登場人物紹介
ユカ
天才的な物語師にして魔法使い。
語り部を生業とする彼の魔法はそのものずばり物語。風を語れば疾風が巻き起こり、不眠症の王様の物語は聴衆を眠りに引きずり込み、霧夜の情景描写は真っ白な霧を呼び出します。呪文の詠唱は、もちろん物語の朗読です。
楽天的で他人にも自分にも甘く、滅多なことでは人を嫌わない男の子。
リエッキ
ユカの親友で、彼の魔法により人の姿になったドラゴン。
魔法使いの魔法はそれぞれが使い手の性格を表す品物の形を取り、ユカの場合のそれは魔法の本でした。旅先でぽんぽん魔法の本を生み出すユカの為に、リエッキは本棚を背負うことに決めました。リエッキが背負ってくれているから、ユカはいつでも好きな時に好きな魔法を使うことが出来るのです。
意地っ張りではにかみ屋、でもすぐに顔や尻尾に本心が出る、素直すぎるほどひねくれた女の子。
左利き
ユカのライバル。呪使い。
呪使いであることに誇りを抱いており、他の呪使いたちのように魔法使いの魔法の力を羨んだりはしていません。堕落した呪使いの社会に革命をもたらすという信念の持ち主。
人に厳しく、しかし自分にはもっと厳しい。あらゆる意味でユカとは正反対の男。
骨の魔法使い
森に住む魔法使い。獣たちの主人。
捨て子だったユカを拾い育ててくれた優しい母。『骨』という言葉の持つイメージのせいで邪悪な魔女扱いされているものの、本当は慈悲深くそしてそれ以上に愛情深い、ユカにとって世界一の母親です。
踊り子
旅先でユカとリエッキが出会った踊り子で、魔法のことを何も知らないユカに色々とレクチャーしてくれた彼の師匠。
明るく朗らかにユカとリエッキにじゃれつき、いつでも力一杯の愛情で二人を照らしてくれて。
ユカとリエッキにとって、彼女はお姉さんのような存在です。
色の魔法使い
旅の膚絵師。
死産で生まれた双子の兄の幽霊と旅をしている青年。人の傷を癒やす魔法の使い手なのに、魔法使いというだけで迫害され故郷を追われた過去の持ち主です。
左利きの相棒
その名の通り、左利きと組んでユカを追う彼の相棒です。
神経質な者が大半の呪使いの中にあって、やたらと豪快で物事を深く考えない大雑把な性格の持ち主。
ユカとはまた違った意味で左利きとは正反対の彼ですが、だからこそ凸凹コンビとして上手くいっているようです。
牛頭
眉目秀麗にして貴族然とした気品を纏う美青年……ですが、その正体は牛頭の悪魔。
悪魔の癖に優しくて子供好き。そんな彼が孤独の中に生きるリエッキの元に『あるお願い』を携えてやってきた、そのことで彼女の暮らしは大きく変わってゆきます。
カルメ
ユカを喪ってから百年後、牛頭がリエッキの元に連れてきた赤ちゃん。
牛頭とカルメ、二人の家族との生活が、百年続いたリエッキの孤独を少しずつ癒やしはじめて……。