアの中身が本人では無いということに気づいていたのだ。
「わかってたのかーなら話は早...」
拓人がこれまでの出来事を彼女に説明しようと口を開いた瞬間、彼女は懐から、現代で言う拳銃のようなものを取り出し、銃口を拓人に突きつけ、鬼の形相で叫んだ。
「ご主人様に!ザタナキア様に何をした!」
彼女は今にも引き金を引いてしまいそうな力で銃を握りしめている、その目はまるで猛獣のようだ。すぐに危険を察知して猫の姿になったザタナキアが拓人の懐から飛び出した。
「ちょっと待ったあああ!」
猫の姿をしたザタナキアが彼女の目の前に現れた途端、猛獣のようだった目が、会ったばかりの状態にもどった。
「ご主人様!その姿はどうなされたんですか!?」
「あ、ああ。色々とトラブルがあってな」
「やっぱりこの男に何かされたんですね!よくも!ご主人様を!許さない!死なない程度に殺してやる!」
「あ、ちょ、ちょ!違う違う!」
拓人が誤解を晴らそうとするが、もう遅かった。彼女はその巨体をうまく使い、大きく振りかぶって拓人を殴り飛ばした。拓人はその場で気絶した。
「やってしまったか...」
ザタナキアは呆れたようにそう言った。
次も遅れます