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第2話 始めてのオルガノイド

俺は景品を受け取り残りの福引もせずに急いで家に帰った。

そして自分の部屋まで走りすぐさま受け取った商品を開封する。

大きな箱に入っているのは黄色と茶色との中間の色をし、金属特有な光の反射をするその物体。

4つの足があり、特徴的な大きな尻尾、そして顔にある立派に立つ耳。


「これは間違いない!アニマルタイプのオルガノイドだ!」


バイトして買おうとしていたので欲しいオルガノイドもいたのだが今はそんなことは関係ない。

目的の物でなくても実物がもらえたのならそんな考えは吹っ飛んでしまう。

これは俺のオルガノイドなんだ。

そう思うだけで感動を抑え切れない。

俺はオルガノイドの戦いに興味があったので最近主流になってきたヒューマンタイプが欲しかった。

ヒューマンタイプは両手が使える分武装を幅広く使うことができるので様々な戦い方ができる。

その点アニマルタイプなどの手がないタイプは武装のバリエーションが少ない。

武装を付け替えるとしても体に銃などの武装を付け足すくらいだ。

しかし、そんなアニマルタイプでもヒューマンタイプより有利な点がある。

それは圧倒的な機動性だ。

地上での機動力旋廻能力だけなら圧倒的に有利なのだ。

だから戦闘能力でヒューマンタイプとアニマルタイプは有利不利はない。

どちらがいいのかは好みの問題だ。

最初にヒューマンタイプが欲しいと言ったがそこまで思いいれがあったわけではない。

大きな尻尾に立派に立っている耳。

これはアニマルタイプでも人気のフォックスタイプだ。

アニマルタイプならウルフ、ドック、フォックスのどれかがいいと思っていたのでそれがまた嬉しかった。

このメーカーはもうアニマルタイプから足を洗ってヒューマンタイプに力を入れているため少し型が古いが関係ない。

さっそく、パーツを組み立てに入る。

オルガノイドはまずメインとなる骨組みがあり、その上を囲むようにパーツをつけていく。

その骨組みが合えば色々と武装を付け替えることが可能だ。

オルガノイドの大きさは大体人より少し大きい物から中型犬くらいまでが多い。

このオルガノイドの大きさは大体大型犬と中型犬の間って所だな。

そして俺は指示書どおりにパーツをつけていき、PCとオルガノイドをコードで繋げる。

そして付属のソフトウェアをPCに入れオルガノイドにインストールしていく。

オルガノイドの人格などはこのインストールするまで決まっていない。

時間や場所などに関係していると言われている未だに解明されていないため基本ランダムだ。

ヒューマノイドタイプに関しては流石に女性型、男性型があるのでそこの性別だけはしっかりと決まっている。

そして俺はPCに表示されるインストールバーが進んでいくのに平行して緊張と興奮が増加していく。

どんなタイプになるか、どうせならかっこいい性格だといいな。

俺がちょっと落ち込んでたら明るく元気付けたりする兄貴タイプってやつとか。

ついにインストールバーが残り90%を超える。

あと少し!あと少しだ!

インストールバーが進むにつれて俺のテンションも鰻上りだ。

最早このインストールバーが俺のテンションゲージなのではないかと思ってしまう。そしてインストールバーが一杯になりウェアのインストールが完了の機械音が流れ、恐る恐るオルガノイドの前に座りながら覗きこむと微かに起動音が鳴り響く。

そしてついに魂が吹き込まれたように目に力が宿り、オルガノイドがゆっくりと立ち上がる様を言葉を呑んでジッと見つめた。

目が合う。

何を話したらいいのかわからず困惑しているとオルガノイドが口を開いた。


「あなたが私のご主人様ですか?」

「え、あ。そうだよ」

「そうですか。これからよろしくね!じゃああなたの名前を教えてもらえる?」

「俺の名前は白石。白石正示」


困惑しながら答える。

オルガノイドのフォックスタイプは狐らしくどちらかと言えばかっこいいタイプだ。

狐の尖った顔をいい感じにメカ化されていているので今まで男の性格がインストールされるものだと思っていた。

それがどうだろう。

このオルガノイドは明るく程よく高く通る声ではっきりと話している。

そしてこの話し方。

まさしく女の子だった。


「セイジって言うのね。うん、改めてよろしくセイジ!それじゃあ私に名前

をつけてくれる?」


その発想が今までなかったため、思考が追いつかない。


「うん?ちょっと聞いてるセイジ。なに固まってるの」


そしてこのオルガノイドは俺の前まで歩き頭を叩いてくる。

その手は機械にしてはずいぶんとやわらかくどうやら肉球が付いているようだ。


「大丈夫だって聞いてるよだから叩くのを止めてくれ」

「本当に聞いてた?じゃあ私が今言ったことわかるよね」

「え、よろしくって奴か?」

「やっぱり聞いてないー。私の名前をつけてって言ったの」


オルガノイドは膨れながら呆れたといった表情を浮かべる。

メカなのに表情豊かだな。

名前か・・・

全然考えていなかった。

そしてこのオルガノイドの性格は女のだ。

女の子にふさわしい名前となるとどんなものがあるか。

そういえばこの前何かで人間に化けた狐がいたな。

何ていったっけ。

そう確か名前は。


「葛の葉」

「くずのは?」


いやそのままはダメだ。


「クズハ。うん、お前の名前はクズハだ」


オルガノイドはクズハ、クズハと呪文のようにつぶやいた後。


「うん。いい名前。伝説の狐から取ったのかな?」

「いやどこかで見た本に出てきた狐の名前がそうだったからなんだけどさ」

「なんにせよいい名前をありがとうね!変な名前だったらお仕置きしていたところだよ」

「オルガノイドは人間に危害を与えることはできないんじゃないのか?」

「そうなんだけど怪我をさせない程度ならスキンシップはできるわ。だから

あなたが観念するまで嘗め回すとか。あなたの携帯を隠すとか」


クズハは流し目で舌を出しながら言った。

いくらアニマルタイプとは言えそんな悪戯は勘弁して頂きたい。


「そうならなくて本当によかった」

「見た感じ第一印象は合格かな。とりあえず、セイジのことを色々教えてね」

「初っ端から言われて違和感なかったけど何でセイジって呼び捨てにしてるんだ?オルガノイドって普通持ち主のことをオーナーとかマスターとか呼ぶんじゃないのか?」

「えー、だってセイジって呼びやすいじゃない。それにマスターって感じでもないしセイジって」


こいつ言いたい放題いいやがって・・・。


「でも私はセイジのこと嫌いじゃないと思うよ。だからよろしくねセイジ」

「まぁ、そんなに拘るところでもないからいいけどさ」

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