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図書館ドラゴンは火を吹かない  作者: 東雲佑
■ 六章 司書王
98/141

◆1 それからどうなったの?



 読者よ、親愛なる読み手よ。

 ではでは、それからどうなったのかをお話し致しましょう。


 え? それからとは、いったいどこからだって?


 もちろん、あのお祭りの日です。あるいは史上初めてであろう(そして、間違いなく史上最大であった)魔法使いと魔法使いの対決が行われた、あの物語の日。

 ユカと左利き、好敵手同士が思う存分に決闘の火花を散らしたあの日の、その先!


 お祭りの日の出来事は、またたく間に世間に知らされます。

 あの場に居合わせた観衆たちの口と言葉を介して。口伝てされるたびに細部には多少の尾ひれを生やしながら、でも、本質的な部分はしっかりと歪められずに。


 この伝達の中で大きな役割を果たしたのは、ユカを大兄と呼びおおいに慕っていた、あの楽師と歌い手と物語師の三人でした。

 骨の魔法使いと山猫親子による人払いにもめげずに最後まで決闘の場に居残り、一部始終を眼に焼き付けた、例の芸人三人組。


 決闘のその後、当事者であるユカと左利きを含む関係者たちが和気藹々と過ごす様子までをばっちり目撃していた彼らは、揃いも揃って強烈な使命感に貫かれます。


 伝えなければ。世の人々に。なにが起こったのかを、なにが変わったのかを。


 三人は無言のままで顔を見合わせると、やっぱり無言のまま、うむ、と頷きました。



 かくして伝道師は誕生したのです。



 それからの彼らは三者三様の芸の(わざ)(すなわち、物語と、歌と、吟遊)で、自分たちの眼前で繰り広げられた顛末のすべてを、語って、歌って、弾き語りました。

 するとどうでしょう。三人の芸は一様に大変な、大変な人気を博します。


 まずはなにしろ題材の素晴らしさです。

 みんなが知りたくて知りたくて仕方のない大事件の、現場からの臨場感溢れる報告です。これがどうして人々の興味関心を引かぬでおりましょうか。


 そして第二には、あの日に目の当たりにした神話の情景が、この三人に大いなる刺激を与えていたということ。

 ユカと左利きの決闘の、その凄まじいまでの迫力。それは目撃者たる芸人たちの心を強烈に刺激して、頭脳を刺衝(ししよう)して、そうして、なんと! 呼び水となって彼らに眠っていた才能をたたき起こしたのです(開花するきっかけに恵まれなかっただけで、もともと三人とも大いなる素質の持ち主だったのでしょう)。


 以降、三人はそれぞれその道の大家として世に名を成し名を残していくこととなります。

 ですがどんなにちやほやと誉めそやされようとも、三人とも『大兄』なる人物への崇拝の心は、年老いて死ぬまで失わなかったそうです。


 ともかく、このようにして『物語の日』のあらましは世に伝わります。

 なにかが変わっていくのだという予感を携えて。

 そしてその予感は、裏切られません。ここを起点にして、世の中は人々の予感した以上に大きく、大きく変わっていくのです。


 ですが、それはひとまず置いておいて。

 ここからは、親愛なる我々の登場人物たちのその後に目を向けてみましょう。


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