出会い
都立波橋中学に転校する事になった高橋優太、新しい学園生活に緊張していた優太だったが、そこにある出会いが・・・
俺の名前は高橋 優太
中肉中背の14歳髪型は短めの黒髪、母がイギリス人だということ以外これと言って特徴の無い中学生だ(母は金髪なのに髪が黒い)
今日は9月1日学生なら誰もが憂鬱になる日だ
。
それにもかかわらず、優太はこれ以上無いほどドキドキしていた、それは、優太が今日から東京都立波橋中学校に転入することになっているからだ。
「友達出来っかな~、緊張と不安しか心にねーよ」
新しい通学路を歩きながら優太はつぶやく。
(きれいな人と同じクラスになりたいな~)
なんていう希望に満ちた妄想を優太はしていた。しかし、学校についたとたん優太の思考は他の事に切り替わる。
「お~、ここか、結構デケェな」
実際この学校はそこそこ大きく、生徒も400人弱はいるらしかった。
田舎から出てきた優太にとっては全てが新鮮だったので、周りをキョロキョロと見渡しなから優太は歩いていた。外から見れば初めてディズニーランドにきた子供のようだ。
どんっ!という音がして、優太は何かにぶつかった、悪いのは100%キョロキョロしながら歩いていた優太なのだが。
「いったいわね、何なのよ!」
優太がぶつかったのは女の子だった、
「あっ、ああ、悪いな、立てるか?」
優太は少女に手を差し伸べた。
「いらないわよ!自分で立てるから」
少女は制服についた土をはたきながら自分で立ち上がった。
優太は親切のつもりだったのだが、何だか誤解されたようだ。
(かわいいな)
優太は改めてよく少女を見た、肩まで伸びた短めの茶色い髪、大きな目に整った顔立ちはまさに『かわいい』という表現が合っていた。そんな少女だった。
「何ぼーっとしてんのよあまり見ない顔ね、アンタいったい誰?」
「ああ、転校生なんだよ、俺」
「ふーん、まぁ、どうせ彼女もいないような草食男子でしょ?」
いきなり何を言い出すのだろうか、この少女は。
「うっさいな!いたわ!きちんと!かわいい彼女が!お前だってどうせ彼氏いねぇんだろ!」
『彼女がいた』というのはれっきとした嘘だ、ただ、一番気にしていた事を突っ込まれて優太はものすごく動揺していたため、その嘘はばれたようだった、しかし、その後のセリフが彼女を怒らせたようだった。
「うるさいわね!いないからなんなのよ!アンタが言ったのだって嘘でしょ!」
「ああ、嘘だよ!てか、結局お前も彼氏いねぇんじゃねぇか!俺と同じだろ!」
「ア、アンタなんかと一緒にすんじゃ無いわよ!これでも結構もててるんだから!」
「自分で言ってじゃねぇよ!大体どんなに顔がよくてもだな!そんな性格じゃあ男は絶対よって来ねぇ!」
「か、顔がいいって、うっさい!」
「ぐはっ」
優太の腹に硬い拳が入った。
そして彼女がどこかへ行ってしまったためこれで、第一ラウンドは終了した。
「くそっ、何だったんだ、あの野郎」
優太は痛む腹をさすりながら始業式に出るため体育館に向かった。
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始業式が終わって
橋本が俺を新しい教室に呼んで
適当に自己紹介して
新しい席に座って
そこから普通の学園生活が始まる
はずだった・・
今優太は訳あって朝の少女の隣に座っている。そしてこれまた訳あって、二人はさっきから一度も目を合わせていない。ほんの10分前のことだった。
「じゃあ高橋、入れ」
橋本が優太を教室に呼んだ。
「へ~い」
「ん?」
「!!」
まだ残暑も厳しい9月初旬、優太は身体中で寒気を感じた。
「何で同じクラス何だよ(なのよ)!!」
朝の・・少女だった・・
(超少女漫画的な展開だが全然嬉しくねぇ!何でよりによってこいつが同じクラスなんだ)
(ああ、もう、朝から何なのよ、こいつ)
こんな事優太は予想もしなかった、そしてそれは彼女も同じようで、二人ともその場に立ち尽くしたまま動かなかった。
「知り合いか、まぁいい、高橋、自己紹介しろ」
二人の間に何があったか知らない橋本は話を進めた。
その一言で優太は元に戻り、少女は席に座った。
「あ、えっと高橋優太です、よろしくお願いします。」
「「「パチパチ」」」
(質問とかねぇのかよ)
この日の為に優太は好きな食べ物から、好きな女の子のタイプまで答えを用意していたというのに、自己紹介はあまりにもあっさりと終わった。
「じゃあ、知り合いみたいだし、高橋は美浜の隣の席な」
「美浜?」
そう言って橋本はある席を指差した。
「!!」
その瞬間、優太は戦慄した。
なぜなら、
橋本の指がさしたのはあの少女の隣だったからだ。
「いや、あいつとは…」
優太は『知り合いでは無い』と言いたかったのだが、橋本が朝の連絡を始めたので言う事が出来なかった。
しぶしぶ優太はゆっくりと席に座る。
(本当、転校生って騒がれねぇんだな)
実際転校生なんて、女子でなければほとんど騒がれ無いのだろう、現実に打ちのめされた優太はビクビクしながら隣を見てみた。
「何よ」
明らかに彼女は不機嫌だった。優太は怒らせ無いようゆっくりと話しかける。
「えっと、お前の名前美浜、何?」
「美浜 夏帆」
「そうか、よろしくな美浜」
美浜がピクッと動いた。だが、優太には何故か分からなかった。
「いきなり名前呼ばないでよ!びっくりするじゃない!」
そう言う美浜の顔は赤く染まっている。
「いいじゃねぇか、名前ぐらい」
基本的に優太は鈍感なのだろう、というより『デリカシー』という物が無いのだ。
「大体、朝から何なのよ!ストーカーなの!変態!」
「ストーカーとは何だよ!ただ、偶然が重なっただけだろ!」
「うっさい!偶然だけで、何で隣の席までくんのよ!絶対何か仕組んでんでしょ!」
「仕組んでねぇ!俺だって(お前とは)こんな少女漫画的な展開望んでねぇんだよ!」
「あたしだって同じよ!」
二人は本当に火花が出そうなほどにらみ合っていた、周りはざわざわと騒いでいる。
「騒がしいぞ、席に座れ」
橋本が二人を注意したため、二人は周りを見渡して、恥ずかしそうに席に座った。
第二ラウンド終了。ファイナルラウンドはいったいいつ来るのだろうか。
そしてこれが、今優太が美浜と目を合わせ無い理由である。
こうして優太の新しい学園生活は始まった。
時間を取らせてしまって申し訳ありませんでした。連載物ですが一回一回の投稿が遅いと思います。